2015年12月30日

PICKUP NEWS


<社説>日本版CIA 看過できない暴走の危険(2015/12/29琉球新報)
自民党のインテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム(PT)が、米中央情報局(CIA)を参考にした対外情報機関の新設を政府に提言するという。諜報(ちょうほう)活動の強化が人権侵害と紙一重であるのは戦前の例からも明らかだ。容認できない。
 構想はシリア日本人殺害事件を機に浮上した。邦人保護に向け海外情報収集を強化するというのが名目だ。来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や2020年の東京五輪の国内テロ対策も念頭にあるとされる。だが、それだけではないのではないか。実際には安保法制で道を開いた自衛隊の海外活動への支援の要素が大きいだろう。対外情報機関は外交・安全保障関係者からつとに求められていた。現在は警察庁、公安調査庁、防衛省、外務省、内閣情報調査室に情報収集機能があり、計約4400人が携わっているとされる。・・・だが特定秘密保護法は国会議員ですら一部にしか情報を開示しないことになっている。しかも政府の判断次第ではその一部議員にすら開示しないのである。民主的統制が機能しない仕組みなのだ。情報を独占する諜報機関が暴走しがちなのは歴史の教訓である。まして民主的統制が機能しない中での設立は、到底看過できない。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-196050.html


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2015年12月28日

PICKUP NEWS


社説/防衛費5兆円 納得いく説明がほしい(2015/12/28毎日新聞)
2016年度予算案の防衛費が5兆541億円となり、初めて5兆円の大台を超えた。前年度に比べ740億円、1・5%の増加は、他の歳出と比べても優遇ぶりが際立つ。防衛費は安倍政権が発足して以来、これで4年連続の増加となる。・・・それにしても新型輸送機オスプレイ、滞空型無人機グローバルホーク、戦闘機F35A、新早期警戒機E2D、水陸両用車など、米国製の高性能で高額な装備品の購入が目立つ。主要装備の調達や工事は数年がかりのため、予算は分割払いされる仕組みだ。来年度に発注する装備や工事で、新たに再来年度以降に後払いが生じてくる額は2兆円を超える。・・・日米同盟の強化は重要だが、増額ありきで、チェックが甘くなっていないだろうか。年明け早々の通常国会では、政府は5兆円の中身について納得いく説明をし、野党は厳しく追及してもらいたい。
http://mainichi.jp/articles/20151228/ddm/005/070/002000c



<社説>高校生の貧困 実効性ある支援進めたい(2015/12/28琉球新報)
琉球新報と県高等学校障害児学校教職員組合が合同で実施したアンケートで、県立高校の教職員の28・9%が昼食や昼食代を持参できない生徒がいると答え、68・5%が教材費などの校納金が払えない生徒がいると回答している。・・・さらにアンケートでは、家庭の経済状況の厳しさを背景に、家計を助けるためにアルバイトをしている生徒が「いる」と答えた教師が77・7%に上り、92・3%の教師が「家庭の経済力が生徒の学力に影響する」と答えている。家庭の経済格差で生徒の未来に影響が出る事態は何としても解消しなければならない。・・・貧困家庭で育った子どもが経済的な理由で十分な教育を受けられず、大人になっても就労できなかったり、低所得しか得られなかったりする貧困の連鎖が問題となっている。家庭の事情で子どもたちの人生の出発点が違ってはならない。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-195485.html



脱ダムは遠のく  5年で予算2割増 「継続」続出、中止5件(2015/12/28東京新聞)
安倍政権下で、国や独立行政法人「水資源機構」が建設するダム事業の予算が増え続けている。「できるだけダムに頼らない治水」を掲げた民主党政権下の二〇一〇年九月にダム事業の是非の検証が始まったが、多くが「継続」と判断され工事が本格化したためだ。 (篠ケ瀬祐司)・・・しかし、検証で「継続」が増え、ダム予算も積み上がった。第二次安倍内閣発足後の一三年度当初予算は約千二百七十五億円。二十四日に閣議決定された一六年度当初予算案では約千四百五十三億円と、一一年度と比べ二割近く増えた。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015122890135952.html



辺野古移設 米国からも反対 地方議会で決議広がる兆し(2015/12/28東京新聞)
 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設に反対する決議を採択する動きが、米国の地方議会で広がりだした。カリフォルニア州のバークリー市議会に続いて二十一日には、東海岸マサチューセッツ州ケンブリッジ市議会が反対を決議。バークリーの場合は、反戦・反基地の主張を共有する沖縄とバークリーの女性平和団体による草の根の交流がもたらした。 (ワシントン・青木睦)・・・WGSが反対決議を求めたのは、長年、沖縄基地問題に取り組んできたためだが、決議が採択されたのには、バークリーが全米でも進歩的な土地柄であることも見過ごせない。決議採択を後押しした平和と正義の委員会のダイアナ・ボーンさん(75)は「バークリーには世界の人々と連帯する伝統がある。沖縄基地問題の原因は米政府にある。新基地に反対することは米国人の責任です」と語る。女たちの会はサンフランシスコ市議会にも同様の決議採択を働き掛けている。広がりだした反対の意思表明。ボストンに隣接するケンブリッジの市議会で反対決議を提案したナディーム・マゼン市議は「こうした決議が集まれば、米国の政策決定者を動かすことができる」と語る。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015122890070547.html?ref=rank



年のおわりに考える 歴史に学びたい寛容(2015/12/28朝日新聞)
 欧州では押し寄せる難民、テロの影響で、排外主義を訴えるポピュリズムが目立っています。今こそ歴史を振り返り、寛容さを思い起こすべきです。・・・「この地域では戦後、住民の三分の一が(ドイツが失った東方領土から引き揚げた)難民だった。自分も難民になった気持ちで接してあげなくては」メルケル首相が積極的な受け入れを表明したことを受け、今年、ドイツに入国した難民申請希望者は百万人とみられています。各市町村は、人口や経済力ごとに割り当てられた人数を受け入れます。ベルリンでは空港跡、見本市会場、兵舎に仮設住居が設けられていました。連邦政府が費用を負担し、ベルリン市の委託で民間企業が運営。ボランティアも手伝い、衣類などの寄付も集まるなど、市民の総力を挙げた取り組みです。・・・ドイツ一国だけでは、押し寄せる難民を支えきれません。欧州連合(EU)をはじめ、国際社会の分担と協力が必要ですが、イスラム教徒への警戒感が強まっている国も目立ちます。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015122802000116.html?ref=rank



(声)宝塚の歴史調べて出会った戦争(2015/12/28朝日新聞)高校生 江田菜々子(栃木県 16)
 私は1年かけて、ある研究をした。「宝塚の演目と時代背景の因果関係」だ。昨年の宝塚歌劇団100周年がきっかけだ。宝塚が好きなので、人気上昇とともに舞台の質が上がる様子がわかって楽しかった。でも研究を進めるうち、ある年代を境に、夢にあふれる舞台からかけ離れていくことに気づいた。演目から宝塚の華ともいえる「レビュー」の字が消え、「軍国歌劇」などの言葉が躍る。衣装も軍服やもんぺに。戦争が宝塚から夢と希望を奪っていた。戦争の愚かさは理解していたつもりだが、人々の心のよりどころの娯楽まで戦争一色に染め上げられていくことに、改めて悲しみと憤りをおぼえた。同時に、戦争に触れることを避けていた自分に気づいた。戦争の傷痕に触れるたびに感じる胸の痛みを、嫌がっていたのだ。92歳の祖母は「戦争を知らない世代が、こんなに調べてくれてうれしい」と泣いた。つらい真実を真正面から受け入れるのは覚悟がいるが、必ず自分の中で新たな世界が広がる。私もその一人。背中を押す一人にもなりたい。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12137645.html


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2015年12月25日

PICKUP NEWS


県、25日に国を提訴へ(2015/12/25琉球新報)
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、翁長雄志県知事は辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した効力を石井啓一国土交通相が停止したのは違法だとして、25日午後2時に那覇地裁へ提訴する方針を固めた。同日午後5時から記者会見する。
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-194368.html



<社説>16年度沖縄予算 貧困対策に全力を挙げよ 子ども重視の配分必要(2015/12/25琉球新報)
 安倍晋三首相は現行の沖縄振興計画中(12−21年度)の沖縄関係予算について3千億円を確保すると明言しており、その基準には達したことになる。しかし、今回の予算案決定は釈然としない。島尻安伊子沖縄担当相は、辺野古新基地建設に反対する翁長雄志知事の姿勢に絡め「全く影響がないというものではない」と述べた。沖縄振興を担う大臣が基地と予算を露骨にリンクさせたのだ。 許されない印象操作本年度を10億円上回ったという事実に照らせば、翁長知事の政治姿勢は予算に影響しなかった。菅義偉官房長官は「予算を全力で確保するために交渉した結果」と島尻沖縄相の功績を強調した。おかしな話だ。減額をちらつかせた大臣の交渉によって10億円が上積みされ、それが功績となるのか。「沖縄を厚遇した」という印象操作を意図するような発言でもあり、容認できない。
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-194220.html



社説 高浜再稼働「同意」 知事の判断 拙速すぎる(2015/12/25ヒロシマメディアセンター)
首をかしげざるを得ない。福井県の西川一誠知事が、関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働に同意した。再稼働に司法が曲がりなりにも「待った」をかけている重みをどう考えたのだろう。4月に福井地裁が下した運転差し止めの仮処分のことだ。耐震性などに関する国の新規制基準を「合理性に欠く」と断じた。関電の異議申し立てに対する司法判断が、あす示される。決定が覆らなければ知事同意は意味を成さない。なぜ、せめて2日待てなかったのか。きのうの記者会見で知事は「皆さんの議論や判断が積み重なって今日になった。どちらが先とか後とかというタイミングではない」と述べた。漠然とした答えであり、どれほどの人が納得しよう。 ・・・西川知事が同意に前向きになったのは官邸や経産省側との面会を重ね始めた秋ごろからという。再稼働を願う立地県の中でも原発が集中する福井県がとりわけ関連の雇用や交付金に強く依存するからであろう。ただ安全とてんびんにかけられないはずだ。福島の事故から5年が近づく中、教訓が薄れつつあるのは気掛かりだ。「想定外」は起こる。住民の暮らしや命を守るためにやるべきことをやったか、自治体のトップはそれを確かめるのが先である。
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=54910



高浜原発異議審  再稼働の免罪符でない(2015/12/25東京新聞)
「安全性が確保されていない」として、高浜原発3、4号機(福井県)の運転差し止めを命じた仮処分決定について、福井地裁(林潤裁判長)が関西電力の異議申し立てを認め、取り消した。原発の安全性の基準に対する考え方の違いが正反対の結論を導いたといえよう。司法の判断が分かれた意味は重い。福島第1原発事故を経験した日本が、国民の安全をどのように確保するかがあらためて問われている。再稼働への免罪符を得たわけではない。・・・差し止めを求めた住民側は、取り消しを不当として、名古屋高裁金沢支部に不服を申し立てる。一方、法的な問題はなくなったとして関電はきょうにも3号機の燃料装填(そうてん)を開始し、来年1月下旬から運転を始める構えだ。しかし、再稼働への同意権は福井県の立地自治体にしかなく、過酷事故が発生すれば重大な影響を受ける京都府、滋賀県にはない。福井、京都、滋賀3府県の避難計画にもさまざまな課題が残っており、国民の理解は決して深まっていない。国と関電は再稼働を急ぐべきではない。
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/



大飯・高浜原発 安全は“神話”のままだ(2015/12/25東京新聞)
 福井県にある高浜原発、大飯原発の再稼働差し止めを求める司法判断が、覆された。だが待てよ。誰もまだ安全を保証するとは言っていない。大事故が起きた時、責任を取る覚悟も力もないままだ。逆回転が加速し始めたということか。「原発ゼロ」の歯止めが、また一つ外された。・・・裁判所は事業者の取った対策が「新規制基準に適合する」という規制委の判断を「合理的」としただけだ。規制委自身が何度も表明しているように、その判断は「安全」を保証するものではない。今回の福井地裁も「過酷事故の可能性がまったく否定されたものではない」と、はっきり述べているではないか。知事の判断も同じである。安全確保は事業者の責務。事業者の規制は国の責務。県は監視するだけという、及び腰の最終同意である。事業者にも国にも“責任能力”などないことは、福島の現状を見れば、明らかではないか。安全性も責任の所在もあいまいなまま、再稼働へひた走る。その状況が何も変わっていないということを、忘れてはならない。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015122502000138.html



(社説)予算と税制 国民を見くびるのか(2015/12/25朝日新聞)
政府が来年度の一般会計予算案を決めた。総額は96・7兆円と、また過去最高を更新した。計上予定だった一部を今年度の補正予算に回しながら、なお膨張が止まらない。・・・巨額の財政赤字を抱えて高齢化が進むだけに、必要な予算に絞り込み、負担増に向き合うしかない。にもかかわらず、来年夏に参院選を控えて「負担増は選挙後まで封印」という政府・与党の姿勢が露骨だ。選挙こそが給付と負担のあり方を問う機会なのに、負担の話を隠せば票が集まると言わんばかりではないか。あまりに国民を見くびっている。・・・年明け早々に国会が始まる。納得できる負担なら受け入れるという国民は少なくあるまい。どの政党が税・財政問題に責任を果たそうとするのか。そこに注目しよう。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12132999.html



(社説)高浜原発訴訟 司法の役割はどこへ(2015/12/25朝日新聞)

まるで福島原発事故以前の司法に逆戻りしたかのようだ。

 福井地裁がきのう、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働を禁じた4月の同地裁の仮処分決定を取り消した。・・・原発はひとたび大事故を起こせば広範囲に長期間、計り知れない被害をもたらす。専門知に判断を委ね、深刻な事故はめったに起きないという前提に立ったかのような今回の決定は、想定外の事故は起こり得るという視点に欠けている。「3・11」後の原発のあり方を考える上で大切な論点だったはずだ。関電は高浜の2基の再稼働が1日遅れるごとに、約4億円の経済的損失が出ると主張してきた。「司法のストッパー」が外れたことで、再稼働へ向けた手続きが加速する。だが、原発には国民の厳しい視線が注がれていることを忘れてはならない。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12133005.html?ref=pcviewpage



(声)若い世代 等身大のドイツ、確かめたい(2015/12/25朝日新聞)無職 折田智基(山口県 19)
 米タイム誌が「今年の人」に、ドイツのメルケル首相を選んだ。欧州の債務危機や難民受け入れに対する行動力などが評価されたらしい。今でもドイツや欧州各国を目指し寒さの中、歩き続けている難民もいるはずだ。メルケル首相の政策は客観的に素晴らしいと思う。同時に私は主観的にドイツのことを考えてみたい。難民を受け入れるということはどういうことなのか、ドイツ国民は実際のところ、どう考えているのか。現地に出かけて肌で感じ、この目で確かめたい。高校3年生の時に10カ月、米国に留学し、文化の違いや、ヒスパニック系の多さに目を疑った。情報技術が発達した今でも、現地で自分自身が経験することは大事なことだ。そう思いながら、ドイツ語のCDを傍らで流している。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12133015.html?ref=pcviewpage



(社説余滴)辺野古は唯一の解ではない 小村田義之(2015/12/25朝日新聞)
「軍事上は、辺野古は唯一の解決策ではないでしょう。そう思いませんか」あえて直球の質問を投げてみた。相手は日本政府の関係者。沖縄の米軍普天間飛行場をめぐる日米交渉に携わったことのある人物だ。・・・

彼は目を落とし、意を決したように言った。

 「後輩たちが一生懸命やっているから、本当は言ってはいけないことだけど、軍事上は唯一ではないね」現役の自衛隊幹部にも同じ質問をしてみた。外務省の関係者にも尋ねた。答えは同じだ。「軍事上は唯一とは言えないでしょう」この答えは決して意外なものではない。むしろ常識的かもしれない。抑止力を保つ方策には多くの組み合わせがあり、一つの解しかないということはあり得ない。たとえば、嘉手納統合案。まず沖縄・嘉手納基地の米空軍の戦闘機部隊を青森県の三沢基地などに分散する。そのうえで、普天間の海兵隊を嘉手納に移す。2011年に米国で公表された案だが、それ以外にも具体的な代替案が取りざたされてきた。・・・「辺野古が唯一」という主張の背景には、辺野古移設の見直しに伴う政治的な混乱を避ける思惑がある。埋め立てを進めれば、やがて沖縄県民の反対は収まるはずだという期待もあるだろう。

 政治的な意味で唯一、ということなのか。

 レビン氏は辺野古案について「環境面でも問題があり、実現は不可能だ」とも語っていた。その強行突破を図るのが、安倍政権である。だがそれが軍事上、唯一の選択肢でないとしたら――。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12132993.html



戦後生まれの戦争責任は 豪の歴史学者、テッサ・モーリス=スズキさんに聞く(2015/12/25朝日新聞)
戦後生まれの人々にも、戦争に関する責任や謝罪の義務はあるのだろうか。戦後70年の節目に、こんな問いが浮上している。戦争責任の考察で知られる歴史学者テッサ・モーリス=スズキさん(オーストラリア国立大学教授)に、来日を機に聞いた。・・・モーリス=スズキさんは英国出身。1980年代にオーストラリアに移住した。直面したのは、英国が18世紀以降に同地を植民地化した歴史だ。先住民アボリジニーから土地を奪い、虐殺もあった。自分には罪や責任があるかとモーリス=スズキさんは自問し、「罪はないがインプリケーションはある」との結論に達した。インプリケーションは新たな概念で、「連累」と邦訳した。「直接関与していないにもかかわらず『自分には関係ない』とは言えない。そんな過去との関係を示した概念です」と話す。

 連累とは「事後の共犯」的な関係だという。たとえば、収奪行為には関与しなかったが、収奪されたものに由来する恩恵を「現在」得ているケースだ。「私自身も今、奪われた土地の中に住む一人です」。虐殺に関与しなくとも、その歴史を隠蔽(いんぺい)したり風化させたりする動きに関与すれば責任が生じうると見る。「アボリジニーは差別や不平等に直面させられているが、そのことと収奪や虐殺の歴史にはつながりがある。過去の不正義を支えた『差別や排除の構造』が今も生き続けているということです。そこから生まれる『責任』にこそ目を向けていくべきでしょう。不正義を支えた構造は、私たちが積極的に是正に動き出さない限り、社会の中で再生産され続けるからです」

 同じことは日本にもあてはまる、とも語った。

 「戦時の慰安婦制度の背景には性差別や民族差別がありました。河野談話を否定しようとする人々の言動を見ると、差別が日本社会に生き続けていることが分かります」では、慰安婦制度や南京での虐殺について、戦後生まれの日本国民も「謝罪」をすべきなのだろうか。「歴史事件そのものに対して戦後生まれの個人が謝罪する必要は原則ないと思う。ただし国家は連続性のある存在であり、謝罪すべきです。また国民には、謝罪するよう政府に求める義務があります」だがいま、日本が謝罪や償いを十分にしてきたと思う人は少なくない。今年春の世論調査では57%に上っていた。「効果的な謝罪を政府がしてきたかどうか、は考えてみるべきでしょう。『何十回もたばこをやめた』と言う人は禁煙できている人なのか……。謝罪は、今の社会に残っている『過去の暴力の構造』との闘いでもあるのです」戦争の「責任」について考えることが未来への建設的な作業につながるような道筋をどう作るか。「連累」は一つの示唆であると思えた。(編集委員・塩倉裕)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12132968.html


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