2019年02月27日

PICKUP NEWS


<金口木舌>キーンさんが抱いた疑問(2019/2/27琉球新報)
 時流に背を向けた永井荷風は「あたかも好し」と記した。日本文学報国会に身を置いた高見順は「遂に敗けたのだ。戦いに破れたのだ」と嘆いた。日本現代文学史に名を残す両作家の1945年8月15日の日記である

▼戦時下の日記を研究したドナルド・キーンさんは「日本の歴史の重要な時期における日本人の喜びと悲しみを暗に語っていると信じている」と著書に記した。日記を通じて戦中戦後の精神史と向き合った
▼戦争で沖縄を深く知る。45年4月、米海軍情報将校として読谷に上陸した。2012年、那覇での講演で「私の人生にとって沖縄は大切だった」と振り返っている。その出合いが幸福だったとは言えない
▼異国の兵士におびえる県民を見つめた。捕虜の尋問を通じて日本兵の心情に触れた。「無意味に大勢の人が死んだ。生涯忘れられない」と語っていた。日本文学研究者は終生戦争を見つめた
▼12年に「平和の礎」を訪ね、戦場で見た死体よりも「戦争の恐ろしさを何より感じた」という印象的な言葉を残した。読谷の浜辺に立ち「戦争はもう終わったはずだ。米軍にも言い分はあるだろうが、なぜ沖縄に米軍が必要なのか分からない」と疑問を投げ掛けた
▼24日に逝ったキーンさんの疑問に答えることができるのは、県民投票で民意を示した私たちであろう。沖縄の民意を無視する日米両政府にその力はない。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-881130.html



【社説】キーンさん逝く 「日本とは」問い続け(2019/2/26東京新聞)
 二十四日に九十六歳で亡くなったドナルド・キーンさん。日本文学研究者と呼ばれたが、文学を通じて「日本とは何か、日本人とはどういう人々か」と、より深い問いを考え続けた生涯だった。
 「徒然草」や「おくの細道」など古典から、谷崎潤一郎や川端康成など同時代の作家まで、多くの作品を英訳したキーンさん。
 伝統的な日記文学が題材の「百代の過客」をはじめ、日本人の精神のありかたを探る研究書や評伝も数多く手がけた。母校の米コロンビア大で教授として後進たちも多く育て、日本の文学と文化を世界へと伝えた「恩人」だ。
 だがその道筋には、偏見との戦いがあった。欧米では明治以降、鹿鳴館で日本人が洋装して踊る姿などが伝えられ「猿まねの国」と侮蔑が広がった。第二次世界大戦で対日感情は悪化し、若き日のキーンさんは「そんな国に文学や文化があるのか」と言われた。
 逆に日本では「外国人に日本の文化が分かるのか」と疑問視もされた。十八歳の時に英訳で読み、日本文学との出会いとなった「源氏物語」の専門家から「原文で読まなければ良さは理解できない」と言われたことさえある。
 そうした声と戦い続けた。伝統文化をより深く知るために狂言を習って自ら舞台に立ち、補助金のカットで存亡の機に直面した文楽を擁護した。国内では近年「日本すごい」と持ち上げるブームが盛んだ。それとは裏腹に、伝統文化の真価を私たち自身が知らない、あるいは知ろうとしていないのではと反省させられる、鏡のような存在だったといえよう。
 戦勝国の出身ながら敗戦国を見下さず、その人々と文化に敬意を払った。かつて本紙のインタビューで「文化の大切な要素」として「隣の国、あるいは遠い国からものを借りること、そしてそれを自分なりに自分のものとすること」と述べている。考え方の違う国や人々の間に有形無形の「壁」をつくろうとする言動が力を増す中、壁を越えた人の結びつきを願い、信じる精神の表れだった。
 生涯を通じてこの国を愛した。東日本大震災の後には日本の国籍を取って、私たちを励ました。一人の日本人「鬼怒鳴門」(キーン・ドナルド)となると、本紙での連載などを通じて、改憲や原発の再稼働、東京五輪の開催に強く反対した。
 「日本の恩人」がこの国の行く末を危ぶんで残した言葉を、今こそかみしめたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019022602000151.html


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2019年02月18日

PICKUP NEWS


【社説】種子条例 地方の声は届くのか(2019/2/18東京新聞)
 コメや麦の優良な種子の開発と安定供給を義務付けた、種子法の廃止から十カ月。それに代わる自治体独自の「種子条例」の制定が相次いでいる。「種を守ろう」−。地方の声は政府に届くのか。 
 地方の危機感が増している。農業の持続可能性への危機感だ。
 新潟、富山、兵庫、山形、埼玉各県が、種子法に代わる新たな条例をすでに制定済み。岐阜、長野、福井、宮崎、そして北海道も新年度の施行を目指している。
 “農業王国”北海道は、イネ、麦、大豆にとどまらず、小豆やインゲンマメなど道の主力作物にも対象を拡大し、優良な種子の安定供給を、自らに義務付ける方針だ。長野県は「信州の伝統野菜」や特産のソバを対象にするという。
 種を守るということは、食文化を守るということだから。
 昨年秋、全国一の種もみ生産県富山から新しい銘柄米がデビューした。一般公募で名付けて「富富富(ふふふ)」。富山県農業研究所が十五年がかりで開発した“労作”だ。高温や病気に強く、倒れにくい、いわば温暖化対策品種でもある。
 イネも麦も生き物だ。気候風土がはぐくむものだ。種子の開発は、生育環境に配慮して地域ごとに進めていくのが望ましい。
 ましてや温暖化に伴う異常気象の影響が世界中で顕著になっている。例えば温暖化に強い新品種の開発を競う自治体の取り組みを、国として強力に後押しすべき局面だ。種子法廃止は、逆行というしかない。
 「民間企業の参入を妨げる」−。そう言って、国は種子法を廃止した。「外資を含む民間企業が市場を席巻し、地域の独自品種が作られなくなるのでは」−。消費者にも不安が広がり始めている。
 「すべての都道府県が種子法に代わる条例を制定すれば、恐らく種子は守られる」と、元農相の山田正彦さんは言う。しかし「それだけでは不完全」とも考える。
 スイスでは、国民投票の結果を受けて、憲法に「食料安全保障」を位置付けた。
 TPP協定の進展などに伴う巨大資本の攻勢から個性豊かなコメや伝統野菜を守り抜き、食料自給率を維持し、底上げしていくために、「国による後押しや予算措置は必要だ」ということだ。
 地方議会から国会へも、種子法廃止を懸念などする意見書が相次いで寄せられているという。国はわき上がる地方の声に耳を傾けるべきではないか。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019021802000131.html



(声)語りつぐ戦争 38度線目前、川に赤子流した母親(2019/2/18朝日新聞) 無職 中山ヨシコ(佐賀県 86)

 終戦を朝鮮半島の平壌で迎えた。父はどこかへ連行され、女学校1年、13歳の私から1歳の妹まで5人の子と母が残された。

 翌年、「38度線を越えれば引き揚げ船に乗れる」と聞き、幼子のいる家族と老人40〜50人で団を結成。妊婦さんは辞退してもらった。出発は9月。毛布や鍋、米、煎り大豆などを母と私で背負い、1人ずつ妹の手を引いた。末妹は弟がおんぶした。

 人目を避け、来る日も来る日も山道を歩いた。幼い妹は疲れ切り、眠り込もうとするのを引きずるようにして歩いた。深い谷の脇を歩いていた時、突然、「ギャ――!!」と後方から悲鳴が上がり谷底に消えた。転落だ。だが、助けに行く人はなかった。誰もが疲労困憊(こんぱい)していた。

 幾夜、野宿したか。38度線近くで川に出た。「赤ちゃんを泣かせないで。私語も小声で」と伝言が届いた。あと一息だ。浅瀬を渡り始めると若い母親が列を離れた。胸にしっかり赤ちゃんを抱いている。川の深いところまで行くとその手をほどき、赤ちゃんは流れていった。母親は合掌し立ち尽くしていた。

 誰も何も言わなかった。お乳が出ず空腹に泣く赤ちゃんを乳房で絶命させたと後に知った。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13897846.html?ref=pcviewpage



(社説)IRとカジノ 丁寧な説明はどうした(2019/2/18朝日新聞)
 強引な国会運営で、カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立して半年がすぎた。
 この間、政府がカジノ解禁への疑問や不安に応えてきたとは到底言えない。一方で、開設に向けた手続きや参入を狙った業者の活動は着々と進む。
 国民が置いてきぼりにされている状況を正さねばならない。政府はすみやかに説明の場を設け、この問題にどう向き合ったらいいか、人々が判断できる材料を提供するべきだ。・・・
たとえば依存症対策だ。
 政府は、本人や家族の申し出により、カジノ事業者が利用制限措置をとると説明してきた。しかしその具体的な方法は定まっていない。相談窓口を設けるというが、配置する専門家の資格や数も不明で、実効性のある態勢になるかは未知数だ。
 入場時の本人確認手続きも同様だ。マイナンバーカードで入場回数を管理し、暴力団関係者は排除する考えだが、どこまで可能か。そもそも同カードの普及率は1割ほどしかない。
 カジノの運営側が客に金を貸せる仕組みに対しては、客を借金漬けにする恐れがかねて指摘されている。政府は預託金をとることで対処すると言ってきた。その額も未定だ。
 これらは、夏に発足するカジノ管理委員会が決めるという。法律の作りがそうなっているとはいえ、肝心な点は後回しにして、その間に既成事実を積み上げるやり方は大いに疑問だ。
 政府はカジノの利点ばかり強調し、負の側面に言及するのを避けてきた。依存症の拡大、青少年への悪影響、反社会的勢力の進出といった懸念に、納得できる対策が打ちだせないのであれば、解禁は棚上げすべきだ。賭博の収益に頼る成長戦略自体を見直す必要がある。
 安倍首相は国会で「全国キャラバンを実施し、丁寧に説明する」と述べたが、これも実現していない。PRだけのキャラバンならいらない。不安や疑問に耳を傾け、しっかり議論する場にしなければならない。
 「地域活性化の起爆剤に」と意気込む自治体も目につく。だが外国には、カジノ誘致後に自殺、家庭崩壊、犯罪の増加に苦しむ都市が現実にある。改めて冷静な対応を求めたい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13897843.html?iref=comtop_shasetsu_01
posted by オダック at 22:13| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月17日

PICKUP NEWS


被爆者のリアルな思い、ユーチューブで発信 「高校生1万人署名」メンバー・里道さん(2019/2/17毎日新聞)
 被爆者のリアルな思いをネットで国内外の若者に発信したい――核兵器のない世界の実現を訴える「高校生1万人署名活動」の19期メンバーが、原爆被害の悲惨な実相を世界に訴え続け、2017年に88歳で亡くなった谷口稜曄(すみてる)さんの証言をまとめた短編動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。核兵器廃絶への同世代の関心が高まることを願っている。
 署名活動中に受けた“衝撃”が動画製作のきっかけになった。県立長崎工高2年の里道彩夏さん(17)らが署名を呼びかけた際、ある若者は「何のための署名か分からないのでやめとく」と立ち去った。同じ世代なのに、距離を感じた。そして「被爆者の思いを直接聞いてもらいたい」と、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った情報発信を思い立った。
 署名活動の先輩たちが08年に撮影した谷口さんら15人の被爆証言DVDがあり、昨秋から動画向けの編集を本格的に開始。まず谷口さんの証言(約15分間)を約3分間に編集したものが完成し、15日に公開した。「地震のように地面は揺れ、爆風で飛ばされないように地面にへばりついていた」など、原爆の威力を具体的に想像できる証言を中心に編集。「核と人類は共存できない」との言葉で結んだ。

 核兵器廃絶運動をけん引した山口仙二さん(13年死去)や二重被爆者の山口彊(つとむ)さん(10年死去)ら14人の動画も作る予定。谷口さんのものを含め、外国語の字幕を付けて海外にも発信していく計画だ。 ユーチューブで「高校生1万人署名活動」と検索すれば、動画にアクセスできる。
https://mainichi.jp/articles/20190217/k00/00m/040/075000c



(社説)米政治の混迷 真の非常事態は分断だ(2019/2/17朝日新聞)
 1兆円近い公金を議会の承認もなく大統領の一存で使うという。いまや米国は独裁に近い国に成り果てたのだろうか。
 トランプ大統領が、メキシコ国境での壁の建設費を一気に増やすために異例の手段に出た。国家非常事態の宣言である。大統領の権限で国防費などを振り向けるという。
・・・ 現在の非常事態宣言は、1970年代半ばにつくられた法律に基づく。緊急時に議会の審議などの手続きを経ずに、大統領が迅速に対応できる制度だ。
 これまで外国への制裁や、災害、テロ、伝染病などに関連して出されてきたが、今回はまったく様相が違う。議会が認めない予算を大統領が確保する政争の具として宣言されたのだ。
・・・ そもそも、非常事態とみるべき状況はメキシコ国境にない。拘束される不法移民の数は10年前より大きく減っている。日本や欧州から輸入する鉄やアルミに高関税を課した際に、「安全保障」を口実に使ったのと同じ、手前勝手な理屈だ。
・・・ 大統領の権力監視は議会の責務だが、与党の幹部は宣言への支持を公言した。立法府の権威が脅かされてもなお党派に閉じこもるのが、いまの米国の分断政治であり、この冬は政府機関の長期閉鎖も招いた。国民の生活を顧みない偏狭な政治こそ、国難と呼ぶべきだろう。
・・・ 国境の壁はもはや予算論議の枠にとどまらず、米国が重んじてきた三権分立と、寛容な多元主義が問われている問題だ。
 野党や一部の州知事は、今回の宣言の違憲性を司法に訴える構えを見せている。立法府とともに大統領を監視すべき司法が米国民主主義の復元力を示すかどうか、世界が見つめている。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13896815.html?ref=pcviewpage



【社説】週のはじめに考える オスプレイでよいのか(2019/2/17東京新聞)
 米海兵隊の「オスプレイ」の定期整備が二年を経過しても終わりません。陸上自衛隊はこのオスプレイを十七機導入します。これでよいのでしょうか。
 防衛省と在日米軍は、沖縄の米海兵隊が保有するオスプレイの定期整備を千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で行うことにしました。整備を請け負ったのは富士重工業(現スバル)です。・・・
◆米軍が業者公募か
 ところがどうでしょう。その一機目は二年たっても整備が終わらず、格納庫に入ったままです。
 防衛省の担当者は、整備マニュアルが英語の電子データで分かりにくいこと、交換する部品や工具が米国から届かないことを遅延の理由に挙げます。
 スバルの整備員は米国で研修した専門家を含めて約三十人もいます。「部品や工具が米国から届かない」との説明も驚きですが、防衛省関係者は「機体内部がサビだらけで手の施しようがなく、交換しなければならない部品が思いのほか多かった。その部品の交換に必要な工具も米国から取り寄せた」と舞台裏を明かします。
 どれほど手荒く使っていたのか、またそんな機体が飛んでいたのかと不安になります。
 整備に時間がかかった影響でしょうか。米軍は昨年七月、沖縄配備のオスプレイ二十四機のうち八機を米国から運んできた八機と一斉に交換しました。この事実を防衛省、在日米軍とも公表せず、双方に事実を指摘しても交換した機数すら明らかにしません。
◆異例の導入経過
 昨年十二月には米海軍省がオスプレイの整備ができる業者を探している旨のインターネット公告がありました。希望者は今月二十日、神奈川県の米海軍厚木基地に来てほしいというのです。
 防衛省の担当者は「情報収集のための公告」といいますが、スバルとの交代なのか、業者の追加なのかは「わからない」とのこと。一方、在日米軍はメールでの問い合わせに返事すらありません。
・・・ 死者が出るなどの重大事故にあたる「クラスA」の事故率は十万飛行時間あたり、三・二四で、米海兵隊機全体の二・七二より高く、また空軍版オスプレイのクラスA事故率は、その海兵隊版より高い四・〇五です。
 そのうえに整備が難しい機体だとすれば、沖縄ばかりでなく空軍版のオスプレイが昨年、配備された東京都の横田基地周辺の住民も心穏やかではおられません。
 陸上自衛隊が導入するオスプレイ十七機は近く国内に配備され、日米を合計すれば五十一機のオスプレイが日本の空を飛び回ることに。本当によいのでしょうか。
・・・ 導入することになったのは、米軍が沖縄配備を進めた一二年当時、沖縄から上がった配備反対の声に対し、民主党政権の玄葉光一郎外相が「安全性を訴えるため自衛隊も保有すべきだ」と提案、当時の森本敏防衛相が同調して調査費を計上、これを安倍晋三政権が引き継ぎ、導入を決めたのです。
 「沖縄の民意」より「米軍の意向」を優先する政治判断でした。文民である政治家が「これを使え」と軍事のプロである自衛隊の装備品を選んだのです。
◆暴走する文民統制
 その意味では、海上自衛隊が求めていないにもかかわらず、護衛艦「いずも」の空母化を自民党が提言し、首相官邸が丸のみした新「防衛計画の大綱」の「空母保有」も同一線上にあります。
 軍事組織の暴走を止めるはずの文民統制が危険を呼び込むのだとすれば救いはどこにあるのか。痛恨の極みというほかありません。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019021702000183.html



精神科、身体拘束1万2000人 17年度最多更新 6割は高齢者(2019/2/17東京新聞)
 精神科病院で手足をベッドにくくりつけるなどの身体拘束を受けた入院患者が、二〇一七年度に全国で一万二千人強に上り、六割は高齢者だったことが厚生労働省の年次調査で分かった。施錠された保護室に隔離された患者も一万三千人近くいた。一七年度から調査方法が変わったため、過去と単純には比較できないが、いずれも最多を更新した。
 精神保健福祉法で拘束や隔離が認められるのは、本人や他人を傷つける恐れなどがあり、指定医が「ほかに方法がない」と判断した場合に限られる。患者団体や専門家からは「実際には安易に行われ、長時間の拘束で死亡する例も出ている。人権侵害の恐れがある」との指摘が出ている。
 拘束は十年間で一・八倍、隔離は一・六倍に増えた。厚労省は「増加の要因は分析できていない。不要な拘束などをしないよう引き続き求めていく」としている。
・・・ 拘束には、点滴を抜かないよう手指の動きを制限するミトン型手袋の着用なども含まれるとみられ、全体で一万二千五百二十八人。六十五歳以上の高齢者が64%を占めた。疾患別では統合失調症・妄想性障害が44%と最も多く、認知症の人も27%いた。
 入院期間別に見ると、拘束が必要なケースは、暴れるなど激しい症状で入院してきた直後に多いとされるが、入院期間が一年以上の長期患者が51%を占めた。都道府県別では、病床数が多い北海道が千二百九十七人で最多。埼玉県の千二百三十八人、東京都の九百八十二人が続いた。最少は和歌山県で十五人だった。
 隔離は一万二千八百十七人で、統合失調症の患者が65%を占めた。
<精神科の入院患者> 厚生労働省の調査では、2017年6月末現在、精神科の病院ベッドは全国に約32万8000床あり、約28万4000人が入院している。入院期間の長期化で患者の高齢化が進んでおり、65歳以上が58%に上る。疾患別では、統合失調症・妄想性障害が半分以上を占めるが、認知症の人も16%いる。1年以上の長期入院者が61%で、約5万5000人は10年以上入院している。12年ごろのデータでは、日本の人口当たりの精神科ベッド数は先進国最多。平均入院日数も300日近くで突出して長い。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201902/CK2019021702000158.html



<税を追う>辺野古工費280億円増 契約変更、発注数の7割(2019/2/17東京新聞)
 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、防衛省沖縄防衛局が二〇一四年度以降に発注した八十三件の工事や調査のうち、七割の五十八件で契約変更をしていたことが本紙の調べで分かった。契約直後に変更したり何度も変更を繰り返したりして、当初の契約額から総額で約二百八十億円も膨らんでいた。政府は総事業費をあいまいにしたまま工事を強行しており、場当たり的な発注が契約変更の乱発を生み、工費の高騰を招いている。 
・・・ 辺野古の埋め立て工事を巡る県と国の法廷闘争や悪天候などで、工事が中断して工期が延びたケースもあるが、防衛局の契約記録によると、「設計精査」や「現場精査」を理由に費用が膨らんだケースが目立つ。
 埋め立て工事は、入札から一カ月もたたないうちに契約を変更。埋め立て用土砂の素材を一部変えたため業者との間で契約額を変更したが、入札をやり直すことはなかった。
 仮設桟橋やブイを設置する埋め立て準備工事は一年半で十回も変更し、契約額は五十九億円から百三十九億円と二倍以上に跳ね上がった。工事の受注業者に警備業務まで追加発注し、契約内容を変更していた。別年度では、警備業務は単独で入札・発注していた。
 沖縄平和市民連絡会のメンバーで、公共工事の業務に長年携わってきた北上田毅(つよし)さんは「埋め立ての準備工事と警備業務は別業務であり、本来なら新たに入札にかけるものまで契約変更で済ましている。公正な競争を阻害している」と疑問を投げ掛ける。
 軟弱地盤の存在が指摘されている埋め立て区域の複数の護岸工事でも、契約変更が繰り返されている。まだ護岸本体の工事が始まってもいないのに多いところでは七回も変更し、四十億円以上、膨らんだ工事もあった。
 県が埋め立て工事を承認して五年以上たつのに、防衛局が県に示した実施設計は一部だけで、軟弱地盤のある海域はほとんど手付かずの状態。総事業費についても「三千五百億円以上」としか答えていないが、契約総額は既に千四百億円を超えている。
 政府は、海面から七〇メートルの深さまで約六万本の砂の杭(くい)を打つ大規模な地盤改良を検討しており、実施されればさらなる工費高騰は避けられない。
 沖縄防衛局は本紙の取材に「工事を進める上で必要な契約変更を実施している」と答えている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201902/CK2019021702000162.html


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