2019年11月09日

PICKUP NEWS

(声)日韓関係改善、悲観的でない(2019/11/9朝日新聞) 主婦 韓秀子(大阪府 63)
 日韓の関わりを考えるインタビューシリーズ「隣人」(10月11日)。第1回は「日韓 属性で分けず共感探ろう」と題し、小説家の平野啓一郎氏でした。嫌韓をあおるメディアに「腹が立つ」「傷つきました」という発言に思わず胸が熱くなりました。
 そして在日韓国人としての自分をあらためてふり返り、日本語名の通名と本名の二つの名前に苦しんだことを思いました。就職や結婚、子育てなどの過程で壁があり、乗り越えるのに多くの苦痛を伴いました。短大時代に韓国の歴史や文化、言葉を学び、アイデンティティーを模索しました。
 現在両国のリーダーたちの歴史観や考え方の隔たりから最悪の日韓関係と言われています。しかし、韓国人として蔑視や見下されているという嫌悪感を抱くことはありません。
 韓国の映画やドラマ、音楽、本、グルメなどが多くの若者や市民に浸透し、様々な分野での交流が活発になっているからです。この文化を中心とした力強い流れがこの先も変わらず継続していくことを期待しています。政治にも浸透して関係改善に展開すればと願っています。淡い期待ですが、悲観的ではありません。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14250076.html?ref=pcviewpage



(声)住民の直訴で郵便ポスト復活(2019/11/9朝日新聞) 無職 儀間眞治(沖縄県 71)
 「身近なポスト なくなるなんて」(10月31日)を読みました。私の住む集落の主要道路沿いにあったポストも廃止されました。その結果、一番近いポストまでは、歩いて片道10分程度坂道を往復しなければならなくなりました。
 そこでポストを所管する郵便局に再設置の願いを出し、行政評価事務所にも文書で再設置協力を依頼しました。しかし、利用者が少ないので廃止するとの回答をいただきました。そこで最後に、日本郵便支社長あてに文書で実情を訴えました。しばらくして「設置する」旨の手紙をいただきました。一回り小さいポストを設置していただきました。住民にポストの利用も呼びかけたところ、多くの方が利用するようになりました。
 住民も高齢化しています。今、車を運転できたり、インターネットを使えたりしていても、やがてできない日々を迎えます。高齢者にとっても郵便ポストは日常に欠かせない通信手段です。実情を添えて郵便局の上部機関に設置を要請してみてはいかがでしょうか。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14250080.html?ref=pcviewpage



(社説)兵器の購入 米の都合優先いつまで(2019/11/9朝日新聞)
 会計検査院が決算検査報告を首相に提出した。指摘された無駄遣いやずさんな公金管理は多岐にわたるが、近年急増している米国からの有償軍事援助(FMS)をめぐっても、あきれる実態が明らかになった。
 FMSは、米国の見積もりに応じて日本が代金を先に納め、兵器などが納入された後に精算する仕組みになっている。米国優位の構造の下、前払い金額は多めに設定されるのが通例だ。
 だが17年度末の時点で、▽予定時期を過ぎても納入が終わっていない事例が85件、349億円▽納入後も米国側から最終計算書が届かないなどの理由で、精算を終えていない事例が568件、1068億円▽うちほぼ半数が精算時期の目標とされる「納入完了後2年以内」を過ぎていて、10年を超えるものも8件――あることがわかった。
・・・ 検査院は過去にも同様の指摘をしているが、状況は改善されず、「未納入」は金額ベースで13〜16年度の約2倍になっている。戦闘機に搭載する電子機器が間に合わず、整備中の別の機体のものを転用したケースや、米側から生産停止を通告されたのに、防衛省が発注を取り消さず放置していたケースも見つかったという。
・・・ 防衛力の整備を掲げ、兵器の売り込みに懸命なトランプ政権との協調を重視する安倍政権の下、FMS調達は大幅に増えている。14年度予算で1906億円だったのが、18年度はオスプレイやF35の購入で4102億円に。さらにイージス・アショアの配備もあって、19年度は7013億円に膨らんでいる。
・・・ どんな兵器や装備が必要かを改めて精査するとともに、同じくFMSで米国から兵器を購入している百数十の国とも連携して、米国に対し改善の働きかけを強めなければならない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14250073.html?ref=pcviewpage



(社説)表現への圧力 萎縮を招く危うい流れ(2019/11/9朝日新聞)
 より良い社会を築くために多様な表現の場を守るべき国や自治体が、それとまったく逆の動きをする出来事が続く。
 ウィーンで開催中の展覧会について、在オーストリア日本大使館が友好150周年事業の認定を取り消した。日本の戦争責任に触れた動画や、原発事故を題材にした作品を問題視したようだ。一部の人が「反日的」と言い出し、自民党議員が外務省に問い合わせていた。
 民主主義の発展には、不都合なことも表に出して議論を交わし、考えることが大切で、権力は無用の介入をしてはならない――。そんな近代社会の基本を理解せず、芸術への尊敬を欠く国だと宣言したに等しい。
 国内では、慰安婦を扱った作品の公開に待ったがかかった。
 少女像の写真を片隅にコラージュした作品に対し、三重県伊勢市は主催美術展での展示を不許可とした。市民の安全が脅かされる恐れがあるという。川崎市は、共催する映画祭で慰安婦問題のドキュメンタリーを上映することに懸念を示し、主催NPOはいったん中止を決めた。
 伊勢市は「あいちトリエンナーレ」での混乱を引き合いに出し、川崎市は、映画の制作側と一部出演者との間でトラブルがあることを理由に挙げたが、いずれもおかしな話だ。
 伊勢市の場合、脅迫などの事実があったわけではないし、真に安全が心配ならば警察と連携して備えるのが筋だ。展示させないのは、気にくわない表現活動を力で封じ込めようとする勢力に加担するのと同じだ。川崎市も過剰反応は明らかで、こうした振る舞いが「事なかれ」の風潮を生み、社会の萎縮を招くことに無自覚すぎる。
 さらに気になる動きもある。
 文化庁所管の日本芸術文化振興会は、「公益性の観点から不適当」と判断した場合、活動への助成金支給を取り消すことができるよう要綱を改めた。
 関係者が罪を犯した場合を想定していると言うが、ならば要綱にそう書けばよい。公益という、いかようにも解釈できる用語には危うさがつきまとう。「あいち」に対し、文化庁が手続きの不備を理由に補助金を不交付とする異例の措置をとった直後だけに、現場に動揺と不信を広げた。撤回を求める。
 文化庁の不交付決定は多くの批判を浴び、おとといの文化審議会の部会でも、専門家委員らから厳しく指弾された。川崎の映画祭では、映画人らの抗議で一転、上映が実現した。
 一つひとつの動きに目を光らせ、それぞれの立場で声を上げることが大切だ。沈黙やあきらめの先にあるのは、市民的自由を失った寒々しい社会だ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14250072.html?iref=comtop_shasetsu_01



英女王の威厳にマリアの心 元補佐官が語る緒方貞子さん(2019/11/9朝日新聞)
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の日本人初のトップとして活躍し、10月22日に92歳で死去した緒方貞子さん。補佐官として支えた前駐米大使の佐々江賢一郎・日本国際問題研究所理事長が朝日新聞のインタビューに応じ、緒方さんの理念や思い出を語った。そこに浮かび上がったのは、人命優先の信念を貫いた姿とともに、過酷な現場にあってもユーモアとちゃめっ気を忘れない、緒方さんの素顔だった。
マダム・オガタ、ルールより命守った 原点に曽祖父暗殺
・・・ 補佐官着任当初から、UNHCRはあらゆる難民問題を抱え、緊張感に包まれていました。最も驚いたのは、各地で民族紛争や戦乱の中でオペレーションをしているので、職員の亡くなる頻度が多いこと。そのたびにジュネーブ本部のオフィスで黙禱(もくとう)を捧げました。現場の職員は緊急時にどう脱出するかも常に準備していました。
 そんな状況の中、彼女は幹部会議で「それで?」と、とことん質問し、課題に妥協しなかった。日本人の、しかも女性が並み居る男性幹部を指揮していた。まさに「コマンダー・イン・チーフ(最高司令官)」だったのです。
 緒方さんは91年、湾岸戦争のまっただ中に難民高等弁務官に着任された。当時、UNHCRのマンデート(負託)は国境を越えた難民の保護であり、「国内避難民」は対象外。 当時、フセイン政権下のイラクで武装蜂起したクルド人勢力が鎮圧され、国境に多くのクルド人が押し寄せました。トルコに入国を拒まれたため、イラク国境地帯にとどまったが、この場合は難民と定義されない。それでも助けなければ、と緒方さんは各国との交渉に奔走しました。
 後で聞いたのですが、当時、事務所内には原則を変えることに異論もあった。でも緒方さんは「重要なのは難民の命を守ることでしょう。マンデートがあるかないかは二次的なこと」という考えでした。
 緒方さんは伝統的な手法を打ち破ることにちゅうちょはなかった。この精神は至るところで発揮されました。大量の難民の警備やキャンプの治安維持、支援物資の空輸のため軍に協力を要請したほか、UNHCR内に軍の連絡事務所も置くようにした。
 ボスニア・ヘルツェゴビナの問題では、人道機関トップとして初めて国連安保理に出席し、現状を訴えた。人道機関は政府・軍とは一線を画すという伝統的スタイルを変えたのです。どうやって難民を救うか、この一点でした。
 緒方さんは軍の協力を求めるとき、日本の国際的プレゼンスも同時に気にしていました。
 ルワンダ難民支援では、94年に自民、社会、さきがけ連立政権の村山富市首相が自衛隊合憲にかじを切ったこともあり、人道ミッションとしての自衛隊海外派遣の可能性があるのではないか、と相談を受けました。僕は「可能性はあります」と答え、水面下で外務省の柳井俊二・総合外交政策局長(当時、のち駐米大使)に検討をお願いした。自衛隊の平和維持活動が実現しました。このときの現地本部の責任者が、現在の難民高等弁務官であるフィリッポ・グランディ氏でした。・・・
・・・ 最後まで心配していたのが、日本の多様性に対する感性が十分ではないという点でした。多様性は自分と違う人たちと交わることで培われていく「体験」の問題なのだと。多様性を享受することで日本の社会を強くしていきたいと思っておられたのでしょう。
https://digital.asahi.com/articles/ASMC55J0PMC5TIPE01L.html?iref=comtop_8_06



トリエンナーレ助成金中止 出品作家ら「経緯不明」文化庁に抗議(2019/11/9東京新聞)
 愛知県で先月閉幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に対する助成金交付を文化庁が中止した問題で、出品作家や文化・芸術団体、大学教授らが八日、「交付中止に至るプロセスが明らかになっておらず、多くの国民が不交付決定に納得していない。社会に動揺が広がっている」と文化庁に抗議した。
 この日は午前中に日比谷図書文化館(東京・千代田区)で集会を開催し、文化庁前で抗議アピールをした。あいちトリエンナーレの参加作家でつくる「ReFreedom_Aichi」は約十万四千人分の署名を文化庁に提出する予定だったが、この日は「通路のような場所で受け取ろうとした。あまりにも不誠実だ」として持ち帰った。アーティストの藤井光さんと小泉明郎さんは「不交付決定は、文化庁の担当者数人が二、三回ミーティングし、審議官が最終的に決めたので議事録はない、との説明を受けた。納得がいかないので引き続き対話を求めたい」と話した。
 田中純・東大大学院教授は「不交付は申請手続きの問題というが、政治的な決定を事務手続きで隠そうとしていると感じる」と指摘。熊倉純子・東京芸大大学院教授は「自治体が表現の自由に介入した場合、文化庁は本来それを止める役割だが、国から先に圧力がかかるとは思っていなかった。アートを公的に支援する法律が整備されつつある中で残念だ」と語った。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110902000134.html



原発否定なら「自宅から出るな」 東海第二の再稼働 村長が容認発言か(2019/11/9東京新聞)
 沸騰水型原子炉(BWR)を備える日本原子力発電(原電)東海第二原発が立地する茨城県東海村の山田修村長が、雑誌の対談で「安定的な電力の供給は絶対に欠かせない。BWRについてもしっかりと再稼働していく必要がある」と、東海第二の再稼働を容認すると受け取れる発言をしていたことが分かった。山田氏は「東海第二の個別の話ではない」と否定するが、これまで「中立」として賛否を明らかにしていなかっただけに、波紋を広げそうだ。
 東海第二の再稼働には、村のほか県や水戸市など周辺五市の同意も必要で、仮に山田氏が容認しても県や五市に反対があれば、事実上再稼働はできない。
 発言は、原子力業界誌「ENERGY for the FUTURE(エナジーフォーザフューチャー)」(ナショナルピーアール社・東京)の十月五日号に掲載された、東京電力柏崎刈羽原発がある新潟県刈羽村の品田宏夫村長との対談で出た。テーマは「BWRの再稼働」。BWRは福島第一原発や柏崎刈羽で使われ、福島第一の事故後は一基も再稼働していない。再稼働しているのは、PWR(加圧水型原子炉)の九州電力川内原発(鹿児島県)など。
 対談で山田氏は、原発に否定的な人に対し「全ての外部電源を遮断して自家発電だけで生活してもらわなくてはいけない。自宅から一歩も出てはいけない」とも指摘。このほかに、福島第一の事故を受けて厳しい新規制基準ができたとして「論理的に考えれば、同じような事故はまず起こらないと思うはずだ」と述べ、周辺住民に「『何かあった時には福島の二の舞いになる』という心理」があり再稼働への理解が広がらないとの認識を示した。
 山田氏は、本紙の取材に「BWR全般の話をしており、個別の発電所の話はしていない。私は以前から原発を容認しているので、PWRだけの再稼働はないであろうと申し上げた」とメールで回答した。
 民間シンクタンク「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表は「過酷事故への認識が甘い。自分は原発をよく知っている、理解できない住民はばかだ、という感覚ではないか」と批判する。
 山田氏は県職員や副村長を経て二〇一三年九月の村長選で初当選し、現在二期目。 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110902000143.html


posted by オダック at 18:26| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

PICKUP NEWS

(声)孫と学んだ緒方貞子さんの功績(2019/11/8朝日新聞) 無職 宗近弘武(東京都 80)
 水曜の夜、孫が母親と我が家を訪れ、夕食を共にする。私は毎回、孫と朝日新聞の記事について話し合う。先日の話題は国連難民高等弁務官や国際協力機構の理事長として活躍し、92歳で亡くなられた緒方貞子さんだった。
 高校生の孫が関心を示したのは、緒方さんが終始追求し提唱された「人間の安全保障」という概念だ。国が中心の安全保障から「人間」に注目し、紛争や貧困などの脅威から人々の命や尊厳を守る。この概念は2012年の国連総会で全会一致で採択された。孫は「一人ひとりの人命を何よりも優先したところがすばらしい。その強い意志がすごい」と感動していた。
 社説によると、この概念はその後「持続可能な開発目標」(SDGs)に発展したという。緒方さんがこの動きに大きな貢献をしたことを知り、日本人として本当に誇らしい。「地球上の誰一人も取り残さない」というこの目標を全世代が自覚したら、どんなにすばらしい国、世界になることだろう。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14248670.html?ref=pcviewpage



(声)岩国基地の騒音から住民を守れ(2019/11/8朝日新聞) 無職 小松雄一(大分県 76)
 いつまでもこんなことでいいのか。岩国基地の騒音被害をめぐる賠償請求訴訟の控訴審判決に関する記事(10月26日本紙)を読んで強く思った。判決は過去分の被害の賠償は認めたものの、飛行差し止めや将来分の賠償請求は認めなかった。
 基地の騒音被害を完全になくすことは困難であろうが、少なくとも就寝時間以降、早朝までの間は航空機の飛行を完全に停止し、住民の安眠が保障される状態にすべきだ。記事によると、原告団長は深夜の騒音で体調を崩し、食いしばった歯が何本も欠けたという。
 判決は米軍機の飛行について「国は制限できる立場にない」とした。私は「米軍には原則として国内法を適用しない」とする日本政府の方針に根本の問題があると思う。沖縄県の調査によると、米軍の駐留を受け入れているドイツなど欧州4カ国ではいずれも国内法を適用しており、英国では国防省が米軍機の飛行禁止や制限を判断できるという。主権国家であればそれが当然だ。
 安倍晋三首相はよく、国民の命や平和な暮らしを守るなどと言う。ならば早急に、軍用機の騒音にさらされている人々を守るべきだ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14248669.html?ref=pcviewpage



(社説)台風の被災地 避難所外にも避難者が(2019/11/8朝日新聞) 相次ぐ台風による風雨で、東北から東海にかけて多くの家屋が被災した。いまも1都9県に約100の避難所が置かれ、2800人が暮らしている。
 その人たちの心身の状態も気がかりだが、避難所に入らず、自宅で不便な生活を送る被災者の存在も忘れてはならない。
 支援がゆき渡らずに体調を崩し、最悪の場合は関連死に至った前例もある。市町村は実態の把握にまず努めてもらいたい。
・・・ ブルーシートで覆っただけの屋根の下や、水が引いたあとの家で毎日を過ごす苦労は、想像に難くない。雨漏りの不安は尽きず、泥水が流れ込んだ場所ではカビが繁殖しやすい。
 それでも避難所に行かない、あるいは行けない理由はさまざまだ。寝たきりの家族がいる。ペットを飼っている。持病がある。落ち着けない。防犯上、家を空けるのは不安だ――。
 東日本大震災を受けて13年に災害対策基本法が改正され、避難所以外にいる被災者の支援も行政の努めである旨が明記された。内閣府の避難所運営ガイドラインは、在宅避難者を「避難所に居場所を確保できず、やむを得ず被災した自宅に戻って避難生活を送っている者」などと定義し、「避難者は避難所の外にも存在する」という認識をもつよう自治体に促している。
 市町村は、管内のどこに、どんな被災者がいるかを確認し、連絡がとれる体制を整え、生活再建に役立つ情報を伝える必要がある。「避難所にいれば知ることができたのに、自宅にいたので分からなかった」といった不満や、疎外感を引き起こさないことが大切だ。そのうえで、状況に応じて生活物資や食料を届けたり、保健師が巡回して健康状態をチェックしたりすることにも取り組んでほしい。・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14248677.html?iref=comtop_shasetsu_02



【社説】安保法制判決 司法は本質を直視せよ(2019/11/8東京新聞)
 安全保障関連法は「違憲だ」とする集団訴訟で東京地裁は訴えを退けた。ただ合憲とも言わず憲法判断を避けたのは、問題の本質を直視しない表れではないか。司法の消極主義は極めて残念だ。
・・・ 安保法制は野党や国民からも「戦争法案」と呼ばれ、「戦争ができる国」へと変質しているとの声が上がった。元内閣法制局長官は別の裁判所で「丸ごと違憲」と証言している。
 確かにかつての「専守防衛」の枠から逸脱する防衛力が装備されつつある。自衛隊の任務も変わりつつある。
 例えば海上自衛隊の護衛艦「いずも」は事実上の空母に改修され、F35B戦闘機が搭載予定だからだ。これは憲法九条下で保有できないとされてきた攻撃型空母の機能を果たしうる。
 防衛費も二〇年度の概算要求は約五兆三千二百億円と過去最大規模に膨らむ。軍事大国化はもはや懸念の域を超えつつある。
・・・ 全国二十二の地裁で起こされた訴訟だ。東京の原告は実に約千五百五十人。みんなが迫りくる“ピストルの弾”という危険におびえている。札幌地裁に続き、今回も判決は「原告の精神的苦痛は義憤ないし公憤。法的保護を与えられるべき利益でない」と一蹴した。だが、この訴訟の本質は、安保法制に対する憲法判断を迫ったものだ。
 それに応答しない判決は肩透かし同然である。ならば「合憲」と言えるのか。違憲なら止めねばならぬ。その役目は今、司法府が負っている。裁判官にはその自覚を持ってもらいたい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019110802000173.html



【東京】銀行、病院…会場は30カ所 荻窪音楽祭 開幕(2019/11/8東京新聞)
 「第32回荻窪音楽祭」が7日、杉並区のJR荻窪駅周辺で始まった。10日までの会期中、プロ、アマの垣根を越えて約80組が出演。杉並公会堂のほか、商業施設、教会、銀行や病院のロビーなど約30カ所がコンサート会場になり、クラシックの音色で街を包む。 
 主催は、住民有志らでつくる「『クラシック音楽を楽しむ街・荻窪』の会」。区内の高円寺駅付近では夏に阿波おどり、阿佐ケ谷駅周辺では秋にジャズの催しが開かれている。「荻窪でもまちおこしのイベントを」という思いから、約20年前に始まったのが荻窪音楽祭だ。音楽ホールとして評価の高い杉並公会堂があることなどから、クラシック音楽を楽しめるイベントに決まったという。
 以前は年2回だったが、近年は毎年秋に開催している。赤ちゃん連れで聴くことができるイベントや、小中高校生が日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーと共演するコンサートがあるのも特徴だ。・・・
 プログラムはホームページのほか、杉並公会堂や地元の商店などで配布している冊子で紹介している。有料、予約制、要整理券のイベントもある。問い合わせは、荻窪音楽祭事務局=電03(5347)0244=へ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201911/CK2019110802000123.html



<国会バリアフリー>舩後氏「生きる意志持てば夢かなう」 電子音声・代読で初質問(2019/11/8東京新聞)
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため発話が困難な舩後(ふなご)靖彦参院議員(れいわ新選組)が七日、参院文教科学委員会で初めて国会での質問をした。事前に準備した原稿を電子音声で再生したり、秘書が代読したりして、消費税率引き上げが教育に与える影響や障害者の教育を巡る問題について、政府側の考えをただした。参院事務局によると、電子音声や代読を通した質問は国会初。 
 舩後氏は質問の冒頭、パソコンの意思伝達装置による電子音声で「皆さまの力を借りながら、精いっぱい取り組む」と決意を表明。この後は、秘書による代読に切り替えた。
 発病による絶望から今までの経験を振り返る場面では「皆さまに伝えたい。強く生きようとする意志を持てば、私が国会議員になれたように自らの夢、目標を実現できる。幸せを感じることができる」と強調した。
 消費税など三つのテーマごとに事前に用意した質問をして、萩生田光一文部科学相の答弁を求めた。二度の再質問は、答弁を受けてその場で用意。文字盤を使って代読者に伝えるために要した約二十分は、質問者に割り当てられた持ち時間に含まれないよう、議事進行を止める配慮がされた。舩後氏には二十五分が割り当てられ、再質問の準備時間を合わせて四十五分で終了した。
 消費税率引き上げに関する質問では、学用品購入などで負担が増えると懸念を示して「私たちは幸せになるために生を受ける。消費税は全員が幸せにならない」と訴えた。
 政府が延期を決めた大学入学共通テストへの英語民間検定試験の導入を巡っては、障害のある受験者に対する各試験の配慮が、現行の大学入試センター試験の水準を下回ると指摘。障害者を交えた検証の場をつくるよう求めた。
 萩生田氏は消費税については「(増税分を)幸せにつなげる使い道をしっかりしていく」と理解を求めた。民間試験の障害者に対する配慮については「合理的配慮の内容が妥当かどうかの検証ができる仕組みの構築も含め、国が責任をもって実施できる体制となるように検討する」と答えた。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019110890070325.html



英語試験法人に天下り 旧文部省次官ら2人 衆院予算委(2019/11/7東京新聞)
 衆院予算委員会は六日、安倍晋三首相と関係閣僚が出席して集中審議を行った。二〇二〇年度の大学入学共通テストへの導入が延期された英語民間検定試験に関し、実施団体の一つベネッセの関連法人に旧文部省、文部科学省から二人が再就職していたことが明らかになった。野党は、英語民間試験導入の背景に官民癒着があるのではないかと追及した。・・・ 文科省の伯井美徳高等教育局長は予算委で、旧文部省の事務次官経験者が同法人に再就職し、十月一日まで理事長を務めていたことを明らかにした。国立大学の事務局長を務めた文科省退職者も同日まで参与を務めていたと述べた。
 立憲民主党の大串博志氏は「(民間試験導入が)民間に利益が及ぶ形で考えられているのではないか。疑念を呼ぶこと自体が大きな問題だ」と批判した。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019110702000159.html



ウィーン芸術展 公認撤回 出品者、不寛容な政府に反発(2019/11/7東京新聞)
 オーストリアと日本の国交百五十年記念事業としてウィーンで始まった芸術展について、在オーストリア日本大使館は記念事業の認定を取り消した。政府に批判的な動画や、東京電力福島第一原発事故をモチーフにした作品が含まれていたためとみられる。出品するアーティストらは批評に不寛容な政府の姿勢に反発を強めている。
 芸術展は、日本の表現の自由の限界をテーマにした「Japan(ジャパン) Unlimited(アンリミテッド)」で、現代美術家の会田誠さんや美術集団「Chim↑Pom(チンポム)」など約二十アーティストが出展。九月二十六日〜今月二十四日、ウィーンの「ミュージアム・クオーター」で開かれている。
 会田さんは、日本の首相が国際会議で演説する動画を出品。別のアーティストは、終戦後、昭和天皇と連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー最高司令官が並んで撮影した写真のパロディーを出品した。血の付いた放射線防護服に見える作品も展示されている。
 大使館によると、芸術展の開会後に内容を審査し、先月三十日付で公認取り消しを主催者側に通知。大使館は「展示全体が『日本とオーストリアの相互理解と友好を促進する』という認定要件に合っていなかった。どの作品が原因とは言えない」と説明する。「日本の国会議員から外務省に意見があったことも要素の一つ」とするが、展示は続いており「表現の自由の侵害には当たらない」とする。
 同展に出品する「Chim↑Pom」メンバーの卯城(うしろ)竜太さんは「複雑につくられた作品の一部を切り取って『反日』と断じることは本質を見誤っている」と批判。公認の撤回は「『国民が自国を批評する』という民主主義国家として当たり前のことに政府がネガティブな姿勢であると、海外に広く示してしまった」と話している。 (梅野光春、小倉貞俊)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110702000162.html



(社説)首相国会答弁 「任命責任」は口だけか(2019/11/7朝日新聞)
 就任間もない重要閣僚の連続辞任という異例の事態を、どこまで深刻に受け止めているのか。安倍首相が認める「任命責任」は口だけと言うほかない。
 衆院予算委員会の集中審議がきのう開かれた。菅原一秀経済産業相と河井克行法相の辞任を受け、首相がどんな見解を示すかが最大の焦点だった。
 両氏には閣僚としての資質を危ぶむ声があったが、首相は「適材適所」の任命だったと強調。辞任という結果に「責任を痛感している」としながら、その責任の果たし方については「行政を前に進めることに全力を尽くす」の一点張りだった。
・・・ ひとごとのような答弁は、大学入学共通テストへの英語民間試験の導入見送りにも共通する。妥当ではあるが、遅すぎた決断に、多くの受験生や保護者、高校の教員らが振り回された。にもかかわらず、首相は「萩生田光一文部科学大臣の判断」と述べるだけで、政権全体としてこの問題を引き受ける姿勢は見られなかった。首相の設けた教育再生実行会議が6年前に方向性を決めた「改革」であるにもかかわらずである。
・・・ 野党側は、辞任した2閣僚の参考人としての出席を求めていた。両氏とも国会で予定されていた質疑を前に辞表を提出し、何ら疑問に答えていないのだから、当然の要求だ。ところが、与党側は「前例がない」として取り合わなかった。それどころか、自民党の質問者は両氏を「見識、人物ともに信頼できる方」と持ち上げるありさまだ。・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14247168.html?iref=comtop_shasetsu_01



空襲で母・弟失った80歳「違憲」願う 安保法訴訟 あす判決(2019/11/6東京新聞)
 集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は違憲で、平和に生きる権利が侵されたとして、戦争体験者ら約千六百人が国に一人十万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が七日、東京地裁で言い渡される。東京大空襲で家族を失った原告の女性は、「戦争への道を開くような法律を許してはならない。『違憲』とはっきり判断してほしい」と願う。 
 日本国憲法公布から七十三年となった今月三日。千葉市中央区の河合節子さん(80)は国会近くの路上で、戦争の悲惨さを訴えるチラシを通行人に配り、「戦争はこれからも起こり得ます」と熱く語りかけた。頭には防空ずきん。五歳だったあのころと同じように。
 一九四五年三月十日未明、東京都深川区(現在の江東区)から茨城県中部に一人で疎開していた河合さんが外に出ると、東京方面の夜空が真っ赤に染まっていた。米軍の東京大空襲によるものだった。
 自宅は焼失し、母=当時(35)=と弟二人は行方不明になった。父だけは命が助かったが、やけどで耳たぶが溶け、唇は反り返った。
 終戦を挟んだ一時期、親戚宅の牛小屋で寝起きさせられたが、やがて父と二人で暮らせるようになった。だが、働き者だった母、つかまり立ちができるようになったばかりの弟は戻らない。父は妻子を守れなかった後悔の念にさいなまれ、頻繁にうなされた。
 「戦争は人間の生活を根底から覆す。終わった後も一生付きまとってくる」。河合さんは反戦の思いを抱えながら年を重ねた。
 政府は二〇一五年九月、他国を武力で守る集団的自衛権行使の容認を柱とする安保関連法を成立させた。「国会で十分な議論もしないまま採決を強行するなんて」。政府の姿勢がかつての軍部の姿に重なり、背筋が凍った。
 訴訟に加わったのは、「ここで黙っていたら一生後悔する」との思いから。国側は「原告らの抽象的な意見でしかない」などと請求棄却を求めたが、河合さんは法廷の証言台で「かつての記憶が呼び覚まされ、『また戦争になったら』とおびえるようになった。心の傷のかさぶたがはがされた」と被害を訴えた。・・・
<安全保障関連法を巡る集団訴訟> 海外での集団的自衛権の行使や武装集団に襲われた国連職員らを救出する「駆け付け警護」を認める安保関連法が2016年3月に施行。今回判決の出る集団訴訟が翌月に提起されると、同様の訴訟は東京を含め全国22地裁に広がり、原告は計約7700人にまで膨らんだ。既に判決が言い渡されたのは、今年4月の札幌地裁の訴訟だけで、原告側が敗訴している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110602000128.html


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2019年11月05日

PICKUP NEWS

れいわ木村氏「車いすに対応できるトイレを」国会初質問(2019/11/5朝日新聞)
 「障害者の立場から質問させていただく」
 今年夏の参院選で初当選したれいわ新選組の木村英子氏は5日、国会で初めての質問でそう切り出した。重度障害のある当事者として訴え、政府に要求したのはどのような内容だったのか――。
念のため代読準備するも自ら質問
 参院の委員会室であった国土交通委員会。木村氏は車椅子に座り、両脇の秘書と介助者の2人の手伝いを受けながら、質問文を読み上げた。質問はすべて自分で練り上げ、分かりやすい言葉を使うように努めたという。
 介助者は、ボトル入りの飲み物を用意。木村氏が万が一、たんが詰まって声が出なくなった場合は秘書による「代読」まで事前に認められていた。参院事務局によると「議員以外の人が代読した例はない」。この日は代読の場面はなく、木村氏自身がすべて質問した。
 質問ではまず、最近の台風被害などを挙げ、「避難所に行っても車椅子トイレがない」という介助者の声を紹介。「災害時の障害者への対応は、一向に進んでいない」と訴えた。
 さらに、赤羽一嘉国土交通相に対し、駅などの公共施設のトイレについて質問。「車椅子用トイレと言われた時代は一般の方が利用することはほとんどなかった。しかし、多機能トイレと呼ばれるようになって多くの方が使えるようになった結果、車椅子の人が使えなくて困ってしまっている」と指摘した。
 そのうえで、来年の東京五輪・パラリンピックに向け、こう要望した。「障害者の方がたくさん来て、トイレが混雑する。車椅子に対応できるトイレの設置を早急に推し進めてほしい」。赤羽氏は「ニーズに合わせた機能分散を推奨し始めたところだ」と前向きに応じ、さらには「バリアフリーが当たり前のような共生社会をどう作るのかという視点で、やっていかなければいけない」と答えた。
障害者団体代表も傍聴「当事者目線、感動した」
 そんな木村氏の質疑を、委員会室の傍聴席では、障害者団体の人たちが見守った。団体代表の今福義明さんは委員会後、記者団に「すごく感動した。障害当事者目線であれほどきっちりと多機能トイレのニーズを伝えたのは、初めてではないか」。当事者ならではの質問だと、興奮気味に語った。
 れいわからは今年夏の参院選で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦氏も初当選している。舩後氏も近く、国会で質問する予定だ。・・・
https://digital.asahi.com/articles/ASMC53Q65MC5UTFK00D.html?iref=comtop_8_03



(声)若い世代 車いす体験で視界が変わった(2019/11/5朝日新聞) 高校生 稲田真子(神奈川県 18)
 学校で車いす体験をした。2人1組でお互い車いすを押し合ったり、自分でこいでみたりした。
 慣れた学校なのに恐怖を感じる場面が何度も。少しの段差でも車体を大きく傾けなくてはならなかったり、ぼこぼこした地面は不安定で、つんのめりそうになったりした。また進むのに時間がかかり、腕がとても疲れた。足の運動量を腕でカバーするのはハードだ。
 ある友達のことを思う。彼女は車いすを使っている。一緒に出掛け道を進む上で、戸惑っている様子は見たことがない。彼女にとって私の歩く速度は速すぎたのかもしれない。だが、やすやすと歩行者と同じ速度で進む彼女は、なんて強くてかっこいいんだろう。
 今回の経験で、自分とは違う視点の人のことも気にかけられる人間になりたい、そう決心した。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14244498.html?ref=pcviewpage



(声)若い世代 「語りつぐ」には+αが大切(2019/11/5朝日新聞) 中学生 林真知子(東京都 13)
 私は最近「受け継ぐ」「引き継ぐ」など、「継承」に関する言葉をよく聞くようになった。部活の引退式や地域の伝統行事、戦争で被爆した人の話など、未来のため多くの人々がバトンを渡そうとしている。
 部活で先輩の引退がかかった大会で、結果を残せなかった私たちに顧問の先生がこうおっしゃった。「先輩たちが代々受け継いできた練習を今まで通りにこなすのではなく、それ+αで何かを足さなければ、これからもよい結果は出ない」
 これは部活だけの話ではない。例えば被爆者の方々の話を聞いて「へえー。そうなんだ」ではなく「私たちにできることは何だろう」。そう考えるべきだ。継承は決して簡単ではないし、自分1人ではできないこともある。しかし誰にでもできる。自分たちにできる+αを実践してこそ、本当の継承になると思う。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14244495.html?ref=pcviewpage



(声)若い世代 イヌワシ保護へ必要なことは(2019/11/5朝日新聞) 中学生 長澤昂太朗(山形県 15)
 庄内地方に堂々とそびえ立つ「出羽富士」鳥海山。私の家からも見える。冬には雪をかぶり、雪解け水は庄内平野に恵みを与えてくれる。
 イヌワシが鳥海山で増えていないという記事(9月1日山形県版)を読んだ。エサをとる「狩り場」の減少が大きな原因の一つという。
 私は、人が自然に手を加えないほうが良いと考えていた。しかし記事には、間伐をして日光を当たりやすくするとイヌワシの良い狩り場をつくることができると書いてあり、驚いた。人間の手によって自然をより良くすることが大切だと思った。
 イヌワシの絶滅は止めなくてはならない。絶滅してもいい生物は一種もいない。個体一つひとつに役割があり、それによって生態系が成り立っていると思う。私たち人間は他の生物と共存し、互いによい環境をつくり合う存在でないといけない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14244496.html?ref=pcviewpage



(声)気になる、政治家の言葉の軽さ(2019/11/5朝日新聞) 高校講師 法月孝男(静岡県 72)
 「憮然(ぶぜん)」や「御の字」を本来の意味とは違った意味で理解している人が多いと聞く。正しい言葉の意味を知り、正しく用いることは重要だ。しかし、それ以上に気になるのは、政治家や責任ある立場の人たちが発する言葉の軽さだ。
 相次ぐ閣僚の辞任に安倍晋三首相は「任命責任は私にあります」と頭をさげた。首相が任命責任者であることなど誰でも知っている。その責任をどう取るかが重要だ。せめて「私の判断の誤りです。以後、真に適材適所を心掛けます」くらいの表現で言葉に魂を込めて欲しかった。
 軽く使われている言葉の代表に「真摯(しんし)」がある。私の頭はこの言葉を聞くたびに即「適当に受け流します」と変換する。謝罪会見の場での「真摯」の使用禁止を提案する。
 政治家が「誤解を与えたなら撤回します」と憮然たる(おっと、これは間違い)憤然たる面持ちで、あるいは平然と言い放つのもやめたらいかが。「本心を言ってしまって後悔しています」と言えば正直者として有権者の信頼が増すかもしれない。その前に「綸言(りんげん)汗のごとし」または「覆水盆に返らず」を秘書に調べさせてみるのもいいかもしれない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14244485.html?ref=pcviewpage



(社説)公文書不開示 外交を隠れ蓑にするな(2019/11/5朝日新聞)
 外交や安全保障を都合のいい隠れ蓑(みの)にしていないか。政府は公文書管理と情報公開の重要性を徹底すべきだ。
 外務省が情報公開請求に対し、すでに公になっている文書の内容を不開示としていた。信じがたい不誠実な対応である。
 一つは、朝日新聞記者が求めた1968年の「沖縄返還問題の進め方について」。緊急時の米側の核兵器持ち込みをめぐる記述が黒く塗りつぶされた。
 もう一つは、ジャーナリストの布施祐仁氏が求めた日米行政協定(日米地位協定の前身)の改定交渉に関する50年代後半の文書だ。27点中26点が全部または一部不開示となった。
 いずれも国の安全や米国との信頼関係を損なうおそれなどが理由とされた。ところが、朝日新聞が調べたところ、どれも既に公開済みの内容で、今も外務省のホームページなどで誰でも見られるものだった。
 請求された文書の過去の扱いを確認するのは当然ではないのか。少ない担当職員で膨大な請求を処理せざるをえず、見落としがあったようだと外務省は説明する。ならば、人員や予算の充実を真剣に検討してほしい。
 懸念されるのは、外交や安全保障の機微に触れるのではないかと安易に判断して、不開示ありきの発想で臨んでいないかということだ。
 確かに、外交・安保の分野では、ただちには公にできない事柄が少なくない。しかし、交渉や政策決定の過程を記録に残し、一定の年限が立てば明らかにして、歴史の検証に付するのが民主主義国の基本的なルールである。
 米国では、30年たったら原則公開という「30年ルール」が早くから確立している。日本政府も76年に、このルールにのっとった外交記録の公開を始めたが、かねて例外が多いと批判されてきた。
 外交文書の公開は、外交政策に対する国民の理解を得るのに欠かせない。政府の外交力を裏打ちする効果も指摘されている。例えば、他国との論争で自国の正当性を主張する際、明らかにした過去の経緯が説得力につながるというものだ。
 民主党政権は、岡田克也外相が日米密約の検証を行うなど、外交文書の公開を積極的に進める方針を鮮明にした。しかし、政権交代でその機運はすっかりしぼんだようにみえる。
 第2次安倍政権では、特定秘密保護法の制定や、財務省の公文書改ざん、自衛隊の日報問題など、情報公開や公文書管理を軽んじる姿勢が、外務省のみならず、政府全体に蔓延(まんえん)している。今回の件も、そんな政権の体質と無縁ではあるまい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14244491.html?iref=comtop_shasetsu_01



【社説】ラグビーW杯 「共に前へ」を続けよう(2019/11/5東京新聞)
 ラグビーのワールドカップ(W杯)が閉幕した。日本の八強入りなど数々のドラマを生んだ大会だった。礼を尽くしつつ激しくぶつかり合う独特のラグビー文化を堪能した一カ月間でもあった。
 日本初のベスト8がかかったスコットランド戦。具智元選手が負傷交代の際に流した涙は今大会の日本代表を象徴していた。
 具選手は韓国出身だ。韓国代表の名選手だった父を持ち、中学時代に来日した。日本で長くプレーしてきたとはいえ、日韓関係が悪化する中、日本代表として戦うのは大きな心の葛藤があったはずだ。
 チームメートは悔し泣きする具選手に駆け寄り励ました。多くの外国出身選手が参加する日本代表が「ワンチーム」であることを証明した瞬間といえるだろう。
 今大会で代表を引退するトンプソン・ルーク選手はニュージーランド出身で日本国籍を持つ。彼はスコットランド戦後、台風の被害を受けた人々を思い「ラグビーは小さなこと」と話した。
 戦いが激しいだけに、ラグビーには試合後の立ち居振る舞いにも礼節が求められる。プロのサッカーや野球と比べ審判に詰め寄るシーンも少ない。
 ラグビーは、勝利への欲望以上に、相手を立てるといった儀礼性を重んじる。こうした特徴に、多くの日本人が親近感を持ったのではないだろうか。
 今大会で多様性という言葉がキーワードとなった。実は日本ラグビーの多様化の歴史は長い。一九八〇年代、トンガから来た選手たちが大学チームに参加。社会人リーグや日本代表でも活躍した。
 八七年の第一回W杯でトライ王になったニュージーランドのジョン・カーワン選手も、九七年から九九年まで国内の社会人チームに加わった。それ以降、海外の名選手が国内でプレーすることは当たり前の風景になった。
 日本ラグビーの多様性は、来日した海外選手たちと共生しながら、長い時間をかけて培ったという事実を強く指摘したい。同時にその過程は、さまざまなルーツを持った人々と暮らしていく上での生きた教材となるだろう。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019110502000122.html



【埼玉】<この人に聞きたいQ&A>子どもの命 バトンをつなぐ 県里親会・石井敦理事長(2019/11/5東京新聞)
 虐待などの理由で家庭にいられなくなった子どもを養育する里親制度。県内では里親登録者数が年々増える一方で、子どもの委託率は高くはない。県里親会の石井敦理事長(61)は、傷ついた子どもを養育する難しさを理解し、里親を支える体制づくりが急務だと指摘する。 
 −里親になったきっかけは。
 妻に求婚した時の条件が「将来、里親になりたい」だった。当時は里親という言葉も知らなかった。実子が産まれた後に余裕があればとイメージしていたので、不妊治療でも子どもを授からず、里親になろうと決めた時はやっぱり不安だった。
 三十八歳の時に初めて、一歳半の長男を受け入れた。続いて実子を授かった後も、三歳、六歳の男の子を迎えた。長男が家に来る前は、写真を家の壁に張り、妻と「本当にこの子にとって最善の選択なのか」と話し合った。会ってみると、人懐っこくてすぐに抱っこさせてくれた。しかし、抱っこしていないと一日中泣きやまなかったり、壁に頭をぶつけてみたり。妻は半年間、抱っこしたままご飯を食べていた。
 −養育は難しくなかったか。
 近所に里親登録したことを伝えていたので、子ども好きなお婆ちゃんが「みんなで育てよう」と、自分の孫と一緒によく公園に連れて行ってくれた。妻は息抜きできたと思う。先輩里親にアドバイスをもらうことも多く、地域で子どもに声を掛けてくれる環境だった。自分のことを大切にしてくれる人がいると感じることで「生まれてきて良かった」と思ってもらいたかった。長男が大学四年生の時、厚生労働省の委員会で「失いそうな命を実親から養親につなぐことができれば、実親が育てられなくても罪はない」と話してくれた時は、うれしかった。
 −子どもの委託率が上がらない理由は。
 認知度が上がってきたのか、里親登録者数は年々増えている。子どもを授からず、里親になりたいという若いカップルは多い。実子の子育てを一段落し、社会に貢献したいと言ってくれる年配夫婦もいる。
 ただ、実際に子どもを委託できるかどうかは別。傷ついた子どもの養育は難しく、里親がギブアップしてしまうこともある。里親支援事業の柱として、委託前の里親がベテラン里親宅で実習したり、養育が始まる前後に先輩里親が訪問支援するなど、里親同士のつながりを大切にしたい。
 また、里親委託を決定する児童相談所があまりに多忙だ。これだけ虐待の通告件数が年々増えていて対応に追われると、ただでさえマッチングに時間のかかる里親委託が十分に推進できない現状がある。
 −思い描く社会的養護とは。
 一歳半まで長男を養育してくれた乳児院の職員が退職する時、一緒にあいさつに行った。施設と里親は、子どもの命というバトンをつなぐチーム。愛にあふれる多くの大人たちとの関わりは、社会に巣立つ子どもたちの自己肯定感を育む。施設との連携も深めていきたい。
<いしい・あつし> 大阪市生まれ、蕨市在住。百貨店勤務。社会人の長男、大学3年、高校2年、中学1年の男子と暮らす。これまでに、短期間の養育や緊急を要する一時保護でも8人を受け入れた。県によると、県内で、実親と暮らせない子どもは1500人ほど。2017年度の県内の里親登録数は538世帯で全国2位だが、委託率は18.4%で同24位にとどまる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201911/CK2019110502000136.html



【神奈川】カジノ誘致問題 溝深まる 横浜市と反対派(2019/11/5東京新聞)
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の横浜市への誘致に反対する市民らが、誘致を決めた林文子市長のリコール(解職請求)や、誘致の是非を問う住民投票を目指した活動を広げている。市は12月から、全18区で市民説明会を開いて理解を得たいとしているが、反対派との溝は深い。 
 「カジノを止めましょう」「市長をリコールしよう」。十月最後の週末、JR東神奈川駅前で市民ら約十人が、チラシを配って呼び掛けた。九月に発足した政治団体「一人から始めるリコール運動」の街頭活動。来年夏に市長リコールの署名集めを行う予定で、今は運動を担う「受任者」のなり手を募っている。十月末で三千人を超えており、年内に一万人、来年夏までに五万人を集めたいという。
 人口三百七十五万人の巨大都市・横浜でリコールを実現するには有権者四十九万人分の署名が必要。容易な数ではないが、広越由美子代表(39)は「多くの市民が反対しているのに林市長は誘致を決めた。市民を無視している以上、リコールしかない」と力を込める。政党とは連携せず、草の根運動に徹する。
 受任者になると決めた保土ケ谷区の無職綾部祥一郎さん(79)も「市はカジノの収入見通しに目がくらんでいるが、カジノは成長産業ではない。決して誘致してはいけない」と、街頭で力説していた。
 リコールではなく、住民投票を目指す動きも進む。二〇一四年から活動してきた市民団体「カジノ誘致反対横浜連絡会」は、十月上旬に開いた集会で千人を集めた。立憲民主党や共産党の国会議員や市議らも姿を見せた。共同代表の岡田尚弁護士は「まずは住民投票を実現し、勢いをつけよう」と呼び掛けた。
 住民投票のための署名は六万人と、リコールよりは少ない。しかし、IR誘致のための調査研究費を盛り込む補正予算案に賛成した自民党と公明党の会派が過半数を占める市議会の議決が必要になる。岡田弁護士は「市民の多くはリコールによる市長選までは求めていないが、リコールが成立するほどの署名を集めれば、市長や市議会与党議員への圧力になる」と強調し、可能性を探る。受任者の目標は一万人で、現在は二千人超。近く結成される予定の住民投票を目指す複数の団体による共同組織とも、連携を図っていく。・・・
 直接請求制度に詳しい東海大政治経済学部の岡本三彦教授(行政学)は「カジノのように賛否の分かれるテーマで、市長が説明不足のまま方向性を表明すれば、住民が何らかの動きを起こすのは自然かつ健全」と、反対する市民の動きに理解を示す。・・・
<リコール(解職請求)と住民投票条例制定の請求> どちらも住民による直接請求の方法。リコールは有権者が首長や議会などの解職・解散を求める制度で、原則として有権者の3分の1以上の署名が必要。横浜市など人口の多い自治体は、必要な署名数の割合を引き下げる規定が適用される。住民投票条例制定は有権者の50分の1の署名を集めた上で、議会の議決が必要。いずれも請求代表者が申し込んだ後、受任者が2カ月間で署名を集める。 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201911/CK2019110502000132.html



【東京】板橋の小学生、ボール遊び場求め活動中 周りの施設や状況調査(2019/11/5東京新聞)
 子どもの意見を聞いて−。板橋区の児童相談所建設に伴って、サッカーや野球の練習場所だったグラウンドが使えなくなった小学生八人が「遊び場」を求めて声を上げている。区内の状況を調べて発表会を開くと、大人たちが耳を傾けるようになった。都会で安全な「遊び場」を確保するには、どうしたらよいか。新たな動きが出始めている。 
 「東京に遊び場を作れなど、とてもむずかしい事です。だけどぼくは、サッカーでいろいろな努力をしていきたいです」
 区立加賀小六年の相沢悠真君(12)は二月、坂本健区長にそんな手紙を出した。ボール遊びが好きな子どもたちの居場所だった旧板橋第三小学校グラウンドは、児相などが入る施設の用地で、同月からの工事で一般の利用ができなくなった。
 三月、坂本区長から代替場所として本町児童遊園などを紹介する返事が届いた。しかし、同様に活動場所を失った利用者が集まっていたり、決められたボールを使うといったルールがあったりして遊びにくい。
 「遊び場」が見つからない中、いろいろと不満を聞いていた神元幸津江さんの呼び掛けで、月に一度、子どもたちが主体的に考える「子ども会議」が始まった。神元さんは三月まで、旧小学校校舎内に入る「いたばし総合ボランティアセンター」の職員をしていた。
 会議の一方で、相沢君たちは、周りの施設を見て回り、遊び場の状況を調べた。九月末に開催した活動発表会では、訪れた大人から「子どもたちの意見も聞くことが必要だ」「安全のためにも、思い切り遊べる場を確保できないか」などの声が上がった。
 「年齢に関係なく皆が思い切り遊べる場所を作りたい。子どもにも議論をさせて」。相沢君らは今月、子どもの遊び環境の整備を求める陳情を区議会に提出する予定だ。
 子ども会議を見守ってきた区議は「思いを受け止め、子どもを含めた街づくりの一歩にしたい」、別の区議も「遊び場の問題に限らず、子どもたちの意見を社会に出す仕組みを作りたい」と話す。区の担当者は「子どもたちの声を聞かない姿勢はない」としている。
 神元さんは「最初は自分たちのためだったが、児相の必要性を理解し、弟、妹世代のためにどんな場所があるべきかまで話し合うほど成長していった。子どももちゃんと考えていて、大人は議論の場所をもっと作らなければ」と話した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201911/CK2019110502000127.html



<金口木舌>それでも蹴らない(2019/11/5琉球新報)
 タイやビルマの戦線を転戦した日本陸軍の尉官の述懐がある。戦場は「自分がやらなきゃ殺されるからやっているに過ぎない。そんな環境に置かれたらもう理屈ではない」
▼ラグビーの経験者だった。戦後、狂気の環境を二度と生まないよう、スポーツが果たせる役割を追求した。早大教授としてラグビーを実践例に指導哲学を構築した故大西鉄之祐さんだ
▼ラグビーの試合で、審判の目を盗み相手を蹴ってのしたら勝てるとしても、そこで「これは悪いことだ」と気付き、やめられることを重視した。争う中でも自らを律する「闘争の倫理」だ。戦争につながることを忌避する心も育めると考えた
▼激しい接触を伴うラグビーで規律や品位は何より大切にされる。強い体をつくり、戦術を練って最善を尽くす。対戦相手がどの国であっても、同じ努力を重ねた相手への尊敬を忘れない
▼ラグビーワールドカップ(W杯)が閉幕した。外国出身の多い日本代表は「ワン・チーム」を体現し、大躍進で多様性の妙を示した。南アフリカはさまざまな出自の選手が結束して頂点に立った
▼「国々が互いに結びついて一つの揺るぎない世界に」。W杯テーマ曲「ワールド・イン・ユニオン」の一節だ。大西さんは、スポーツは平和を愛するための重要な手段とも説いた。その教えが重みを増していると感じさせる日本大会だった。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1020116.html


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