2020年04月04日

PICK UP NEWS


【社説】刑事司法を改革せよ 再審無罪判決(2020/4/1東京新聞)
 やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い。
 滋賀県の病院で二〇〇三年、七十二歳の男性患者が死亡。看護助手だった西山さんが「人工呼吸器のチューブを外した」と「自白」して殺人容疑で逮捕され、懲役十二年が確定した。この判決で、死因は自白に沿う「低酸素状態」、つまり窒息状態とされた。
 「自白」は虚偽で、鑑定による死因も誤っていた−。今回の再審で無罪を言い渡した判決文は、明確に書いた。「何が何でも有罪を」と前のめりになる捜査と、それをチェックできなかった司法を批判した。
 なぜ捜査段階で「自白」したのか。判決は「取り調べの警察官の不当な捜査によって誘発された」と断じる。
 その背景として、西山さんには知的障害によって迎合的な供述をする傾向があると認定。取り調べの警察官は、自分に好意を持っていたことに乗じて「西山さんをコントロールする意図があった」とまで述べ、西山さんが捜査側の術中にはまった過程を分析した。
 また、死因について無罪判決は、「低カリウム血症による致死性不整脈」などを認定。つまり呼吸器はつながったままの自然死だった可能性が高いと判断した。
 今年二月に始まった再審が素早く無罪判決に至ったのは、西山さんの早期汚名返上の見地からは喜ばしいものの、担当の警察官を法廷に呼ぶなどして虚偽の自白に至る経緯を検証してほしかった。
 大津地裁の裁判長は、無罪判決の言い渡し後、明確な謝罪はなかったものの、西山さんに「刑事司法を改革する原動力にしていかねばならない」と決意を述べた。「もう、うそ(誘導された自白)は必要ない」とも語り掛けた。
 この冤罪(えんざい)事件では、捜査のずさんさを見抜けなかった裁判所にも大きな責任がある。最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け、八つ目の大阪高裁がようやく再審開始を決定、最高裁を経て十番目の大津地裁が無罪判決を出した。事件発生から十七年がたっていた。
 この間、二十代と三十代を獄中で過ごした西山さんは大きな損失を被った。メンツのための捜査、あるいはいったん下された判決に忖度(そんたく)するような訴訟指揮はなかったか。検証して出直してほしい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020040102000148.html



<社説>新型コロナ米兵感染 地位協定の問題浮き彫り(2020/4/1琉球新報)
 米軍は新型コロナウイルスの感染防止のためどのような対策を講じているのか。兵士は無防備のまま国内外を行き来しているのではないか。そうした疑念が拭えない。

 米空軍嘉手納基地第18航空団の空軍兵2人が欧州への渡航から戻った後、新型コロナウイルスに感染していることが判明した。米軍がフェイスブックで公表した。
 外務省沖縄事務所と沖縄防衛局の県への報告によると、2例ともPCR検査を受け陽性が確定した。このうち1人の家族も感染したことが確認されている。
 1例目の空軍兵は海外から戻った後、15日間の行動制限下に置かれていた。同基地の医療チームは接触者を特定し、濃厚接触した家族の行動も制限したとしている。2例目は海外から戻り、行動制限下に置かれているという。
 2人はどこで感染したのか。行動履歴はどうなっているのか。居住しているのは基地内なのか、それとも基地の外なのか。県民は確認、検証するすべがない。それだけに米軍には正確で詳細な情報を発信することが求められる。このままでは臆測だけが独り歩きしかねない。
 実際、米軍基地内での感染状況については、さまざまな憶測が飛び交ってきた。1月末には「基地内で感染者が出た」などとうわさが広まった。米軍がそれを否定する声明を出したこともあった。
 多くの情報が開示されず、基地はブラックボックスと化している。
 政府は中国、韓国、欧州の一部などに入国拒否措置を発動した。さらに米国や英国、中国、韓国の全土からの外国人について入国を拒否する方針を固めている。米軍もこの措置に従うべきだが、「抜け穴」になる恐れがある。
・・・ 県は米軍や外務省沖縄事務所、沖縄防衛局に対し(1)行動履歴や濃厚接触者の状況、県民との接触の有無など情報の公開(2)米軍人・軍属等に対して密閉空間、密集場所、密接場面など集団感染の起こりやすい場所へ行くことを避ける(3)日本人従業員に対する感染防止に万全を期す―ことを申し入れた。
 日米地位協定に基づき、米軍は日本の検疫を受けず、米軍の検疫手続きが適用される。大きな問題だ。
・・・ 新型コロナの感染拡大で地位協定がもたらす危険性が改めて浮き彫りになった。県民の命や健康を守るためにも早急な改定が不可欠だ。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1099592.html



<新型コロナ>「緊急事態宣言 出す時期」 政府諮問委の日医幹部(2020/3/31東京新聞)
 新型コロナウイルス感染症の急拡大で緊急事態宣言を出す際に政府が判断を仰ぐ諮問委員会のメンバーを務める釜萢敏(かまやちさとし)日本医師会常任理事は三十日の記者会見で、宣言について「個人的には発出し、それに基づき対応する時期ではないかと思う」と話した。政府は、東京都を中心とした感染拡大の現状を踏まえ、発令の要件に適合するかどうか本格的な検討に入った。 
 釜萢氏は、新型コロナウイルスの流行状況などの分析を行い、見解を示す政府の専門家会議と、緊急事態宣言に関する諮問委のメンバーを兼務している。
 釜萢氏によると、この日の専門家会議メンバーらによる非公式の電話会議でも「もう宣言をした方が良いのではないか」という意見がほとんどだったという。患者が急増する東京では、感染経路が不明の症例が相次ぎ、封じ込め対策が難航。医療機関では防護服やマスクといった必要な物資が不足し、病床(ベッド)が足りなくなる恐れも高まっている。
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は会見で、「ぎりぎりの状態にある。各方面の専門的な知見に基づき、慎重に判断することが必要だ」と強調した。
 政府は宣言を出した際の経済的な悪影響を懸念してきた。だが、専門家から発令を求める意見が出始めてきたこともあり「そんなことを気にしている場合じゃない」(高官)と急速に危機感を強めている。
 立憲民主党の枝野幸男代表も「フェーズが変わりつつある。補償とセットになった緊急事態宣言を真剣に検討しなければならない段階に入った」と指摘した。
 特措法は「国民の生命、健康に重大な被害を与える恐れがある」「全国的かつ急速なまん延により国民生活と経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある」の二つの要件を満たせば、首相が宣言を出せる。政府は既に「生命、健康に重大な被害」は該当するとしている。
 発令されれば、対象となった都道府県の知事が外出自粛の要請や、百貨店など大人数が集まる施設の使用制限、学校の使用制限を要請・指示することなどができる。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202003/CK2020033102000172.html



(声)電力業界が今すぐすべきことは 農業手伝い 小松惠一(茨城県 67)(2020/3/31朝日新聞)
 関西電力が東日本大震災後に電気料金を値上げした際、その前提として実行した役員報酬カットを退職後に補填(ほてん)していたという。3億6千万円相当の金品受領に続き不正がまた明らかにされた。あきれて開いた口がふさがらない。電力業界の隠蔽(いんぺい)体質を我々は再認識すべきだ。
 そもそも電気料金値上げの理由は原発が使えず経営を圧迫する――だったと思う。2016年から始まったという今回の補填などは経営を圧迫しないのか不思議だ。ここまで隠蔽を続けてきた電力業界が「原発再稼働が必要だ」と言っても、到底認めるわけにはいかない。
 電気事業連合会の新会長は「関電問題では、信頼を失墜し申し訳なく思っている。ただ、問題の本質がどこにあるのかがまだよくつかめていない」と話したというが、そんなことを言っている場合だろうか。電事連の行動指針に「社会的良識をもって誠実かつ公正な事業活動を遂行する」とある。新会長は再稼働が遅れる他社を牽引(けんいん)する意欲も示したが、関電を含む電力業界がまずやるべきことは、「電気利用者への背信行為」をやめ、国民に真摯(しんし)に向き合い、原発再稼働をやめることだ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14423188.html?iref=mor_articlelink04



(声)濃厚接触避けられぬ訪問介護 介護福祉士 加藤英嗣(神奈川県 71)(2020/3/31朝日新聞)
 ああ、今日も体温はOK、せきもなし! 毎日びくびくしながら訪問介護の仕事をしています。車やバイクで1日7、8軒ほどの家庭を回ります。オムツ交換や食事・入浴介助、買い物、調理、掃除、洗濯など仕事は待ったなしです。一人暮らしの利用者も多く、食事の準備や汚れ物の処理は毎日欠かせません。新型コロナウイルスの問題で行政は外出を控えるよう言いますが、訪問介護員はそうはいかないのです。
 毎日毎日、新型コロナウイルスのニュースが報道されます。でも訪問介護についての話はあまりされません。もし訪問介護員に感染者が出た場合はどうなるのでしょうか?
 事業所では毎日手洗いを怠らないようにと指導され注意はしています。でも、訪問介護員は1週間に何十人ものお年寄りと接触しています。その仕事の内容は肌が触れ合う「超濃厚接触」なのです。
 私たちが一番恐れるのは、自分が感染し自覚症状がないまま、お年寄りと接触し感染させることです。お年寄りの死亡率が高いからです。具体的な対策がすぐに見つかるとは思いませんが、訪問介護に何らかの対策が必要ではないでしょうか。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14423187.html?iref=mor_articlelink03



(社説)辺野古問題 無理に無理を重ねる愚(2020/3/31朝日新聞)
 ものごとの本質に目を向けず、細かな法律論を繰り広げた末に、一般社会の常識からかけ離れた結論を導きだした。そう言わざるを得ない判決だ。
 沖縄・辺野古の埋め立てをめぐる県と国の訴訟で、最高裁は26日、県側の主張を退けた。
 海底の軟弱地盤の発覚などを理由に、県が埋め立ての承認を撤回したのに対し、防衛当局がこれを取り消すよう国土交通相に請求。期待どおりの裁決をもらって工事を強行したため、県が裁判に訴えていた。
 同じ内閣を構成する「身内」が裁決して便宜を図る異様さ。そしてその際に使ったのが、本来、行政機関から不当な処分を受けた国民を救済するために設けられている行政不服審査制度だというおかしさ――。
 だが最高裁は、埋め立て法の条文に照らすと国の機関も一般私人(国民)も立場に違いはないと判断して、国側の脱法的な行為を追認してしまった。
 木を見て森を見ないとはこのことだ。結果として沖縄の声を封殺した判決を、玉城デニー知事が「地方自治の理念に反し、将来の国と地方公共団体のあり方に禍根を残す」と厳しく批判したのはもっともである。
 ただし今回の裁判で争われたのは手続きの当否で、埋め立て行為そのものに、司法がゴーサインを出したわけではない。
 政府は軟弱地盤対策のための設計変更を近く申請する方針だが、県は認めない構えだ。辺野古ノーの民意が繰り返し示されているのに加え、3年以上かけて7万本余の杭を海底に打ち込むという工事が環境に与える影響は甚大で、到底受け入れられるものではないからだ。
 にもかかわらず政府は、負荷を小さく見せることに腐心し、「環境影響評価(アセスメント)をやり直す必要はない」と言ってきた。最高裁判決の1週間前、辺野古の住民らが別途起こした裁判で、那覇地裁は請求は退けたものの、「埋め立てに際しては、改めて環境影響評価が実施されるべきことが考慮されなければならない」と述べている。当たり前の話だ。
 社説で繰り返し指摘してきたように、米軍普天間飛行場の辺野古への移設は完全に行きづまっている。政府は辺野古に固執するのをやめ、普天間の危険性の早期除去にこそ力を尽くすことが求められる。
 最高裁判決と同じ26日、沖縄県が設けた有識者会議は米軍の戦略構想も踏まえ、海兵隊を本土などに分散配置することが安全保障上も合理的と提言した。
 政府試算でも1兆円近い巨費を投じ、軟弱地盤を「改良」して基地を造ることが理にかなうか。答えは誰の目にも明白だ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14423185.html?iref=mor_articlelink02



パンくん心配…風呂で泣いた志村園長 どうぶつ園の交流(2020/3/31朝日新聞)
 志村けんさんのテレビ番組「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ系)には熊本県阿蘇市の「阿蘇カドリー・ドミニオン」で飼育されるチンパンジーのパンくん(18歳)とその娘プリンちゃん(4歳)が出演していた。
 動物のトレーナーで、ロケなどを通し16年前から志村さんと親しくしてきた宮沢厚園長(60)は30日、報道陣の取材に応じ、「パンくんやプリンちゃんが喜びの声を上げて志村さんに抱きつくと、志村さんも本当にうれしそうににっこり笑って動物たちと抱き合う。あの笑顔が見られないと思うと、何とも言えない気持ちになる。心から冥福を祈ります」と語った。
 宮沢さんによると、ロケの後、パンくんは宮沢さんの手をふりほどき、帰ろうとする志村さんを追いかけ、しがみついて離さないこともあった。「動物は一瞬で人柄を見抜く。人間だけじゃなくて動物にもあれだけ愛される人は初めて見た。本当に素晴らしい方でした」。志村さんも動物が大好きで、しばらくプリンちゃんに会えないと「どうしてるかな」と心配し、夜中にお風呂に入っていてふと「パンくんどうしてるかな」と思い出し、涙が出たという話も宮沢さんは聞いた。「事務所には俺が言っとくから大丈夫」と言って園内での動物劇場に無償で出演したり、一緒に飲みながら舞台でのネタを考えてくれたりしたこともあったという。
 2016年の熊本地震で志村さんはすぐに「大丈夫か」と電話をくれ、SNSでも動物たちを心配する声を発信。翌月には園を訪れてくれた。地震前も2カ月に1度ぐらいのペースで撮影に訪れていたが、地震後は番組で扱う回数を増やし、毎月訪れていた。
 阿蘇に観光客の足が戻らないことを心配し、いろいろなアイデアでも施設を応援してくれたという。昨夏は、プリンちゃんを志村さんが抱っこしている姿を動物ショーの案内板に載せようと志村さん自らが言い出し、その案内板と写真を撮るために訪れるお客さんもいた。「とにかく阿蘇が復興するまで応援し続けるからと言ってくれていた。どれだけ頭を下げても下げきれないぐらい感謝しています」と宮沢さん。
 最後のロケは2月27日。「疲れた様子もなく、すごく元気な姿で、プリンちゃんといっぱい遊んでくれました」。今月26日もロケの予定で準備を進めていたが、数日前に「志村さんの体調がよくない」とディレクターから連絡があり中止に。新型コロナウイルス感染のニュースを聞き、「びっくりした。情報が錯綜(さくそう)し、少しずつよくなっているという話もあったので、早くパンくんたちに会いに来てほしいと思っていた」と宮沢さんは話した。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3Z5HHCN3ZTLVB00J.html?ref=mor_mail_topix3_6



<新型コロナ>国会審議オンラインで れいわ舩後氏に賛同の声(2020/3/30東京新聞)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、インターネットなどの情報通信技術を使って国会審議に参加する仕組みが注目されている。重い身体障害があるれいわ新選組の舩後(ふなご)靖彦参院議員が導入を訴え、与野党内から賛同の声が出ている。今後は、議決について「出席議員の過半数でこれを決し」とする憲法56条の解釈や技術の確立が課題となる。 
 舩後氏は「人工呼吸器を装着しており(新型コロナウイルスに感染したら)命に関わる」と本会議や文教科学委員会への出席を一時見合わせた。その後出席した委員会では、ネットを使った会議システムが一般化していると指摘。感染が拡大する今こそ、国会審議への遠隔参加を検討するよう求めた。
 自民党の野田聖子・政治制度改革実行本部長は、舩後氏の訴えに「当たり前だ。議決のタイミングで感染者が出たら議会が止まる」と理解を示す。議員には高齢者も多く、感染が広がれば審議に影響がでかねない。
 舩後氏と同じ委員会に出席する国民民主党の伊藤孝恵参院議員も、障害のある議員への配慮はスロープなどの施設整備にとどまるべきではないと語る。政府が民間企業への在宅勤務を要請していることもあり「国会議員の在宅勤務や遠隔審議についても議論をしてほしい」と話す。
 京都大法学部の曽我部真裕教授(憲法学)は、一九四六年の憲法公布時には議決時は議員が議場にいることを想定していたとして「当時はなかったオンライン出席(という形態)が違憲になるわけではない」と指摘。「産前産後や病気、新型コロナウイルス感染の危険が高い場合など、一時的な理由での審議の遠隔参加は検討を進めてもよいのではないか」と話す。同時に、遠隔参加者が議場にいる議員と同じように審議や議決に参加できなければ「違憲の疑いが出てくる」とも指摘する。
 自民党内では数年前から、女性議員が妊娠や出産で議場に行けない場合の、ネットを使った議決参加が検討されてきた。昨年三月に制度導入を目指す動きがあったが「憲法との関わりがあるので、慎重な議論が必要」(森山裕国対委員長)など党内から否定的な意見が相次ぎ、見送られた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/202003/CK2020033002000120.html



将官の天下りあっせんか 陸自、組織的関与の疑い(2020/3/30東京新聞)
 陸上自衛隊の将官級(陸将、陸将補)の天下りをあっせんするため、自衛隊法に反し、陸上幕僚監部の募集・援護課職員らが企業側と接触した疑いがあることが、防衛省関係者への取材で分かった。防衛監察本部は既に、退職した陸自の将官級百人以上の再就職について調査を開始。組織的にあっせんしていた可能性があり、防衛省は処分を検討している。
 旧防衛庁時代には天下り先確保のために業者と癒着し、刑事事件に発展したケースもあり、再就職の法規を軽視する体質が改めて問われそうだ。
・・・ 一佐以下の自衛官は五十六歳までに退職する「若年定年制」を採用。自衛隊法の規則により、一佐以下は防衛相指定の就職援護隊員が再就職を企業に依頼できる。一方、六十歳定年の将、将補は一般職国家公務員と同様に内閣人事局が管理し、防衛省・自衛隊は関与しないことになっている。
 内閣府の再就職等監視委員会も、陸自将官の天下りあっせん疑いを把握しており、防衛省と共に調査を進めている。
 複数の関係者によると、募集・援護課の職員が省内のパソコンを使い、経歴などを企業側とやりとりした形跡が調査で確認されたという。課内で代々、引き継ぎもあったとみられる。
 将官級は防衛関連企業の顧問に天下るケースが多い。数年の勤務後、次の退職者が後任となるように募集・援護課が取り次いでいたとみられる。
 二〇〇六年に旧防衛施設庁幹部らが逮捕された談合事件では、天下りの受け入れ実績に基づき、工事業者の割り振りを決めていた。一九九八年に防衛庁調達実施本部の元本部長らが逮捕された背任事件でも、企業からの国庫返納金を減額する見返りに天下りを受けさせていた。
<自衛官の定年と再就職> 階級によって定年が変わり、最上位の将、将補が60歳、1佐56歳、2佐と3佐55歳、1尉〜1曹54歳、2曹と3曹は53歳となる。それより下位の士長、士の多くは任期制で採用される。1佐以下の場合、防衛相が指定する就職援護隊員が退職者の雇用を企業側に依頼できる。職務上の利害関係がない企業であれば、退職予定者が自分で求職活動をしてもよい。将、将補は一般職の国家公務員と同じ扱いになり、防衛省が再就職をあっせんすることは禁じられている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020033002000098.html



溶融核燃料取り出しに1兆円超 福島第1原発、31年度末までに(2020/3/30東京新聞)
 東京電力ホールディングスは30日、福島第1原発1〜3号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し準備などのため、2031年度末までにかかる費用として1兆3700億円が想定されると発表した。
 内訳は2号機の内部調査や1〜3号機建屋の除染などに3300億円、2、3号機のデブリ取り出し設備などに1兆200億円、2号機のデブリの試験的取り出しなどに200億円。31年末までの廃炉作業内容などを具体化した「廃炉中長期実行プラン」を27日に公表したことを踏まえ、算定した。
 これまではデブリ取り出し費用が算定できていないなどとして、20年3月期の業績予想は未定としていた。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020033001002150.html



【社説】原発銀座の50年 あっても、なくても(2020/3/30東京新聞)
 <福井県の、ぼく、おおい町出身でね、知ってます? 原発の町、おおい町です>
 時事ネタで人気のお笑いコンビ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんは、こう切り出した。昨年暮れにフジテレビ系で放映された「THE MANZAI」のひとこまだ。
 <おおい町の隣は、高浜町ね。高浜町には疑惑だらけの高浜原発がありまして、その隣には美浜原発がありまして、その隣には敦賀の『もんじゅ』があったんです。でも、おおい町には夜の七時以降は開いてる店がほとんどない。真っ暗になる。これ叫ばせてください。電気はどこへ行く〜>
 ここで客席、大爆笑。
 <地元の人間にしてみれば原発があっても怖いし、なくても怖い。あったらあったで地震があったら怖い。なかったらなかったで経済が回らないから怖いですよね>
 ふるさとの本音を代弁するかのようなマシンガントークが続く。客席は何度も笑いに包まれる−。 「原発銀座」と呼ばれる福井県の若狭湾沿岸部は、世界に類のない原発の密集地。村本さんが言うように、関西電力の大飯、高浜、美浜、日本原子力発電の敦賀、そして日本原子力研究開発機構の実験炉「もんじゅ」と「ふげん」−。廃炉が決まったものも含めて、計十五基の原子炉が湾内にひしめく、まさに「銀座」の様相だ。
◆「平和利用」に誘われて
 原発銀座の一丁目、第一号となる敦賀原発の運転開始から、今月で五十年が経過した。
 一九五三年、アイゼンハワー米大統領の「アトムズ・フォー・ピース(原子力の平和利用)」演説をきっかけに、唯一の被爆国日本にも原子力ブームが巻き起こる。
 福井県は五七年、産学官の代表による「福井県原子力懇談会」を組織して原発誘致に乗り出した。
 繊維に代わる新しい“地場産業”がほしかった。太平洋側の発展に「追いつけ追い越せ」の機運もあった。
 核分裂同様、原発立地も連鎖する。原発が立地されると、見返りに電源三法交付金など「原発マネー」が流れ込み、庁舎や保養施設のような、立派なハコモノが建設される。それを見て、近隣の自治体が名乗りを上げる。時あたかも高度経済成長期。電力需要も右肩上がり。若狭の浜辺はこうして「原発銀座」になった。
 だが、やがて期待はしぼんでいった。元福井県原子力安全対策課長の来馬克美さんは書いている。
 「原子炉建設によって道路などのインフラは整備された。また、建設労働者の流入により、一時的に地域経済が潤いもした。しかし、それは土木建設業界が活躍する建設工事の初期までであり、機器設備類の組立や実際の稼働に入る頃には、原子力発電所建設による利益を受けるのは立地市町周辺に限られることが明らかになっていた」(「君は原子力を考えたことがあるか」)
 立地自治体の住民があまねく恩恵を受けたわけでもない。
 村本さんと同じおおい町に生まれた作家水上勉は、こう書いた。
 「人を信じるしかあるまい。関電の技師さんを信じるしかあるまい。原発の安全は人間を信じることだ。ひとつそれがくずれれば、イカ釣り舟も地獄の宴(うたげ)だ」(「若狭がたり」)。多くの人が不安を押し殺し、原発との共存を自らに強いてきたのではなかったか。
 福島第一原発の事故を境に若狭湾の潮目も変わり、うち続く電力会社の不祥事は、地元との信頼関係に、とどめを刺した感がある。
◆「百年」はあり得ない
 老朽化した敦賀1号機は廃炉が決まり、2号機直下には大地震を起こす恐れのある活断層の存在が指摘されている。3、4号機の建設予定地は更地のままだ。新増設の見込みはない。原発銀座に「百年」はあり得まい。世界は再生可能エネルギーの時代になった。
 半世紀−。原発の真の受益者は、地方が送る電気を使い繁栄を謳歌(おうか)してきた都会の電力消費者だった。若狭のような供給地の未来をどうするか。消費者もともに考える時。例えば村本さんの原発ネタが、きっかけになればいい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020033002000107.html



<新型コロナ>欧州ホームレス 窮地 厳格な外出制限で支援縮小(2020/3/29東京新聞)
 新型コロナウイルス対策のため厳格な外出制限が導入された欧州で、路上生活者(ホームレス)が困難に直面している。食事を得る手段は激減し、支援施設の閉鎖やボランティア活動の縮小が相次ぐ。収容先を確保する動きがあるが、集団感染を招く危険性もある。 
 「街に出る人が減り、恵んでもらえる小銭が少なくなった。たまにもらえるパンや果物でしのいでいる。政府は家にいろと言うが、行き場がない」。ベルリンの地下鉄駅で通路に座り込んでいたアデルベルトさん(40)は疲れた表情で話した。五年前から路上生活を続けているという。
 ドイツ国内の路上生活者は推計約四万一千人。路上生活は衛生状態が悪い上、持病を抱えている人も多く、感染すれば重症化するリスクが高い。
 ベルリンのホームレス一時滞在施設では、スタッフの感染が判明し閉鎖。担当者は「再開できても、食べ物の提供などだけに限られるだろう」と話す。全国的な支援団体BAGWのウェレーナ・ロゼンケ代表は「配食や医療など各種支援活動が相次いで縮小され、ホームレスが置かれた状況は危機的だ」と懸念する。
 国内の路上生活者が約十五万人とされるフランスも同様の状況だ。約八百の支援団体を取りまとめる全国組織FASのギヨーム・シェリュイさん(34)は「非常に多くの施設が閉鎖され、ボランティアも半減した。路上生活者らがまったく食事の支援を受けられなくなった」と言う。公衆トイレや路上生活者向けシャワー室も大半が閉鎖され、衛生状態は悪化している。
 支援ボランティアは退職後の高齢者が多い。感染を恐れて外出を避け、休校で在宅する子どもや孫の面倒を見るために活動できなくなった人もいる。感染症対策のマスクは医療従事者が優先されて支援関係者の手に渡らず、活動に不安を抱える人も少なくない。
 英国では約三十年前に創刊された路上生活者の自立を支援する雑誌「ビッグ・イシュー」が路上生活者による街頭販売を停止した。創業者ジョン・バード氏は声明で強い危機感を表明。それでも発行は続ける考えで宅配による購読などを呼び掛けている。
 こうした中、各国政府や自治体は路上生活者の収容先確保に乗り出している。仏政府は冬期限定の路上生活者向け宿泊施設の開放を延長。ベルリン市はユースホステルの部屋を確保した。ロンドン市も二十五日までに三百三十人超をホテルに収容。南仏カンヌ市は五月に予定されたカンヌ国際映画祭が延期され、会場を路上生活者に提供した。ただ衛生環境に問題があったり相部屋になったりすれば、集団感染の恐れもある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/202003/CK2020032902000127.html



あの日、私は一度死んだ 渡嘉敷島「集団自決」75年 父に首絞められ(2020/3/29琉球新報)
 【渡嘉敷】1945年3月28日、沖縄戦時に渡嘉敷島で「集団自決」(強制集団死)が起きた。この日、渡嘉敷村の金城鶴子さん(91)=当時15歳、旧姓内原=は北山(にしやま)で「天皇陛下、万歳」の声を聞いた。その直後、背後から首を絞められ気絶。目を覚ました時、家族は死んでいた。生き残った金城さん。再び「戦争に近づいている」と感じるようになり、メディアに初めて体験を語った。

 金城さん一家は23日の空襲で大見謝山にある壕に避難していたが、警察官の指示で大雨の中、阿波連集落から北山へ向かった。27日夜中に到着。雨と寒さをしのぐために寄り添い合って眠った。
 28日昼すぎ、すぐ近くで「天皇陛下、万歳」の声が上がり次第に大きくなった。「日本が勝ったんだ」。一緒になって「万歳」を唱えた。その直後、タオルで首を絞められた。
 次に目覚めた時には、そばに母と姉2人の死体が並べられ、父親は首をつって死んでいた。後に聞いた話によると「万歳」は「集団自決」を覚悟した人たちの声だったという。「父は家族を並べて最後に首をつったんだろう。あの日、私は一度死んだ」。金城さんは父親に首を絞められたようだった。
 「米軍に見つかったら何をされるか分からない」。7カ月のおいを背負って逃げた。米軍の通訳をしていた男性に「米軍は誰も殺さないからおいで」と言われ、「どうせ死ぬ」と諦めてついて行った。座間味島へ集められ、復興作業を手伝い配給を得た。
 3カ月がたった頃、寂しさに襲われ始めた。配給のおにぎりは、空腹でも全部は食べられなかった。「おなかすいていたよね」。父の分、母の分、姉の分―と、おにぎりを分けて置き、残りを食べた。「寂しくて何度も死のうと思った」

 戦後75年。「辺野古に基地を造る話など、穏やかではない。地獄だった戦を忘れてはならない」。握った拳に力が入った。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1098028.html


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2020年03月28日

PICK UP NEWS

<社説>米軍慶良間上陸75年 原点立ち返り平和築こう(2020/3/27琉球新報)
 県民の貴い生命や財産を奪った悲惨な体験を忘れず、後世に語り継がなければならない。戦争につながる一切を否定しなければならない。沖縄の平和を求め、これらの誓いを新たにしたい。75年前の3月末、日米で20万人余が命を落とした沖縄戦が始まった。
 1945年3月26日、米軍は座間味村に、27日には渡嘉敷村に上陸し、両村の島々を制圧した。米軍の砲撃と日本軍の強制・誘導によって住民500人余が「集団自決」(強制集団死)に追い込まれた。沖縄戦最大の悲劇が沖縄戦の緒戦で起きたのである。
 「本土決戦」への時間稼ぎのため沖縄に多大な犠牲を強いた「戦略持久戦」という日本軍の作戦方針と合わせ、県民は沖縄戦の悲劇から「軍隊は住民を守らない」という教訓を得た。さらには軍隊は住民と敵対する存在になることを多くの体験から学んだ。
・・・ 文部科学省は24日、21年度から中学校で使用する教科書の検定結果を公表した。歴史教科書の検定を合格した7社中6社が「集団自決」を取り上げたが、強制性の明記を避けたことは残念だ。一方、特集ページを設け、沖縄戦を詳述した教科書もある。これらの取り組みを評価するとともに、記述の歪曲(わいきょく)が起きないよう引き続き注視したい。
 先島の陸上自衛隊配備の動向も沖縄戦の教訓に反するものとして厳しい目を向けなければならない。
 宮古島市では市民の反対をよそに地対艦ミサイル発射台を搭載した車両が駐屯地に搬入された。石垣市では市民が求める陸自配備の賛否を問う住民投票を実施しないまま、市議会が沖縄防衛局への市有地売却議案を賛成多数で可決した。いずれも民意を踏まえた計画ではない。
 沖縄戦前年の日本軍配備は学校など公共施設、個人の土地や家屋の強制的な徴用を伴った。さらに、県民の根こそぎ動員によって日本軍陣地や飛行場が建設された。県や市町村行政が戦時行政の性格を帯びていった。
 日本軍駐屯が沖縄戦の悲劇へとつながった。この経験も踏まえ、私たちは宮古、石垣の陸自配備の是非を判断する必要がある。
 沖縄の現状を見つめ、進むべき将来を定めるため、私たちは幾度でも、戦後沖縄の原点である沖縄戦体験に立ち返らなければならない。
 そのことが沖縄の平和な未来を築く。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1096726.html



外出禁止令、ホームレスを直撃 人通りなく「収入」減る(2020/3/26朝日新聞)
 フランスで新型コロナウイルスの対策で出された外出禁止令が、約25万人に上る同国の路上生活者の生活を直撃している。支援団体の活動が難しくなり、人通りもほぼ消え、「収入」が減ったためだ。
 パリ西部。マンションの壁際で路上生活をするタイリ・カディジャンさん(46)は「あっという間に街が砂漠のようになってしまった」と話す。
 5年前に夫が病死して収入が途絶え、路上生活を始めた。生活困窮者向けに国から支給される月額560ユーロ(約6万7千円)の手当と、スーパーの前で客から時折もらう小銭や食料品が生活の糧だった。
 だが、17日からの外出禁止令で環境が一変。人通りが激減し、人々は急にマスクを着けだした。「私に誰も近づかなくなった」
 午後3時に市内の公的支援施設に通ってシャワーを浴び、イワシの缶詰やミネラルウォーターなど1食分が入った袋をもらって飢えをしのぐ。夕方になると布団に潜り、朝を待つ。
 パリで毎夕、路上生活者に食料を配ってきた支援団体ロバンデリュのトリスタン・ドレさん(26)は、「14日から支援活動ができないでいる」という。マスクや消毒剤が不足し、互いの安全を保証できなくなったためだ。
 17日に外出禁止令が始まったこともあり、多くの仲間の支援団体がいったん活動を停止した。「臨時の宿泊所は不衛生で、路上生活を選ぶ人がたくさんいる。彼らの中には新型コロナウイルスのことを知らず、どうして支援が途絶えたのかわからない人もいる。今ほど路上生活者が助けを必要としている時はない」
 別の支援財団アベ・ピエールの推計では国内の路上生活者は約25万人。政府は21日、彼らの臨時宿泊所としてホテルを活用することを発表。全国で2千室を用意する。南仏カンヌ国際映画祭の会場も、5月の開催予定が延期されたとして、50人が泊まれる臨時宿泊所として開放を決めるなど、少しずつ支援が始まっている。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3T354WN3SUHBI00S.html?iref=comtop_list_int_n03



「検察と警察の私物化」 野党が政府人事を批判(2020/3/26朝日新聞)
 安倍晋三首相の悲願だった集団的自衛権の行使を認めた人物は、果たして「警察の監督者」にふさわしいか――。26日の参院予算委員会で、横畠裕介・前内閣法制局長官を国家公安委員に充てる人事をめぐり、野党議員が問題視。政権に近いとされる東京高検検事長の定年延長の問題と絡め、「検察と警察の私物化だ」と迫ったが、菅義偉官房長官は「問題ない」との認識を繰り返した。
 政府は17日、横畠氏を国家公安委員に充てる人事案を国会に提示した。国家公安委員は首相の任命で、任期は5年。国家公安委員会は警察庁や都道府県警察の幹部の任命などの権限を持つ。
 横畠氏は検事出身で、1993年から法制局に勤務し、2014年5月に法制局長官に就任。安倍内閣が同年7月、長年禁じられてきた集団的自衛権の行使を認めるよう憲法解釈を変更した際には、当時の高村正彦・自民党副総裁や北側一雄・公明党副代表らとともに「5人組」の一人として、閣議決定の文案作りに秘密裏に関わった。歴代の長官が積み上げてきた「憲法上行使できない」とする解釈を、一転して認めた横畠氏に対し、強い批判が上がった。
 野党統一会派の小西洋之氏(無所属)は26日の参院予算委でこうした経緯を引き合いに「憲法の解釈変更を主導した人物を国家公安委員に内示するということは、警察の私物化を狙っているのではないか」と批判。菅氏は「まったく当たらない」と否定した。
 小西氏は、政府が法解釈を変えて黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年を延長したことを念頭に「安倍内閣は、検察と警察を私物化しようとしているのではないか」とも指摘したが、菅氏はこれも否定した。
 横畠氏は、19年3月の参院予算委で「(国会の機能は)声を荒らげて発言するようなことまでとは考えていない」と小西氏を揶揄(やゆ)するような答弁をし、金子原二郎委員長から厳重注意を受けている。小西氏は過去の因縁に触れ、「三権分立を侵すような職責を逸脱した横畠氏が、国民の良識を代表すると考える理由は何か」とただしたが、菅氏は「本人も取り下げておわびをしている」と述べ、問題視しなかった。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3V62RQN3VUTFK00X.html?iref=comtop_list_pol_n01



【社説】補助金一転交付 文化庁は反省と検証を(2020/3/26東京新聞)
 愛知県が昨年開いた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」への補助金を不交付とした文化庁が、一転して交付を決めた。こうした混乱に至ったことを同庁は率直に反省し、経緯を検証するべきだ。
 あいちトリエンナーレは、三年ごとの開催。昨年は、従軍慰安婦を象徴する「少女像」などからなる企画展が、「反日」といった激しい抗議を受けてわずか三日で中断する異常な状況となった。
 文化庁は愛知県に補助金七千八百万円を交付する予定だったが、手続き上の不備があったとして、全額の不交付を決定した。芸術家や識者らからは「事実上の検閲」と強い抗議の声が上がった。県側も訴訟を辞さない方針だった。
 だが文化庁は今月二十三日、約千百万円を減額するものの、補助金を交付することを表明。いったん内定した補助金の交付を一方的に取り消し、さらにそれを撤回するという極めて異例な事態だ。
 これを受けて識者からは、今回の決定を歓迎しつつも、どのような論理で不交付を撤回したのか明らかにするよう同庁に求める声が上がった。もっともだろう。
・・・ そもそもなぜ補助金は不交付とされたのか。政府は「文化庁の判断」としてきたが、そこに企画展を問題視した政治家などの介入はなかったのか。逆に、そうした意見に対する同庁の側からの過度な「忖度(そんたく)」はなかったのか。
 同庁が今後、自主的で自律的に施策を遂行するためにも、不交付の決定から撤回までの経緯を検証し、公開することが必要だろう。
 一九六八年の設置から半世紀あまりとなる文化庁。人が人らしく生きる上で大切な文化の営みに関わる官庁だが、一方でこの間、かけがえない歴史遺産である高松塚古墳(奈良県)の壁画の劣化を糊塗(こと)し、信頼を失いもした。今回の問題でも自らを戒め、今後の文化行政に適切に反映させてほしい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020032602000153.html



恐怖が支配、ガマの記憶 「集団自決」生き延びた女性が証言 米軍座間味上陸75年(2020/3/26琉球新報)
 米軍が座間味島に上陸した1945年3月26日、当時15歳で座間味国民学校高等科2年だった田中美江さん(89)=旧姓・高江洲=は家族と共に逃げ込んだガマで「集団自決」(強制集団死)の危機に直面した。島の教師が破裂させようとした手りゅう弾は不発だったため家族は生き延びることができた。島の米軍上陸と多くの村民が犠牲となった「集団自決」から26日で75年。田中さんは「戦争は人の心を壊し、夢や希望を持てないようにする」と平和の尊さを語り掛ける。
 45年3月23日の昼前。阿佐の山で同級生らと開墾作業に汗を流していた田中さんは米軍の空襲に遭い、田中さんは阿佐の集落内にある家に逃げ帰った。その日から家族5人の避難生活が始まった。
 空襲は24日も続き、25日には艦砲射撃が始まった。山は焼け、日本軍の応戦はなかった。田中さんは阿佐集落から離れた海岸線沿いにある「ユヒナのガマ」へ、祖母と母親、1歳年下の妹、3歳年下の弟と共に逃げ込んだ。その時には「恐怖心に支配されていた。もう駄目だと思った」
 ガマには教師が家族と共に避難していた。米軍の上陸で壕に逃げた住民は極限状態に追い込まれていた。手りゅう弾を持っていた教師は「一緒に自決してもよいと思う人は、先生の後ろにおいで」と呼び掛けた。死を覚悟した田中さんは「アイちゃん」と呼んでいたいとこと2人で先生の背後に回った。その時、祖母と母親は引き留めなかったという。
 教師が破裂させようとした手りゅう弾は不発だった。その後、カミソリを研ぎ始めた教師を見た住民が騒ぎ出し、一度は自決を決意した田中さんもわれに返って家族と別のガマへ移動した。田中さん家族はガマを転々とし、生き延びることができた。しかし、仲の良かった同級生3人は「集団自決」で亡くなった。
 「戦後75年はあっという間だった」と田中さんは自らの人生を振り返る。「体験談を語るのは、今はつらいとは思わない」と話し、自身の体験を島の子どもたちに語ったこともあるが、自決を決意したユヒナのガマでの記憶だけは曖昧だ。
 「恐怖心であまり覚えていない。一度死のうとしたのに、失敗した後で生きようと思った理由も分からない」と語り、その理由を「覚えていたくないからじゃない」と静かな笑顔を浮かべた。その表情は75年たったも消えることがない恐怖や悲しみを深く刻み込んでいるように見えた。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1096228.html



(声)コロナ政策、説明尽くしてこそ 無職 阿部成治(福島県 72)(2020/3/26朝日新聞)
 新型コロナウイルスの流行で、国や自治体が対策を呼びかけ、市民生活にいろいろ制約が生じている。
 なかでも、3連休前の「大阪と兵庫の往来自粛」要請には、驚いた。両府県で感染者が急増する、という政府資料に大阪府知事が危機感を感じたためだそうだ。だが当初、その資料すら公表されなかった。しかも法的根拠もない。
 こうした対策は、意義を理解した市民が進んで協力することで、効果が高まるはずだ。国や自治体の説明不足に危うさを感じる。
 私が大学教員の頃からまちづくりを調べているドイツ・ボーフム市は21日から、屋外の3人以上の集会を禁止した。初の市民の死亡例が発生したためだが、厳しい措置に驚いた。
 ネットで調べると、例外と期限がきちんと設けられている。また命令は約140語の文章だったが、その理由説明は4倍近い約530語だ。
 さらに法的根拠や不服の際の裁判手続きの説明も。日本と異なる「ていねいな説明」に感動すら覚えた。
 政策の狙いと考え方がわかれば、市民も主体的に行動できる。ドイツでは普通だが、日本もこのような説明努力を行うべきだと考える。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14416855.html?iref=mor_articlelink04



サウジ皇太子の側近らを起訴 記者殺害事件でトルコ当局(2020/3/26朝日新聞)
 サウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏が2018年にイスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、トルコ検察当局は25日、サウジのムハンマド皇太子の側近ら20人を起訴したと発表した。トルコはサウジに容疑者らの身柄引き渡しを求めているが、サウジ側に応じる気配はなく、トルコで裁判が開かれる可能性はほとんどない。
 トルコメディアによると、起訴されたのは、実行犯のほか、ムハンマド皇太子の側近のカハタニ元王室顧問と情報機関のアシリ元副長官ら。検察当局は2人の関与について、「凶悪な意図による計画された殺人を教唆した」としている。
 事件をめぐっては、サウジの裁判所が昨年12月、殺害に直接関わったとされる5人に死刑判決を言い渡した。カハタニ氏とアシリ氏については、事件に関わった十分な証拠がないとして釈放された。トルコ政府は判決後、「カショギ氏の遺体が発見されず、殺害の首謀者も明らかになっておらず、説明責任が果たされていない」と批判していた。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3T7R03N3TUHBI02Z.html?iref=comtop_list_int_n05



世界のコロナ感染40万人超える 死者、イタリアが最多(2020/3/26朝日新聞)
 新型コロナウイルスの世界の感染者数が25日、累計で40万人を超えた。米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センターが世界保健機関(WHO)や各国政府の発表を集計した。感染者は22日に30万人に達したばかりで、拡大に歯止めがかかっていない。
 同センターのまとめでは、感染者数は8万人超の中国本土に続き、イタリアが約7万人まで増えた。米国も急増しており、5万人を超えた。約4万人のスペイン、約3万人のドイツが続き、欧米での感染拡大が目立っている。
 死者数は世界で1万8千人を超えた。このうちイタリアが最多で7千人に迫っている。また、スペインが約2800人、フランスも1千人を超えた。ロイター通信によると、英国は24日午前9時(日本時間同日午後6時)で死者が87人(26%)増え、422人になった。同国の1日当たりの増加としては過去最大としている。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3T36H8N3TUHBI00S.html?iref=comtop_list_int_n05



「もう時間ない」イタリアからの悲鳴 2分間の衝撃映像(2020/3/25朝日新聞)
イタリア看護師連盟が公開した医療現場の危機を訴える映像の画面。「私たちは絶え間ない恐怖の中にいる」と書かれている
 新型コロナウイルスの欧州での感染の中心となっているイタリアで、医師や看護師らが悲痛な叫びを上げている。医療従事者の間で感染が広がり、現場の態勢が危機的な状況に陥っているとの訴えだ。国内の死者は5千人を超えたが、政府は外出禁止などの対策をとり始めて2週間となるこの数日が、感染の勢いを見極める山場とみている。
 「明日でなく、今すぐプロの人材が必要です。もう時間がありません」
 イタリアの看護師連盟が今月中旬に発表した2分弱のビデオ映像は、国内外に衝撃を与えた。
 画面に登場する現場の看護師らは、医療用のゴーグルの痕で目の周りが腫れ上がっていた。限られたスタッフが、長時間の勤務を強いられているためだ。
 医師や看護師らの身を感染から守る器材が不足し再利用せざるを得ない状況で、同連盟は「(看護師らは)絶えず感染の危険にさらされている」と訴えた。
 さらに同連盟は「尊厳がないまま死んでいく人を見ている。疲れ切った仕事の終わりでなければ、泣く時間もない」と、医療従事者が直面する現場の厳しい状況も伝えた。
 同国高等衛生研究所によると、21日の時点で約3700人の医師や看護師が新型コロナウイルスに感染。現場を離れなければならなくなり、現場の態勢に影響を与えている。
 政府は20日、感染が集中する同国北部の医療現場を支えるため、300人の医師を緊急募集。発表から24時間という短い受付期間にもかかわらず、全国の医師7923人が応募したという。
 支援の動きは、国外にも広がっている。中国は感染症対策の専門家チームを派遣し、マスクや人工呼吸器などの医療機器も届けた。キューバも約50人の医師と看護師を送ったほか、ロシアや米国からも医師が到着する予定だ。
 イタリア政府の発表によると、新型コロナウイルスによる死者は22日に5千人を超え、5476人となった。前日から651人増えたが、増加幅は前日に比べ減少した。感染者は5万9138人で、うち7024人が回復した。
 政府は、全土で行っている外出禁止や商業活動の停止など厳しい封じ込め対策から約2週間がたち、対策の効果がこの数日で表れるのではないかと期待する。22日に会見した市民保護局のアンジェロ・ボレッリ局長は「警戒を怠らず対策を続ける必要があるが、(増加幅の減少)傾向が確かなものになってほしい」との期待を示した。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3T3QZCN3RUHBI031.html?iref=comtop_8_03


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2020年03月27日

PICK UP NEWS


遺族メモ「国会答弁が改ざんの原因」  はぐらかす首相(2020/3/24朝日新聞)
 安倍晋三首相の国会答弁が引き金になった――。学校法人森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻が23日に公表したコメントは、くすぶり続ける疑問を改めて突きつけた。首相は野党から繰り返し質問されたが、自身の答弁の影響を否定。再調査にも応じなかった。
 同日午前に公表されたコメントは「安倍首相は2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました」との言葉で始まっていた。「私や妻が関与していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言い切った首相答弁を取り上げたものだ。
 財務省が18年6月に発表した調査報告書によると、この答弁の9日後から改ざんは始まった。だが、報告書は首相答弁の影響には触れず、改ざんの目的として「さらなる質問につながり得る材料を極力少なくすること」とし、当時の理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏が「方向性を決定づけた」とまとめていた。
 妻のコメントを受け、23日の参院予算委員会では、改ざんのきっかけが焦点となった。
 共産党の小池晃氏は、報告書の「さらなる質問につながり得る材料を少なくすること」の部分を引用しつつ、「『さらなる質問』とは首相に関する質問だ。国有地売却と、首相と夫人の関わりを明らかにしないための改ざんだったことを認めるか」とただした。
 首相は「小池委員は、なるべく私に(関与を)寄せよう、寄せようとしている」とはぐらかし、「それはまさに小池委員の見解だ。(私とは)見解が違う」と不快感をにじませた。そのうえで、週刊誌が報じた赤木さんの生前の「手記」に言及。「手記の中には、私の発言がきっかけだったという記述はない」と自身の答弁の影響を否定した。
 野党統一会派の芳賀道也氏(無所属)は赤木さんの「遺書」を読み上げ、「首相発言が改ざんのきっかけだ」と迫った。首相は「同じ質問ですから同じような答えになるのはお許し頂きたい。場外からのヤジが多過ぎる。ヤジがないとダメなんですか」と笑いながら答弁。「答弁が改ざんのターニングポイントというのは手記にはない」とし、関与を示す直接の表現がないことを繰り返し強調した。
 妻は同日午前のコメントで、再調査を拒む姿勢を示す首相や麻生太郎財務相を名指しし、「2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではない」と批判した。
 首相は予算委で「手記に新しい事実がある」などと再調査の必要性を何度も問われたが、佐川氏が改ざんの方向性を決定づけたことなどが財務省の報告書に書かれていることを挙げ、赤木さんの残した遺書や手記と報告書は「趣旨として同じ内容で両者に齟齬(そご)はない」と強調。再調査を改めて否定した。
 立憲民主党の福山哲郎氏が「第三者機関を入れて調査委員会を立ち上げてはどうか」と提案した際には、「最強の第三者機関と言われる検察がしっかりと捜査をした結果がもうすでに出ている」とし、その必要性を否定した。・・・
 麻生太郎財務相は23日午前の参院予算委員会で、森友学園に関する公文書改ざんを苦に自殺した財務省近畿財務局の赤木俊夫さんの遺族への弔問について、「原告と被告が裁判所以外で会うのはなかなか難しい」と述べた。18日午前の国会答弁では遺族の了解があれば弔問する意向を示していたが、その後、赤木さんの妻が国などを提訴したことを受け、一転、否定的な考えを示した。・・・
自殺した近畿財務局職員の妻のコメント(23日午前に公表)
 安倍首相は2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。
 麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。
 この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います。
自殺した近畿財務局職員の妻の2度目のコメント(23日午後に公表)
 今日、安倍首相や麻生大臣の答弁を報道などで聞きました。すごく残念で、悲しく、また、怒りに震えています。夫の遺志が完全にないがしろにされていることが許せません。もし夫が生きていたら、悔しくて泣いていると思います。
 調査報告書と遺書も齟齬(そご)がないということですが、齟齬はあると思います。なぜ齟齬がないのか明確にして頂きたいと思います。
 再調査をしないとのことですが、何を言われても何度も再調査の実施を訴えたいと思います。財務省の中の人が再調査をしても同じ結論になるので、是非、第三者委員会を立ち上げて欲しいと思います。このままうやむやにされるとすれば、夫の遺志が全く果たされないことになります。
 弔問に関しては、麻生大臣が裁判を理由に弔問を断るのは絶対におかしいと思います。私に会わなくても、夫のお墓をお参りするのはいつでもできるはずです。夫の墓前に手を合わせて欲しいと思います。また、もし麻生大臣が私と会って頂けるのであれば、是非ともお会いして、お話をお伺いしたいです。
https://digital.asahi.com/articles/ASN3R6VTSN3RUTFK01D.html?iref=comtop_8_06



筆洗(2020/3/24東京新聞)
 レコード会社のごみ箱の中に歌詞が捨てられていた。それをたまたま見かけた女性が拾い上げ、読んだところ、かわいそうな戦災孤児の歌だった▼これをどうしても歌いたい。関係者にかけ合った。ヒットした「ガード下の靴みがき」(一九五五年)である。ごみ箱の曲を拾い育てた人が亡くなった。歌手で女優の宮城まり子さん。九十三歳。誰も気に留めなかった存在に手を差し伸べる。その後の生き方と重なる逸話かもしれぬ▼父親は生活の苦しいジャズマン。弟さんと二人でたいへんな苦労をして音楽の道に入った。戦後は巡業の日々だったそうだ▼からだの不自由な子どもたちの養護施設「ねむの木学園」を設立したのは障害者というだけで教育が受けられない当時の現実と自身が子ども時代に経験した悲しみがある。弟さんとこんな約束をしていたそうだ。「泣いている子にやさしくしようね」。それが学園となった▼当初は俳優の道楽と見られ、苦労の連続だった。汚物の付いた何十枚もの下着を素手で泣きながら洗った。干し終えたとたん、ロープが外れて全部落ちた。「神様、私はうそつきです。やさしくなんかありません」。逃げ出したくなる日もあったという▼子どもたちにはこう教え続けた。「やさしくね、やさしくね、やさしいことは強いのよ」。「やさしくしようね」から逃げなかった強い人が旅立った。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2020032402000157.html



【社説】森友文書改ざん 佐川氏の喚問が必要だ(2020/3/24東京新聞)
 森友学園を巡る財務省の公文書改ざんは、行政に対する信頼を損ねる重大な問題だ。再調査はもちろん、佐川宣寿元理財局長の証人喚問など、国会の国政調査権に基づく真相の徹底究明が必要だ。
 文書改ざんを強いられた財務省近畿財務局職員の遺族が国と佐川氏を提訴したのに合わせて公表した職員の手記には、改ざんは「すべて(当時の)佐川理財局長の指示です」などと記されていた。
 手記が公表された以上、再調査すべきは当然だが、安倍晋三首相は拒否している。きのうの参院予算委員会でも、再調査を求める野党議員の質問に「麻生太郎財務相の下、事実を徹底的に調査し、明らかにした。捜査当局による捜査も行われた」と答えた。
 確かに、財務省は二〇一八年六月四日付で、文書改ざんに関する調査報告書を公表している。
 佐川氏の関与については「一連の問題行為は、国有財産行政の責任者であった理財局長が方向性を決定付けた」「国会審議をさらに紛糾させかねない対応は避けるべきであり、(国会に要求資料を)提出する前に中身をよく精査すべきとの指示をしていたものと認められる」などと記してはいる。
 しかし、報告書は佐川氏が文書改ざんの方向性をどのように決定付けたのかや、直接指示の有無については明らかにしていない。
 そもそも財務省の調査は内部調査にすぎず、事実関係の特定が難しく、推認も盛り込んでいるとした上で「今後、新たな事実関係が明らかになる場合、さらに必要な対応を行っていく」とも記す。
 「すべて佐川理財局長の指示です」と記された手記が公表され、新たな事実関係が明らかになった以上、再調査を拒む政府の姿勢は理解しがたい。財務省は内部調査にとどまらず、外部の専門家による再調査を行うべきではないか。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020032402000176.html



「笑わない被害者」勝手な虚像 性暴力被害 沈黙破る女性たち(2020/3/23東京新聞)
 当時十九歳の実の娘に性的暴行を加えたとして準強制性交罪に問われた父親(50)を、逆転有罪とした先日の名古屋高裁判決。一審の無罪判決は、被害者が「逃げられたはずだ」と断じた。そんな司法や社会の被害者に対する思い込みが、救済を遠ざけている。性暴力の無罪判決への抗議から各地に広がった「フラワーデモ」をきっかけに、レイプ被害を受けた女性が「偏見を変えたい」と沈黙を破った。 
 東京都内の大手企業に勤める久保田さん(28)は大学生の時、バイト先で会食に連れて行かれ、被害に遭った。トイレから出ると飲み物が勝手に取り換えられていた。口にした後、記憶が途切れた。意識が戻ったのは会食の場にいた男に暴行された後だった。
 七年後の昨年十二月下旬、ネットの書き込みに衝撃を受けた。「本当の被害者はこんなふうに笑えない。知り合いが言っていたよ」。書き込みには三万件の「いいね!」。元TBS記者の性暴力を訴えて勝訴した、ジャーナリスト伊藤詩織さんが笑顔で取材に応じる写真が添えられていた。
 「詩織さんが笑って何が悪い。社会人として笑顔で応対できたことは、むしろ立派だと思う。レイプ被害者という望みもしないレッテルに、二十四時間・三百六十五日、人格を支配されたままでいろというのか」
 居ても立ってもいられなくなり、今年一月には京都で、二月には東京駅前のフラワーデモでマイクを握り、自身がレイプ被害者と明かした。「私は冗談を言うし、友達とカラオケに行く。仕事も楽しい。なぜ笑ってはいけないんですか。強く抗議したいです」
 久保田さんは被害直後、助けを求めた医者にさえ「なぜ避妊しなかったのか」と理不尽に責められた。長かった髪を自分でめちゃくちゃに切り、死にたいと思い詰めた。一年近く、寝て起きて通院するだけの日々を送った。警察に行ったが不起訴に。その間の記憶はほとんどない。この七年、日常を取り戻そうと必死に生き延びてきた。
 「笑わない被害者」と同じく、「被害者は死ぬほど抵抗するはずだ」という刑法の性犯罪規定も、勝手に第三者がつくった「虚像」だ。性暴力の被害救済のためには、そんな世間の虚像を壊さなければ前に進めない。フラワーデモをきっかけに久保田さんは、実態を伝えていくと心に決めた。
 「もう黙らない」
◆欧州では「同意なしは犯罪」
・・・ 性暴力について欧州では性交の同意がないだけで犯罪とする流れだ。2011年、欧州評議会はイスタンブール条約で批准国に「同意なき性交」を犯罪と規定するよう要求した。ドイツは16年、「ノー」の意思を示せばレイプとなる刑法に改正。スウェーデンでは明確に「イエス」と意思表示しない限り罪になるよう18年に刑法を改めた。
 日本では、17年の刑法改正の審議会で同意なき性交の扱いが議論されたが慎重論が多く、見送られた。 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020032302000127.html



山中教授が新型コロナHP開設 「最新の研究成果正確に発信」(2020/3/23東京新聞)
 人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発でノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授(57)=写真=が、新型コロナウイルスについて最新の研究成果をまとめ、ホームページで紹介している。「自分にできることは、医学研究者として情報をできるだけ正確に発信すること」。多忙の合間を縫ってほぼ毎日更新している。
 ウェブサイト「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」(https://www.covid19-yamanaka.com)を13日から始めた。新型コロナの3つの特徴やインフルエンザとの違いを解説するほか、新型コロナ関連の科学論文から重要と考える成果を紹介し、コメントも添えている。
 きっかけは、11日に発表された選抜高校野球大会の中止。球児たちが涙をこらえて受け入れる姿を見て「心が震えた」という。同時に、新型コロナとの闘いでは、それぞれができることを根気よく続ける必要がある、と考えた。
 山中教授自身は感染症や公衆衛生の専門家ではないが、iPS細胞をいかに分かりやすく発信するか、考えてきた自負もある。
 新型コロナの「正しい可能性が高い情報」として、「年齢により致死率に差があり、高齢者の致死率は10%前後と高い」「感染力は、一番低い報告でも、季節性インフルエンザと同程度」などを挙げている。同時に「正しいかもしれないが、エビデンス(証拠)が不十分な情報」も列挙している。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020032302000225.html



宮城まり子さん死去 「母」のまなざし、深く 「ねむの木」半世紀 障害者教育に尽力(2020/3/23東京新聞)
 二十一日に死去した宮城まり子さんは歌手、俳優として活躍するかたわら、肢体不自由な子どものための施設「ねむの木学園」を一九六八年に設立し、長年にわたって教育や福祉活動に尽力した。園生から母親のように慕われた宮城さんとの別れに、関係者は悲しみに包まれた。
<評伝>
 肢体の不自由な子どもたちの施設「ねむの木学園」設立から半世紀。園長として学園のために奔走してきた宮城まり子さんは「みんな、かわいい良い子。食べちゃおうか」と、ちゃめっ気たっぷりに園生への愛を語っていた。
 「子どもたちのお祭り」と毎年楽しみにしていた学園の運動会。昨年の秋、「もう(食事の)味まで分からない」とがんの進行を明かしながらも、車いすに乗ったまま、数時間にわたって歌や踊りを指揮し続けた。「おかあさん」「子どもたち」と呼び合う園生との強い絆が、場内を温かい空気で包んだ。
 静岡県浜岡町(現御前崎市)に、ねむの木学園をつくったのが一九六八年。土地取得や職員集めなど、さまざまな苦労を乗り越えた。園長として、「母」として、多忙を極める毎日。経済的にも常に厳しい運営を強いられたが、宮城さんの気力を支えたのは子どもたちの“輝き”だった。
 園生が描く絵が放つ、豊かな感性に驚かされた宮城さん。決して描き方を教えることはしなかった。線がゆがんでいても、それがその子の持ち味という考えだった。
 「言葉でしゃべれない子も、絵でしゃべることができる」。自然や音楽、宮城さんとの触れ合いを通じて、感性が花開くのをただ待つだけ。その指導法は絵画だけでなく、手描き友禅、コーラスなど多彩な活動に及んだ。
 宮城さんの活動を支えたのは、長年にわたるパートナーだった作家吉行淳之介さんと交わした約束だ。「子どもたちのために絶対に(学園を)やめない」。吉行さんを生涯愛し続けたように、子どもたちにも優しいまなざしを注ぎ続けた人生だった。 
◆上皇ご夫妻が弔意
 宮城まり子さんの死去を受け、親交が深かった上皇ご夫妻が宮内庁上皇職を通じ、養護施設「ねむの木学園」に弔意を伝えられたことが、宮内庁関係者への取材で分かった。
 上皇ご夫妻は、皇太子夫妻時代から宮城さんと交流があり、学園を訪問したり、上皇后美智子さまは園生が描いた絵画などの作品展にも足を運んだりした。
 最近では二〇一八年十一月、ご夫妻が学園を訪れ、車いすに乗った宮城さんと園生の活動を見て回った。
◆園生の心配、最期まで 学園教諭が悼み「新たな教育実践」
 養護施設「ねむの木学園」で三十九年間、宮城まり子さんと共に仕事をしてきた教諭の梅津健一さん(61)は二十三日、静岡県掛川市の同園で取材に応じ、宮城さんについて「障害のある子どもたちの健康状態を亡くなる直前まで気に掛けていた。子どもたちの学校の先生であると同時に、母のような存在でもあった」と振り返った。
・・・ 梅津さんは「障害のある子どもたちに対する新たな教育の仕方を実践した人だった。肉親を亡くしたような思いだ」と宮城さんの死を悼み、「教育理念を受け継ぎ、子どもたちを守っていきたい」と決意を新たにした。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202003/CK2020032302000228.html



沖縄県に辺野古埋め立て承認再撤回を要請へ 県民投票の会元メンバーらが会合(2020/3/22琉球新報)
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古埋め立ての是非を問う19年2月の県民投票実施を直接請求した「辺野古」県民投票の会の元メンバーらが21日、那覇市内で会合を開き、今後の対応を協議した。投票結果を根拠に埋め立て承認の再撤回を行うことや、全国キャラバンを沖縄以外の全46都道府県で行うことなどを県に要請することを決めた。近く玉城デニー知事と面談し、要請書を手渡す。
 会の代表を務めた元山仁士郎氏は「県民投票の結果が尊重されることを沖縄の中でも議論を深めないといけないが、日本にも再確認していかないといけない」と述べた。
 県への要請は(1)適切な時期の再撤回(2)全国キャラバンの46都道府県での実施(3)東京行動の早急な実現(4)辺野古新基地建設の中止と、普天間飛行場の県外・国外移設を国民的議論に基づき公正で民主的に解決すべきとする意見書の県議会可決と全国への呼び掛け(5)全国知事会で同意見書の採択を求める―の5項目。
・・・ 東京行動については「全国に理解を広げていかないと解決できない」「(基地集中の背景に)植民地的構造があると認識してもらうことが大事だ」などの意見が相次いだ。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1093965.html


posted by オダック at 22:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする