2019年09月29日

PICKUP NEWS

関電会長、06〜10年に受領 金品問題 社長説明と矛盾(2019/9/29東京新聞)
 関西電力役員らが関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役森山栄治氏(今年三月に九十歳で死亡)から金品を受領していた問題で、八木誠会長(69)が二十八日、共同通信の取材に応じ、自らが受領した時期について、二〇〇六〜一〇年だと明らかにした。
 二十七日の記者会見で二十人が一一年二月〜一八年二月に約三億二千万円相当を受け取ったとした岩根茂樹社長(66)の説明と矛盾する内容。八木会長は説明が不十分だったと認め、近く記者会見を開く方針だとし、社内調査報告書の開示を検討する考えも示した。
 八木会長は、提供があったのは原子力事業本部に在籍した〇六年六月〜一〇年六月ごろだとし「常識を超える物品を持ってこられ、当然お断りしたが、時には激高された」ため、返せなかったと説明。同月に社長になって以降は「一切もらっていない」としたが、以前に受領した物品は会長時代まで預かっていたという。
・・・ また、八木会長は二十八日夜、報道陣の取材に対し社内調査を取締役会に報告していなかったことを明らかにした。
 この問題では、関電の原発関連工事を請け負う高浜町の建設会社から森山氏へ約三億円が流れ、さらに森山氏から関電役員らに金品が渡っていることが金沢国税局の税務調査で判明した。建設会社は一九八一年設立の「吉田開発」。信用調査会社によると、二〇一三年八月期の売上高は三億五千万円だったが、一八年八月期には二十一億円を超え、五年で約六倍に伸ばしていた。
◆「社長就任以降もらわず」 関電・八木会長一問一答
 共同通信の取材に応じた関西電力の八木誠会長の主な一問一答は次の通り。
 −森山栄治氏から物品を受け取ったのはいつごろか。
 「原子力事業本部に在籍していた二〇〇六〜一〇年に物品を受け取り、お預かりしていた。常識を超える物品を持ってこられ、当然お断りしたが、時に激高された。社長になって以降は一切もらっていない」
 −社内調査の対象期間は一一〜一八年だったのでは。
 「一一〜一八年の間の役員経験者と原子力事業本部に在籍していた社員を対象にした。物品をもらった時期はずれる。(二十七日の)会見の説明では国民の皆さまにご理解いただくためには説明が不十分だった。整理して近く改めて会見を開き、説明する場を設けたい」
 −社内調査の報告書を公開しないのか。
 「ある程度開示しないと理解されないと考えている。全部は難しいが、開示していかないといけないと思っている」
 −調査期間を広げないのか。
 「幅を広げて調査することを検討するが、それ以前の調査は辞めている人もおり難しい」
 −豊松秀己元副社長が受け取った額が最も多いと言われる。
 「原子力事業本部在籍期間が長く、お会いする頻度は高かっただろう」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092902000161.html



筆洗「丸い玉子も切りやうで四角・・・(2019/9/29東京新聞) 「丸い玉子も切りやうで四角 ギッチョンチョン ギッチョンチョン ものも言ひよで角が立つ」。「ギッチョンチョン」は一八六九(明治二)年発表の端唄でずいぶんはやったらしい▼「ものも言ひよで角が立つ」。世間を渡るコツか。関西電力も角が立たぬ言い方を必死で考えたのかもしれぬ。八木誠会長を含む役員ら六人が福井県高浜町の元助役から怪しげな金品を受け取っていた問題である。金をもらったとはよほど言いたくなかったか「一時的に個人の管理下で保管していた」▼元助役は町の顔役で金を突っ返せば、関係が悪くなると考え、やむなく「保管」していたと言いたいのだろうが、その「言ひよ」は世間には通用しまい▼金を渡した側からすれば、関電側がもらおうが、保管しようが、結局は同じことで、元助役は金を手にした人物に対し、強い影響力を持つことができるだろう。考えてみれば分かる。お金をきっぱりと断れぬ倫理観の低い人物が、元助役の依頼をきっぱりと断れるかどうか▼案の定とは言わぬが、元助役の金の出どころだった建設会社は関電の原発関連工事で短期間に売り上げを急増させているという▼丸い玉子も切りようで四角だが、玉子であることに変わらぬ。どんな言い方をしても、それは袖の下の類いではなかったか。会長は辞任しないそうである。別の「言ひよ」を考えた方がよい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019092902000168.html



【社説】週のはじめに考える さあ、本屋に行こう(2019/9/29東京新聞)
 冠につく言葉で思い浮かぶのは、「プラハの」春とか「金鳥の」夏とか「核の」冬とか、ほかの季節は、まあ、そんなところですが、秋は別格。
 「食欲の」「スポーツの」「芸術の」と多彩です。そして、本稿が寄り掛かるのは「読書の」−。
 しかし、読書の周辺、活字文化の現状を眺めれば、何ともお寒い状況というほかありません。新聞でも書店の窮状が繰り返し伝えられています。各紙記事によれば、書店の数は一九九〇年代、全国で二万二、三千軒はあったのに、もう一万軒ほどが閉店しており、「無書店自治体」も増えているといいます。何というか、むしろ「読書の冬」の趣…。
◆「読書時間ゼロ」5割
 書店苦戦の理由はいくつもありそうですが、フランス政府が重く見たのはインターネット通販の影響でした。数年前、小規模書店保護を目的に、ネット書籍販売での配送料無料サービスを禁止する法案が議会で可決されました。米ネット販売大手を意識した、いわゆる「反アマゾン法」。当時、文化相は「わが国が持つ本への深い愛着を示した」と語っています。
 ほかにもっと端的な理由を探すなら、やはり「活字離れ」ということになりましょう。昨年二月、全国大学生協連が発表した学生生活実態調査の結果は衝撃でした。
 電子書籍も含め一日の読書時間が「ゼロ」という学生が五割を超えていたのです。今年公表された数字でも、48%。状況は変わっていません。・・・
◆「文学なき国語教育」
 文科省が打ち出した国語教育改革。二〇二二年度に変わる高校の学習指導要領や二一年からの大学入学共通テストの「国語」で、実用が重視され、文学が激減すると懸念が強まっています。
 教科書で読んだ作品から、ある作家への興味が広がった、といった経験をお持ちの方も少なくないはずですが、本紙で日大文理学部長の紅野謙介氏が解説しているところによれば、必修の「現代の国語」には、小説などのフィクションや詩歌は入らない。法律や契約をめぐる実用的な文章を中心とした教材になりそうだといいます。
・・・ なぜ実用に傾いたのか。紅野さんはこう言っています。「政財界の要望でしょう」
 実用性の高い論理的読解力を重視するという発想のようですが、『文学界』九月号の特集「『文学なき国語教育』が危うい!」では、現役高校教師たちが「文学で論理は十分学べる」と訴え、地球物理学者が理系的な問題発想や思考には文学や芸術の「感性や美意識」こそが必要だと語っています。
 さらに、一五年に国立大学に対して出された文科相通知の一件へと想は連なります。人文系学部の廃止や社会的要請の強い分野への転換を求めたのです。「社会的要請」とは、つまり「政財界の要望」? 国立大の人文系学部長らの会議が抗議の声明を出すなど「文系軽視」への批判が起こりましたが、既に文学部廃止などの変化が起きているようです。
 活字文化の一端を担い、本同様、「離れ」に苦しむ新聞も含めるならば、もっと端的なメッセージがあったことにも思い当たります。「新聞を読まない人は自民党支持者」。麻生副総理のご託宣です。
 確かに、日本語でも英語でも、「読む(read)」には「見抜く」の意味があります。そう考えてくると、政権の側にあるのは、ただ経済への貢献重視という発想ではない気がしてきます。「本や新聞を熱心に読む国民はやっかいだ」という底意を読み取るのは穿(うが)ち過ぎというものでしょうか。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092902000173.html



<金口木舌>最期まで自分の名前で(2019/9/29琉球新報)
 本紙に掲載された16行の訃報記事に、84年の生涯を思った。自身のアイデンティティーのために最期まで闘い続けた

▼元高校教諭で夫婦別姓訴訟原告団長の塚本協子さん=富山市=が死去した。「事実婚(内縁)」が少ない1960年に結婚し、自分の姓を守るため、出産のたびに婚姻届と離婚届を便宜的に提出した。3人目の出産後は離婚届は出さず、塚本姓を通称として使った
▼民法の夫婦同姓規定が憲法に違反するとして2011年、75歳の時に男女4人と初めて国に賠償を求めた。悲願はかなわなかったが、塚本さんらの訴えは「結婚で女性が夫の姓に変えるのは当然」とする社会に一石を投じたに違いない。訴訟後も講演会などで選択的夫婦別姓制度の導入を訴えていた
▼塚本さんが亡くなった14日の紙面には、国が18年に既婚女性を対象に実施した全国家庭動向調査が掲載されていた。「夫婦が別姓であってもよい」とする人は50・5%で、初めて半数に達した。同性婚を法律で認めるべきだとした人は69・5%だった
▼宇都宮地裁真岡支部は社会情勢の変化を踏まえ、同性カップルの「事実婚」が法的保護の対象になるとの判断を示した
▼家族観が多様化する中、時代に合った結婚の在り方について社会全体で議論を深める時期に来ている。「名前は人生そのもの」。塚本さんの遺志を忘れてはいけない。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-998058.html



記者が読み解く こじれた諫早湾干拓訴訟、解決の道遠く(2019/9/28朝日新聞)
 長崎県の諫早湾での国の干拓事業をめぐり、裁判が長年続いています。9月13日には関連する訴訟の判決が最高裁で言い渡されましたが、さらに福岡高裁で審理が続くことになりました。諫早湾の干拓事業にまつわる問題は、なぜここまでこじれたのでしょうか。
最高裁、諫早開門命令の無力化維持を示唆 高裁差し戻し
 九州西部にある有明海。その西側に、諫早湾は位置します。有明海では、江戸時代以前から何度も干拓が行われてきました。干拓は埋め立てとは異なり、海を堤防で閉め切って水を排出するなどして陸地にする方法です。
 いま、裁判の舞台になっている諫早湾干拓事業は、国が諫早湾の奥を長さ約7キロの「潮受け堤防」で閉め切り、農地672ヘクタールを含む870ヘクタールの土地を造り出したものです。発端は、67年前にさかのぼります。
 1952年、長崎県は「長崎大干拓構想」を発表しました。諫早湾全体の約1万ヘクタールを堤防で閉め切る壮大な構想。水田の造成が主な目的で、戦後の食糧難や、長崎県内に平野が少ないことなどが背景にありました。
 やがてコメ余りの時代を迎え、大干拓構想は時代に合わなくなります。すると、長崎県と農水省は70年代、新たな干拓の計画をつくり、目的をコメから畑地の造成や水の確保などに変えました。しかし、事業によって有明海の環境が悪くなることを心配する漁業者や市民が反対し、頓挫しました。
 それでも、農水省と長崎県はあきらめません。目的に高潮や洪水の防止を加え、89年に工事を始めたのです。
全国で報道された「ギロチン」
 諫早湾には広大な干潟があり、渡り鳥の楽園とも言われていました。環境悪化を心配する多くの市民が抗議の声を上げましたが、工事は進められ、97年には湾の奥が293枚の鋼板で閉め切られます。首をはねる処刑装置「ギロチン」に例えられたそのシーンは全国で報道されました。
 2007年に工事が終わり、08年には干拓地での農業が始まりました。総工費は2530億円。堤防で締め切る面積は約3500ヘクタールで、当初の構想の約三分の一まで縮小しました。名目の変更も繰り返してもなお、農水省と長崎県は半世紀をかけ干拓を実現したのです。
 一方、諫早湾の奥が閉め切られた後、有明海では異変が報告されるようになりました。00年度に特産の養殖ノリが記録的な不作に。タイラギという高級貝もとれなくなりました。
 こうした事態を受け、専門家が入った農水省の第三者委員会は01年、「干拓事業が有明海の環境に影響を与えていると想定される」という考えを示し、有明海の環境が変わった原因を探るために、堤防の排水門を開く「開門調査」を提言します。堤防の排水門を開け、干拓地と堤防の間にある池に海水を招き入れ、潮の流れを元に戻して漁場が回復するかどうかを調べる方法です。
 国は翌年、開門調査を実施しました。しかし、約1カ月の短期調査にとどめ、中長期の開門は見送りました。
 漁業被害を訴える有明海沿岸の漁業者らは02年、国を相手取った裁判を佐賀地裁に起こします。佐賀地裁は08年、福岡高裁は10年に干拓事業と漁業被害に関係があると認め、高裁は判決で3年以内に5年間、排水門を開けるように命じました。当時の民主党政権の菅直人首相の判断で国が上告せず、判決は確定しました。
 すると、今度は干拓地の農業を営む人たちが開門で塩害や水害の懸念があると訴えました。国が開門に向けた対策工事に着手しようとすると、抗議行動をしました。国を相手に開門差し止めを求める裁判も長崎地裁に起こしました。13年、今度は長崎地裁は営農者の開門差し止め請求を認める仮処分を決定しました。
国は「板挟み」?
 国は「開門せよ」「開門してはならない」という相反する司法判断の「板挟みになった」と言って、確定判決が命じた「3年以内の開門」を実施しませんでした。
 漁業者側は、確定判決に従わない場合の罰金に当たる「間接強制金」を支払うよう裁判所に求めて、認められました。国は14年、この強制金の支払いをせずに済み、確定判決を実質的に「ないこと」にするために、「請求異議」という裁判を起こします。
 一審では国が敗訴しましたが、二審で逆転勝訴しました。この二審判決は、漁業権が10年ごとに免許を得る必要があることに注目し、「開門命令が出た当時の漁業権は、免許期限13年8月末で消滅した」と判断。そして、漁業権とセットになる「開門を求める権利」も消えたという結論を出しました。漁業者側はこれに納得せず、最高裁に上告しました。

 9月13日に最高裁が言い渡したのは、この裁判の判決です。結論は二審判決の「破棄」と、福岡高裁への「差し戻し」。つまり、二審の判決を取り消し、もう一度高裁で審理をやり直すように命令しました。
・・・ また、17年4月には長崎地裁で開門しないように命じる判決が言い渡され、国は控訴せずこの判決を受け入れています。そして国は「板挟み」の立場から、「開門しない」という姿勢に明確に変わっています。
・・・ 開門派と非開門派に別れることで、地元には住民の間に「溝」が生まれました。「溝」が生まれたきっかけは干拓事業であり、それを推し進めてきたのは国です。しかし、国は、この「分断」を解消するのに積極的ではないと批判されてきました。
 「国は裁判に勝つため、なりふり構わない姿勢を示してきた」と言われてきました。その結果、国が裁判で勝っても、問題が解決したことにはならないという指摘があります。
https://digital.asahi.com/articles/ASM9D0HK7M9CTIPE041.html?iref=comtop_list_nat_n01



何もしない国、予算ない自治体 外国の子どもは不就学に(2019/9/28朝日新聞)
 学校などに通っていない可能性がある外国人の子どもが、文部科学省の全国調査で2万人に迫ることが明らかになった。就学支援に力を入れる自治体もあるが、多くは体制が整わず、支援が後手に回っている。在日外国人の増加が見込まれる中、国の姿勢を問う声があがる。
外国人の子ども、2万人不就学か 半分は自治体把握せず
 浜松市のビルの2階。外国にルーツのある子どもを支援するNPO法人ARACE(アラッセ)が運営する「佐鳴台(さなるだい)教室」は、不登校や不就学の子たちの学び場だ。
 9月上旬のある日、10人ほどの子どもたちが、スタッフと1対1で英語や国語を勉強していた。
 「これから、自分がどうなっちゃうのかなって、不安だった」。日系ブラジル人の男の子(14)はそうつぶやいた。市立中学校に通っていたが、人間関係がうまくいかず不登校に。担任に「休みが多い」と指摘された親は、ブラジル人学校への転学を考え「退学」した。だが、市立校と違って学費がかかる。日本生まれで、ポルトガル語は聞いて分かる程度。結局、家で過ごした。「ゲームに疲れてぼーっとしていると、不安がこみ上げた」
 日系ブラジル人が多く住む浜松市には、9月1日現在、約2万5千人の外国人が暮らす。市は「不就学ゼロ」を目標に掲げ、外国籍の児童生徒の就学状況を2カ月に1回の頻度でチェックする。不就学の心配のある子どもがいた場合、言葉がわかる浜松国際交流協会職員が家庭を訪れ、学校への就学を案内したり、市の支援を受けるアラッセの教室に通うことを勧めたりする。この男の子も、家庭訪問を受け、教室に通うようになり、不就学状態から抜け出した。アラッセの金城アイコ代表理事(56)は「休みがちになり、教員から『来ないならやめれば』と言われた子もいる。多くは日本社会で生きていく。子どもの将来について、学びについて、国籍に関係なく、日本社会は考えてほしい」と話す。
自治体「国は一体どうしろと…」
 浜松市のような自治体では、支援の仕組みが整いつつあるが、多くの自治体は未整備だ。
 今回の文科省調査によると、外国人の児童生徒の受け入れについて、「特段の指導体制を整備していない」と回答した自治体は半数以上の891に及ぶ。複数回答で理由を尋ねると、9割以上は「日本語指導が必要な児童生徒がいないか少ない」としたが、132自治体は「人員や予算が不足」、39自治体は「どのような支援を行うべきか分からない」と回答した。
 愛知淑徳大の小島祥美(よしみ)准教授(教育社会学)によると、不就学になる理由は様々だ。家庭で幼い弟妹の面倒をみたり、日本語が分からずに足が遠のいたり、経済的な理由で働いたりするケースなどがあるという。中には、卒業間近の時期に来日した子どもの就学を学校が断り、進学が難しくなるケースも。学校に行かない状態が続き、名前の登録がなくなるなどすると不就学となる。
 全自治体のうち、不就学や就学状況が分からない子どもに対し、状況把握や就学促進のための取り組みを「特に実施していない」と答えた自治体は1137自治体(65・3%)。外国人の子どもがいる家庭に就学案内を送っている1092自治体のうち、英語版がある自治体は205、ポルトガル語版119、中国語版118にとどまる。
 不就学の可能性のある子どもが多い東京都のある区の担当者は「就学義務が課されていない外国人の子どもに、学校に来いと言える法的根拠もなければ、支援のための予算も乏しい。国は一体どうしろというのか」と言う。

 日本も批准する国際人権規約は、すべての人に教育に関する権利を認め、「初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償とする」とうたう。小島准教授は「子どもの学ぶ権利を第一に考え、自治体は、就学案内から就学把握まで最低限の制度を整えるべきだ。移民をいないことにしている国の姿勢の是正も求めたい」と話す。
https://digital.asahi.com/articles/ASM9W5TJSM9WUTIL034.html?iref=comtop_8_04



【社説】補助金の不交付 明らかな権力の検閲だ(2019/9/28東京新聞)
 「表現の不自由展・その後」が中止された「あいちトリエンナーレ2019」を巡り、文化庁は補助金の不交付を決めた。手続きを理由としているが、明らかな権力による検閲だ。撤回を求める。
 文化庁は二十六日、交付が内定していたトリエンナーレへの補助金約七千八百万円を交付しないと発表した。実行委員会の中心で、補助金を申請した愛知県に対して「芸術祭の円滑な運営を脅かす事態を予想していたにもかかわらず、文化庁の問い合わせまで申告しなかった」と説明している。
 変な理屈だ。芸術展は基本的に「性善説」の上に成り立つ。展示作や観覧者を脅かす悪意を前提としては開けない。不自由展の再開が検討される中で、手続きを口実に狙い撃ちにしたかのようだ。
 萩生田光一文部科学相は「検閲には当たらない」と言う。しかし「退廃芸術」を排除しようとしたナチス・ドイツを持ち出すまでもなく、政治が芸術に介入するのは危険極まる。政策の基本的な計画で「文化芸術の『多様な価値』を活(い)かして、未来をつくる」とうたう文化庁が、多様な価値観を持つ芸術家の表現活動を圧迫し、萎縮させる結果になるのではないか。
 大村秀章知事は「憲法が保障する表現の自由に対する重大な侵害だ」と強く批判し、裁判で争う意向を示した。補助金カットに伴う県財政や県民の負担を考えれば、もっともな対応といえよう。
 不自由展は、元慰安婦の象徴とされる少女像や、昭和天皇の肖像を用いた版画を燃やす作品などを展示。激しい抗議が寄せられた。「ガソリンの携行缶を持ってお邪魔する」という脅迫文さえ届き、わずか三日で中止となった。
 実行委を構成する名古屋市の河村たかし市長は「日本国民の心を傷つけた」と述べた。だが自由な民主国家である日本の名誉を傷つけ、社会と国民を圧迫するのは、むしろこうした行為ではないか。政治家や官僚は意に沿わない芸術家や作品に目を光らせるより、暴力や圧力でものごとを動かそうとする風潮こそ戒めるべきだ。
 少女像などに不快な感情を持つ人がいるのは無理もない。だが仮に像を撤去したとしても、慰安婦を巡るこの国の負の歴史まで消せるわけではない。社会の問題を誠実に問い続ける芸術家の創造活動は、私たちに都合の悪いものや直視したくないものを作品に昇華させて提出する。
 私たちが芸術展で見てとるべきは、そこにある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092802000166.html



<社説>NHK番組への圧力 公共放送の自律を脅かす(2019/9/28琉球新報)
 公共放送の自主自律を脅かす深刻な事態である。

 かんぽ生命保険の不正販売問題を報じたNHKの番組を巡り、NHKの経営委員会が昨年10月、日本郵政グループから抗議を受けて、「ガバナンス(企業統治)強化」の趣旨でNHK会長を厳重注意していた。
 まず指摘しなければならないのは郵政グループの不誠実な対応だ。不正販売の究明と是正に集中して取り組むべきであるにもかかわらず、報道したNHKに矛先を向けた。
 問題とされたのは、NHKが昨年4月に放送した報道情報番組「クローズアップ現代+(プラス)」だ。郵便局が保険を「押し売り」している実態を伝えた。
 続編を企画した制作現場は、情報提供を呼び掛ける動画を昨年7月上旬、ネット上に投稿する。これに対し郵政側が「組織ぐるみでやっている印象を与える」との趣旨の抗議文をNHK会長宛てに送り、動画の削除を求めた。
 言うまでもなく情報提供の呼び掛けは不正の実態解明に役立つ。郵政側が動画の削除を求めたのは、不正が次々と明るみに出る事態を避けたかったからではないのか。反省するどころか、問題を矮小(わいしょう)化し、臭い物にふたをする姿勢が透けて見える。
 NHKの対応は問題だらけだ。投稿していた動画を昨年8月上旬に削除した。「一定の役割を果たしたため」というのが理由だが、要求に屈した疑いが強い。正確な報道のためには、より多くの証言を集める方がいいからだ。
 郵政側とのやりとりの中で番組担当者が「会長は制作に関与しない」との趣旨の説明をしたため、郵政側は経営委に文書でガバナンス体制強化を要請した。NHK会長は「誤った説明だった」と郵政側に事実上謝罪した。続編の放送は今年7月までずれ込んだ。
 個別の苦情に、最高意思決定機関である経営委が動き、会長が釈明するのは異常と言うほかない。日本郵政の筆頭株主は日本政府だ。政権に近い郵政グループだから特別な対応をしたのであれば、それこそ公正さを欠いている。
 郵政側が問題視した「クローズアップ現代+」は、かんぽ生命保険の販売を巡る不正をいち早く報じた。経営委は、その社会的意義をどこまで理解しているのか。被害者に寄り添うよりも、加害者側の立場に配慮しているように見える。国民の目線とは程遠い。
 経営委は個別番組の編集に関与できない。今回の厳重注意は、ガバナンス強化の趣旨であっても、番組に対する圧力と受け取られかねない。より良い社会を築こうと奮闘する制作現場の努力を踏みにじる行為と言っていい。
 経営委に求められるのは、権力からのあらゆる圧力をはねのけ、自主自律を堅持する態度を貫くことだ。郵政側から要請があったからといって右往左往するようでは公共放送の使命は果たせない。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-997450.html



(声)「道徳」参観、思想的意図感じた(2019/9/27朝日新聞) 会社員 三浦洋平(東京都 45)
 2年生の長男が通う公立中学で、道徳の授業を参観した。反対意見も多い中で道徳の教科化は実施され、中学では移行期間を経て本年度より正式に「特別な教科」となった。私立では道徳の代わりに宗教を教えることが認められており、道徳は生徒の心理に対する教育ともいえよう。

 授業の主題は「勤労を通じての社会性、公共性への目覚め」。しかし題材となった物語は勤労より、家族のために働く父を誇りに思う息子に主眼が置かれていた。父と共に働いている母の存在感は薄く描かれ、読後の生徒の意見も総じて父への敬意を「良き道徳的行い」と学んでいたようだった。

 私には道徳というより思想的で、前近代的な封建的家族観を復古させる意図が働いているように感じられた。その封建的社会の先に、悲惨な戦争があったことを危惧しないわけにはいかない。

 しかし何よりも心配になったことは、この「心理教育」の場を参観している保護者が、私一人であったことだ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14194887.html?ref=pcviewpage


posted by オダック at 17:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月28日

PICKUP NEWS

(社説)あいち芸術祭 萎縮を招く異様な圧力(2019/9/27朝日新聞)
 表現行為や芸術活動への理解を欠く誤った決定である。社会全体に萎縮効果を及ぼし、国際的にも日本の文化行政に対する不信と軽蔑を招きかねない。ただちに撤回すべきだ。
 脅迫や執拗(しつよう)な抗議によって企画展の一つが中止に追い込まれた「あいちトリエンナーレ」について、文化庁が内定していた補助金約7800万円全額を交付しないと発表した。前例のない異常な措置だ。
 萩生田光一文部科学相は「申請のあったとおりの展示が実現できていない」などと、手続き違反や運営の不備を理由に挙げた。だが、この説明をそのまま受け入れることはできない。
 中止になった「表現の不自由展・その後」には、慰安婦に着想を得た少女像や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品などが展示されていた。「日本人へのヘイト」といった批判が持ち上がり、菅官房長官は早くも先月初めの時点で補助金の見直しを示唆する発言をしていた。
 一連の経緯を見れば、政府が展示内容に立ち入って交付の取り消しを決めたのは明らかだ。それは、「政府の意に沿わない事業には金を出さない」と内外に宣明したに等しい。
 少女像などに不快な思いを抱く人がいるのは否定しない。しかしだからといって、こういう形で公権力が表現活動の抑圧にまわることは許されない。
 その道理は、今回のトリエンナーレのあり方を検証するために愛知県が設けた委員会が、おととい公表した中間報告を読めばよく理解できる。美術館の運営や文化行政に通じた有識者、表現の自由に詳しい憲法学者らで構成された委員会だ。
 中間報告は、「不自由展」の作品説明や展示方法に不備があったとしつつ、民主社会における表現の自由の重要性を説き、▽展示が政治的色彩を帯びていても、公金の使用は認められる▽表現は人々が目を背けたいと思うことにも切り込むことがある▽ヘイト行為の一般的なとらえ方に照らしても、少女像はそれに当たらない――と指摘。展示を中止したままでは「悪(あ)しき前例や自主規制を誘発する」と述べ、環境を整えたうえでの再開を提言した。・・・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14194876.html?iref=comtop_shasetsu_01



シラク元仏大統領死去 訪日40回超 愛犬「スモウ」(2019/9/27東京新聞)
<評伝> 二十六日死去したジャック・シラク元フランス大統領は、大相撲を愛し生涯で四十回以上訪日した「熱狂的な」(外交筋)日本ファンだった。欧米では突出した知日派指導者として、フランス国内や世界の舞台で日本の優れた点や重要性を説き続けた。
 「取組前に、二人の力士が相互ににらみ合う視線以上に強いまなざしを知らない」
 シラク氏は二〇〇九年に刊行した「回想録」第一巻で大相撲の仕切りの美学を激賞した。その上で「相撲は私にとり人生の授業だった。諦めてはいけないこと、勝敗が決する最後の瞬間まで戦うことを教えてくれた」と述懐した。愛犬に「スモウ」と名付けるほどのめり込んだ。
 シラク氏が日本文化と出会ったのは高校生の頃、パリのギメ美術館だった。「私は日本に夢中になった。極めて幸福な出会いだった」と後に日本人記者団に語っている。
 日本外交も大きな恩恵を受けた。二〇〇五年に日本が国連安全保障理事会常任理事国入りを目指し阻まれた際、具体的に各国の説得に動いたのはシラク氏だけだったとされる。
 シラク氏の政治姿勢には、孤立を恐れずにフランスの独自性を追求する「第二次大戦の英雄」ドゴール氏直伝の精神が脈打っていた。
 大統領就任前は、欧州統合に積極的ではなかったが、就任後に一転。かたくななドゴール主義者が「欧州建設に参加することなくして、フランスに未来はない」と見定めたとき、統合の展望は大きく開けた。それまで「夢物語」とされていた単一通貨ユーロ導入も具体化へ向けて前進を始めた。
 〇三年、大量破壊兵器の隠匿が疑われたイラクへの武力行使をめぐり米英との対立が深刻化した際は、国連査察の継続を主張し開戦反対で譲らなかった。シラク氏は安保理での拒否権発動も示唆、米国は激怒したが、フランス国民の85%が大統領を支持した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019092702000149.html



原発マネー還流か 関電会長らに1.8億円 福井・高浜町元助役から(2019/9/27東京新聞)
 関西電力の八木誠会長(69)や岩根茂樹社長(66)、豊松秀己元副社長(65)を含む役員ら六人が二〇一七年までの七年間に、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役森山栄治氏(今年三月に九十歳で死亡)から、計約一億八千万円の資金を受け取っていたことが、金沢国税局の税務調査で分かった。複数の関係者が共同通信の取材に明らかにした。 
 森山氏は原発関連工事を請け負う地元建設会社から約三億円を受領していたことも判明。国税局に対し、関電側への資金提供について「お世話になっているから」と説明しており、工事費として立地地域に流れた「原発マネー」が経営陣個人に還流した可能性がある。
 関電広報室は二十六日夜、社内に調査委員会を設置して調べたとし「現時点では儀礼の範囲内以外のものは既に返却を完了した」とコメントした。
 八木会長は取材に「森山さんは地元の有力者で、原子力に対しても理解のある方。そういう意味でお付き合いがあった」と述べた。資金の授受については「広報に聞いてほしい」と繰り返した。岩根社長は「中元とか歳暮はあった。通常の付き合い以上のものはいけないという認識でお返しした」と話した。
 森山氏は一九七七〜八七年、高浜町助役を務めた。
 複数の関係者によると、金沢国税局は昨年一月、高浜原発や大飯原発(福井県おおい町)の関連工事を請け負う高浜町の建設会社への税務調査に着手。この会社から工事受注に絡む手数料として森山氏へ約三億円の資金が流れていることが確認された。さらに森山氏の税務調査を進めると、森山氏が関電役員ら六人の個人口座に送金したり、現金を入れた菓子袋を関電側に届けたりしていたことが判明。総額は七年間で約一億八千万円に上る。
 工事経歴書によると、高浜町の建設会社は一五〜一八年、原発関連工事を少なくとも二十五億円受注していた。
 森山氏は、受け取った約三億円を所得として申告していなかったため、金沢国税局は申告漏れを指摘し、追徴課税した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201909/CK2019092702000131.html



<金口木舌>脱炭素化と空疎な発言(2019/9/27琉球新報)
 「私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは、お金のことと永遠の経済成長というおとぎ話だけ」。米ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16)が発言した

▼同サミットで77カ国の首脳らが2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする長期目標を表明した。トゥンベリさんは各国で議論される温暖化対策の不十分さを指摘した
▼安倍晋三首相はサミットに出席せず、日本は長期目標を表明した77カ国に加わらなかった。政府は脱炭素社会の実現を目指す長期目標を発表しているが、二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電の利用は続ける方針だ
▼サミットに参加した小泉進次郎環境相は前日の22日のイベントで、脱炭素化に向けた具体的方策を質問されて言葉に詰まった。同日の記者会見では気候変動対策について「楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と発言し、国内外で報じられた
▼「セクシー」の具体的な内容を問われると「説明すること自体がセクシーじゃない」などとはぐらかした
▼トゥンベリさんは温室効果ガス排出量の多い飛行機を使わず、ヨットで米国を訪れた。行動を伴う発言には説得力がある。上の世代から、つけを回されることを拒む彼女の怒りに、空疎な言葉で応えるわけにはいかない。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-996754.html



<社説>日米貿易協定合意 畜産への影響懸念される(2019/9/27琉球新報)
 安倍晋三首相とトランプ米大統領が貿易協定締結で最終合意した。日本は8千億円近い米国産農産品の関税を撤廃・削減する。特に海外の安い牛肉や豚肉との競争がますます拡大することとなり、県内畜産業に影響が出ることが懸念される。

 米国産の牛肉や豚肉の関税は環太平洋連携協定(TPP)と同水準まで引き下げられる。現在の38・5%の牛肉の関税は段階的に削減し、最終的に9%となる。米国産豚肉の高価格品にかけられている4・3%の関税も最終的にゼロになる。
 大規模牧場経営でコスト面の競争優位性がある米国の畜産業を相手に、手間をかけて牛を肥育する日本の畜産農家が、関税の引き下げで打撃を受けるのは必至だ。飼料価格が上昇傾向にあるなど経営コストが増している中で、生産者の事業継続の意欲をそぐことになりかねない。
 牛肉や豚肉の価格が安くなることは一般家庭には恩恵と感じるかもしれない。だが、輸入農産物との価格競争で国内産の消費が減り、相場全般が下がれば、農業の比重が大きい山間部や離島の雇用、経済を確実に衰退させる。
 2017年の県内農業産出額で肉用牛は228億円を記録し、今やサトウキビの168億円を上回る農業分野の稼ぎ頭だ。関税引き下げによる畜産業への影響は、県経済にとっても無視できない。
 既にTPPや日欧経済連携協定(EPA)が発効する中で、米国との新たな貿易協定が発効すれば、畜産農家はさらなる試練にさらされる。
 もともとトランプ大統領は、自由貿易圏の拡大を掲げたTPPから「永久に離脱」すると宣言し、自国の利益を優先した「米国第一」の保護主義路線へかじを切った。
・・・ 相手国に追加関税をちらつかせて自動車など自国産業を保護し、競争力のある分野で輸出拡大を狙うトランプ流の外交であり、その手法にまんまと乗せられた日本政府の弱腰は将来に大きな禍根を残すものだ。トランプ外交も交渉に勝利したように見えて、長い目で見れば友好国との間にしこりを生み、米国の国益を損ねることになるだろう。
 今回の貿易交渉の経過と結果を分析し、米国との関係を考え直す機会とすべきだ。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-996753.html



「なかなか値段はあげられない」「5%だけ取るか…」 消費増税、個人商店は四苦八苦 那覇市・栄町市場ルポ(2019/9/27琉球新報)
 10月1日の消費税10%への増税まであと4日。スーパーや飲食チェーンの動向に注目が集まるが、事業所の多くは中小零細の個人事業者が占めている。「上げられない」「5%だけ取るか」。中小の小売店がひしめく那覇市の商店街・栄町市場を歩くと、利益や売り上げ減少の不安を抱き、試行錯誤する事業者の声が漏れてきた。
 昼すぎの栄町市場。店頭に並べられた総菜を買う地域住民の姿があった。店舗は総菜の店「かのう家」。総菜は100円、天ぷらは50円ほどで、消費税は販売価格に乗せていない。
 消費税制では課税売上高が1千万円以下の事業者は納税義務が免除される「免税事業者」となっている。免税事業者は消費税を納税する必要がないため、販売価格に消費税分を転嫁しなくてもよい。ただ、仕入れ価格には消費税が含まれるため、販売価格に消費税を上乗せしないと事業者は利益が減ることになる。そのため増税は中小の事業者の利益に直結する。 かのう家は1人暮らしの高齢者でも買いやすいよう総菜は小さめのパックに小分けにして販売するなど努力を惜しまない。だが、その分、仕入れ費用はかさむ。店主の嘉納毅さん(71)は「10円でも上げたら売れなくなる。なかなか値段は上げられない。様子を見るしかない」と厳しい胸の内を明かした。
 増税に合わせて方針転換を図る店舗も出ている。瀬長共子さん(80)と夫の金一さん(76)が営む「ともこ化粧品店」は販売価格に消費税を上乗せしてこなかったが、今回、常連客には「心苦しいが10月からはいただく」(金一さん)と説明している。ただ10%ではない。客の負担を少しでも抑えようと半分の5%を上乗せする考えだ。店内で早めの夕飯を食べていた金一さんは「あまり金もうけを考えてないからいいんだよ」と苦笑いする。
 個性的な店が集まる栄町の飲食店は対応が割れた。老舗居酒屋「栄町ボトルネック」は増税分を価格に転嫁する方向で検討しているといい、利用客の利便性も考慮しキャッシュレス端末も導入した。現在、利用者は1割に満たないが、店長の伊禮直満さん(44)は「これから増えるかも」と話す。キャッシュレス端末を導入する飲食店は増えており、変化の波が押し寄せる。
 ただ、市場内の別の居酒屋関係者からは「日銭を稼がないといけないので、現金でないと厳しい」とキャッシュレス対応が困難との声も聞こえる。この店は10月以降も価格は据え置く方針。「今後は薄利多売の小さい店舗ほど厳しい」と危機感を示した。
https://ryukyushimpo.jp/photo/entry-996956.html



【社説】伊勢湾台風から60年 語り続けて、いつまでも(2019/9/26東京新聞)
 東海地方などで五千人以上が犠牲になった伊勢湾台風の上陸から、二十六日で六十年。体験を語り続けることが悪夢を繰り返さない方策の一つでもある。
 <ちょろちょろどろ水が入ってきたとたん、タタミがふわっとうきだしてきました。おとうさんが、みんなをかかえて、台所へ行きました。その時、妹の節ちゃんが「おとうちゃん、こわい」とさけびました。その声が終わりになるとは思いませんでした>
◆涙、涙の作文
 名古屋市南区柴田町の元学習塾経営加古美恵子さん(70)は、小学校四年生で伊勢湾台風に遭い、一家六人のうち両親と妹ら五人を失った。引用させていただいたのは、濁流の記憶と、自分だけが奇跡的に助かったいきさつを被災直後に「涙、涙で一気に書いた」(加古さん)という作文である。
 <おとうさんは、私たちをだきかかえて、何もつかまらずに、ながれていきました。ふと気がつくとおかあさんがいません。私は「おかあちゃんがいない。材木の下になった」とさけびましたが、どうしようもありません>
 伊勢湾台風では、最高三・八九メートルの高潮が押し寄せて、堤防が決壊。名古屋港の貯木場三カ所から数十万トンの木材が流出し、洪水とともに住宅街を襲って被害を増した。当時の新聞には「木材は、水車のように縦に回って家々を襲った」とある。
 <私は、二度しずみました。二度目に、思わず妹につかまっていた手をはなしてしまいました。しばらく流されていってそばを流れていた材木にしがみつきました。それから「おとうちゃーん、おかあちゃーん」と父母をよびましたが、何も返事がありません>
 十五年ほど前から、毎年九月二十六日に母校の同市立白水(はくすい)小学校に招かれ、台風の体験を話している。「家族を失い、思い出したくない一夜です。でも、誰かが語り継がねば、の思いで」。作文にはないが、流されるとき濁流は大きな渦を巻いていたという。
 <ふと気がつくと、私がつかまっている材木にもうひとり男の子もつかまっていました。(一キロほど一緒に流された後)北の方にトラックがあり、のっている人がかいちゅう電とうでてらしていました。「助けてー」とさけびトラックにとびのると、おとうさん、おかあさん、妹たちの事が思い出されてなけてきました>
 男の子とは、トラックにたどり着いた際に、はぐれた。「私は、運が良かったのでしょうか」と加古さんは自問自答する。「みんなの分も頑張らないと、と一生懸命生きてきた」。きょう二十六日も、白水小で体験を語る。
◆スーパー伊勢湾台風
 これを「社会が未発達だった六十年前の出来事。今はそんなことは起きない」と見なすことはできるのだろうか。答えは「否」のようである。
 国土交通省中部地方整備局は、日本で最大規模の台風(一九三四年室戸台風、上陸時九一〇ヘクトパスカル)が伊勢湾台風と似た経路をたどる「スーパー伊勢湾台風」が来襲しうると想定。同局などによる「東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会」(TNT)は、死者最大二千四百人、被害額は二十兆円にのぼると予想する。
 被害は伊勢湾台風と同じく、海抜ゼロメートル地帯が中心になる。伊勢湾岸で三百三十六平方キロあり、九十万人が住んでいる。東京湾岸に百十六平方キロ(百七十六万人)、大阪湾岸にも百二十四平方キロ(百三十八万人)あり、東京圏や大阪圏にスーパー伊勢湾規模の台風が来れば、甚大な被害が予想される。
 伊勢湾台風を契機に名古屋港には沖合の高潮防波堤などが整備された。大同大の鷲見哲也教授(流域水文学)は「伊勢湾並みなら高潮は何とかガードできそう。しかしスーパー伊勢湾では守り切れない」と話す。「貯木場は移設されたが、路上や駐車場、港で輸出を待つ自動車が濁流に乗り“凶器”になり得る」と危惧する。
・・・TNTはスーパー伊勢湾の場合「上陸九〜十二時間前に避難指示」を求めている。
 今月、千葉県などを襲った台風15号による強風では、大規模な停電や行政の初動の遅れなどで、住民の不自由な生活が長期化している。水害が猛威をふるった伊勢湾台風との対比は難しいが、六十年たっても課題は同じに見える。早め、早めの手を打つことだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019092602000164.html



<社説>オスプレイ事故送検 主権の放棄いつまで許す(2019/9/26琉球新報)
 米軍機が国内で墜落しても日本の捜査機関は手出しできない。政府は主権放棄の状態をいつまで放置し続けるつもりなのか。

 米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが2016年12月13日夜、名護市安部の沿岸部に墜落し大破した事故で、海上保安庁中城海上保安部が、操縦していた機長を氏名不詳のまま那覇地検に書類送検した。航空危険行為処罰法違反の容疑である。
 米軍が協力を拒んだため、海保による機長の事情聴取は行われず、容疑者を特定することさえできなかった。必要な捜査が尽くされていない。
 海保によると、この機長は、空中給油訓練のため操縦していたオスプレイの速度を保つ業務上の注意義務を怠り、空中給油機のホースと接触して機体の一部を損傷させ、着水して機体を破壊させた疑いが持たれている。
 なぜ注意義務を怠ったのか。オスプレイと空中給油機の位置関係はどうだったのか。接触後の機長の対応は適切だったのか。国民は真相を知ることができない。
 「機長のミスが原因」と結論付けた米国の事故調査報告書をうのみにするのは危険だ。米軍の言い分は事故を起こした被疑者サイドの主張にすぎない。国内で起きた事故である以上、日本の捜査機関が主体的に原因や過失の有無を解明することは至上命令だ。現状では、オスプレイの構造的な欠陥が原因となった可能性も否定できない。
 安倍晋三首相は17年11月21日の衆院本会議で、オスプレイ墜落事故の際、海保が原因究明に関与できなかったことを問われ、「海上保安庁において所要の捜査を行っている。指摘は当たらない」と答えた。
 だが海保関係者は、機長のけがの有無など詳細は分からず、事故後の対応の妥当性についても「判断がつかない」と述べている。これが「所要の捜査」を行った結果なのか。首相の答弁は捜査現場の実情を度外視しており、事実に反するのは明らかだ。
 このような、捜査を尽くせなくても捜査していると言いくるめようとする政府の態度は、米軍の傍若無人な振る舞いをますます助長する。
 その結果、最も大きな不利益を被るのは、在日米軍専用施設面積の7割が集中し、基地と隣り合わせの生活を強いられている沖縄県民である。
 日米地位協定が壁になり、米軍が起こした事故に日本の捜査権が及ばない現状は理不尽極まりない。さらに問題なのは、オスプレイの事故を含め、協定が定める日米相互の捜査協力義務さえ守られていないことだ。政府は米国に強く抗議してほしい。
 県民の目から見れば、地位協定は、日米和親条約や日米修好通商条約に比肩するほど不平等な取り決めである。政府は一刻も早く改定を米国に提起すべきだ。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-996169.html



(社説)ゲノム食品表示 これで理解得られるか(2019/9/25朝日新聞)
 役所の名称とは裏腹に、消費者・市民に寄り添っているとは言いがたい決定だ。
 ゲノム編集技術を使った食品について、消費者庁は先週、遺伝子の配列をわずかに変えただけなら、編集した旨の表示を事業者に義務づけることはしないと発表した。既存の品種改良との区別が難しく、たとえ義務化しても違反者を特定することができないため、としている。
 消費者団体などが批判の声を上げたのは当然だ。朝日新聞の社説は、科学的に安全か否かの議論とは別に、自分の判断で食品を選べる環境を整えることが大切で、その視点に立って表示のあり方も考えるべきだと主張してきた。今回の措置は、消費者の権利を尊重し、適切に行使できるようにするという、消費者行政の目的と相いれない。見直しを求める。
 消費者庁も、どんな食品かを知りたい消費者がいることを、当然認識している。そこで、厚生労働省に届け出があったゲノム編集食品については、事業者に対し、消費者への積極的な情報提供を呼びかけている。 何とも中途半端な対応だが、そういうことであれば当面は食品を開発・販売する側に期待するしかない。ゲノム編集を施したことを明示し、問い合わせがあれば丁寧に答える。情報の公開と説明に前向きに取り組む姿勢を見せることが、信頼を生み、今後のビジネスにも役立つと考えてもらいたい。
・・・ 厚労省の責任も重い。業者が届け出るべき情報の中には、アレルギーの原因物質が新たにつくられていないことを確認する項目などもある。開発段階で十分な試験がなされているか、データは信頼できるか、入念なチェックが求められる。
 ゲノム編集は発展途上の技術だ。最新の動向を幅広く収集するとともに、懸念材料が出てきたときには、事業者にすみやかに対応をとらせ、安全性を検証できる仕組みをあらかじめ整えておくことが欠かせない。・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14192008.html?iref=comtop_shasetsu_02



<金口木舌>悲しい過去との対話(2019/9/25琉球新報)
 沖縄戦について文章を書くとき「何人の県民が犠牲になったのか」という基本的な事柄にいつも悩む。県資料や「平和の礎」の刻銘者数を参考にするのだが、犠牲者数が確定しているわけではない

▼沖縄戦が終わった日も説が分かれる。32軍司令官らが命を絶った1945年6月23日を日本軍の組織的戦闘終了日としているが、自決はその前日との説もある。「慰霊の日」も制定当初は6月22日だった
▼名前の分からない犠牲者もいる。6月23日以降に命を落とした県民もいる。軍責任者の自決日を「慰霊の日」とすることへの異論も聞く。沖縄戦を記録する上で付いて回る注意点である
▼沖縄市が「沖縄市史第5巻・戦争編」を発刊した。奥付によると発刊日は9月7日。日米両軍が旧越来村森根で降伏調印式に臨んだ日である。表紙には調印式の写真を載せた。沖縄戦の特異性を感じさせる
▼「県民の4人に1人」では言い表せない犠牲、6月23日、9月7日という特定の日付からこぼれ落ちる証言が同書につづられている。沖縄戦体験の多様性、米統治の実相を丹念に記録する意義は大きい
沖縄戦に動員された朝鮮人は1万人余とされる。犠牲者数は不明で、「平和の礎」に刻まれているのは464人にとどまる。日本と韓国は「徴用工」「慰安婦」をめぐって争っている。過去と向き合うことの難しさを思い知る。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-995718.html



(声)若い世代 猫のルナがくれた家族の時間(2019/9/24朝日新聞) 高校生 小田切すずらん(長野県 18)
 この夏、新しい家族が増えました。猫のルナです。ルナは3カ月で私たち家族を変えてくれました。

 私たち家族は仲が悪いわけではありませんが、思春期の弟をはじめ家族全員で会話をすることが減っていました。夜ごはんを食べる時間が合わない、居間にいてもスマホを触る時間が多い、などバラバラに行動することが多かったのです。

 しかし、ルナが家に来てから変わり始めました。みんなルナを見るため、かわいがるため部屋に集まってくるのです。ルナは私たち家族に集まる場所、会話をする時間をくれました。

 みんなで夜寝る前にルナを見るのが日課になりました。ルナをかわいがっている時、自然に会話がうまれます。そこで楽しく会話をする時間が増えました。私たち家族にとって「ルナ」は大切な存在です。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14190618.html?ref=pcviewpage



「絶滅の始まりなのに経済の話ばかり」 グレタさん怒りの演説 気候行動サミット(2019/9/24東京新聞)
 【ニューヨーク=赤川肇】「私たちは、あなたたち首脳を見張っています」。母国スウェーデンで毎週金曜日に学校を休んで、地球温暖化対策を求める座り込みを続けてきた環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)。世界の同世代に運動を広げた女子高校生は二十三日、米ニューヨークの国連本部で開かれた首脳級会合「気候行動サミット」に出席し、「あなたたちは私たちを見捨てようとしているのです」と十分な対策を講じていない各国首脳らに憤りをあらわにした。
 環境負荷の大きい飛行機ではなく、ヨットで欧州から大西洋を渡ってきたトゥンベリさん。この日は世界のリーダーらを前に、「全くおかしい。私はここではなく、学校に戻るべきです」と怒りに震えた。
 「人々が苦しみ、死んでいる。生態系全体が破壊され、絶滅の始まりに直面している。それなのに、あなたたちはお金や永遠の経済成長という信じられない話ばかり。よくも、そんなことができますね」
 トゥンベリさんは、気候変動が三十年以上にわたり科学的に明らかな事実だったと主張する。「あなたたちは目を背け続け、目に見える何の政策も解決策もなく、よくもここに来られたものですね」と皮肉り、「若者はあなたたちの裏切りに気付き始めています」とあらためて行動を迫った。
 サミットを控えた二十日、若者ら四百万人が世界各地で気候変動対策を求めるデモに加わった。「世界は目を覚ましつつあり、変わろうとしています」。前傾姿勢で力を込めた四分間の演説を終えると、会場は大きな拍手に包まれたが、トゥンベリさんに笑顔はなかった。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019092490135341.html



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2019年09月23日

PICKUP NEWS

米軍による土砂移転の謎(2019/9/23東京新聞)
 埼玉県所沢市にある米軍施設の所沢通信基地へ東京の横田基地から大量の土砂が運び込まれた。七月まで連日、百台の大型ダンプが市街地を通って運び続け、基地の南側に積み上げられた土砂は高さ二メートルに達した。
 所沢通信基地は市の中心部に位置し、面積九十七ヘクタールと広大だ。地元からの再三の基地返還要求に対し、在日米軍は土砂搬入による基地利用の既成事実化で答えたといえる。
 今回の作業が異例なのは、提供された施設の整備を防衛省に委ねてきた米軍が民間業者を雇い、自費で行った点にある。
 所沢市への米軍担当者の説明によると、滑走路外周道路の工事に伴って出た土砂の移転だという。「汚染土の搬出では」との疑念には、搬出する土砂そのものは調べず、周辺を調べて汚染物質は出なかったとしている。
 日本側は確認したのだろうか。国民民主党の屋良朝博衆院議員の質問主意書に対し、政府は「本件土砂の汚染は確認されなかったとのことである」と答え、まるで人ごとだ。
 横田基地では二〇一七年までの八年間に日本側に知らされていないジェット燃料などの流出事故が少なくとも百三十一件発生したことが報道で明らかになっている。
 米軍担当者は土砂搬入が「米政府の逆鱗(げきりん)に触れてしまったので今回限り」と所沢市に伝えている。なぜ米政府は怒ったのか。防衛省は案件の全容を解明するべきだ。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019092302000153.html



<金口木舌>軍事利用を止めた日(2019/9/23琉球新報)
 伊江港―本部港を結ぶフェリーは1日4往復。本部港では奄美や那覇を結ぶ貨客船も行き交う。17日、本部港の前に二重の人垣ができた。市民や港湾で働く人など100人余が集まった

▼米軍はこの日と21日に訓練で使用すると通告した。実行されれば米軍による民間港使用は本島で初めて。小型船を運ぶ米軍のトラックと阻止する人々のにらみ合いは10時間続き、米軍は搬入を断念した
▼沖縄地区港湾労働組合協議会の山口順市議長は憤った。「私たちは安全な職場環境を求めているだけだ。通告を新聞報道で知った」。港の軍事利用が進み、何も知らされないまま危険物の運搬に従事する。物流を担う者として危険が高まることを懸念した
▼隣の名護市では辺野古弾薬庫と接する高さ30メートルほどの崖が崩落したが、住民には何も知らされていない。保管されている危険物の内容も不明だ。県民の命や暮らしよりも軍機を優先する実態が目の前にある
▼米軍が本部港の使用を断念したことに、河野太郎防衛相は「(米側との)交渉がやりづらくなる」と述べた。その視界に県民は入っていないようだ
▼再通告の懸念は残るが、抗議した人々は「民間港の軍事利用を止めた」と意義を強調した。港で働く人たちも「これで帰るよ」と本部港から那覇行きのフェリーに乗り込んだ。表情から険しさは消え、笑顔が浮かんでいた。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-994651.html



<社説>温暖化若者一斉デモ 気候危機に関心と行動を(2019/9/23琉球新報)
 世界の若者が温暖化対策を訴えて一斉抗議行動を展開した。地球のどこに住んでいようと温暖化と無縁でいられないことを、まず自覚したい。

 米ニューヨークの国連本部で21日、世界各地の若者が集まり、政府や社会に変革を促す「若者気候サミット」が初めて開催され、温暖化の理解促進と対策強化のため政治家や社会への働き掛けを加速させることを確認した。
 若者らは、世界の首脳や閣僚が集まる23日の国連気候行動サミットで議論の結果を伝え、対応を求める。各国の指導者には当然ながら、温暖化の影響を長期間受けることになる若者らの真摯(しんし)な提言に正面から応える責務がある。
 ニューヨークでのこの二つのサミットに向けて20日に、世界の若者たちは温暖化に抗議し、変革を求めるデモ行動を一斉に起こした。欧米各国や東南アジア、中東など150カ国以上で行われた。過去最大規模の数百万人が参加したとみられる。画期的な出来事であり、世界の若者の強い危機感の表れでもあろう。
 世界の平均気温は、18世紀後半から19世紀に起きた産業革命の前と比べ約1度上昇した。今世紀末には産業革命前よりも約3度上がると予測されている。巨大台風や猛暑など温暖化との関連が指摘される現象は既に増えつつあるが、放置すれば異常気象や自然災害が激増しかねない。
 来年に本格始動するパリ協定では、気温上昇を1・5度に抑えることを目指すが、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、上昇を1・5度に抑制できても海面は最大77センチ上がり、洪水の被害者は2倍に増える。猛暑や豪雨の多発で、人の健康や水・食料供給にもリスクが生じる。
 サンゴ礁は70〜90%減少するという。沖縄の生態系も破壊され、暮らしや産業・経済が壊滅的打撃を受けかねない。気温は2040年前後に1・5度上昇に至るとの予測もある。さらに気象庁によると日本は世界平均より早いペースで上昇している。
 だが日本では地球温暖化に対する若者たちの関心はあまり高くないようだ。20日の世界一斉行動に参加したのは国内で約5千人だった。
 若者のクールな反応は政治や社会的な課題全般に共通する傾向だが、温暖化への関心の低さは大人たちの責任も大きい。従来の取り組みを反省する必要がある。政治は強いメッセージを発することができず、政府や産業界の対策も後手に回る。石炭火力発電への依存度が高い沖縄としても、議論をもっと深めたい。
 若者サミットで世界の抗議活動の中心的存在であるスウェーデンの少女グレタ・トゥンベリさん(16)は「若者の動きは止められない」と語った。世界の若者の行動に社会が呼応すべき時だ。温暖化対策に後ろ向きな一部リーダーらの怠慢で、未来を危うくするわけにはいかない。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-994629.html



(声)「犠牲」前提のダムはいらない(2019/9/22朝日新聞) 無職 泉谷京子(神奈川県 65)
 長崎の石木ダム建設計画に地元地権者が反対を続けている。県と佐世保市が同県川棚町で進めているものだ。それについて北村誠吾・地方創生担当相は「みんなが困らないように生活するためには、誰かが犠牲(になり)、協力して……」と発言したという。残念に思った。

 長崎に住んでいた私の兄は、石木ダム建設反対の立場にいた。建設予定地はホタルが舞い、コスモスが咲く自然豊かな場所であること、そこに住む人々の暮らしと受け継がれた歴史を大切にして、いつまでも見守っていきたいと語っていた。その兄も一昨年この世を去った。

 ダムから給水する予定の佐世保市は人口が減少傾向で「水不足を感じない」という市民の声もある。莫大(ばくだい)な税金をつぎ込んで造る必要があるのだろうか。水道管老朽化による漏水問題は、水インフラの整備に力を入れ、現状の水資源を有効活用すべきなのではないかと考えてしまう。

 水没予定地で暮らす住民の土地所有権が消滅し、土地の明け渡し期限が迫る。だが調査検討を行い、新たな方策を模索できないだろうか。そしてそれは決して「誰かの犠牲」が前提の計画であってはならない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14188564.html?ref=pcviewpage



気候変動対策「今すぐ」 デモ160カ国「若者団結示せた」(2019/9/22東京新聞)
 【ニューヨーク=赤川肇、ベルリン=近藤晶】米ニューヨークで二十三日に開催される国連気候行動サミットを前に、具体的な気候変動対策を求めるデモ「気候ストライキ」が二十日、世界各地で行われ、主催者発表で約百六十カ国の計四百万人以上が参加した。ドイツでは全土で百四十万人がデモ行進した。
 ストライキは、スウェーデン人少女グレタ・トゥンベリさん(16)が母国で始めた運動をきっかけに世界に拡大。欧州では英国、フランス、東欧諸国などでも大規模なデモが行われた。
 ベルリンのデモには主催者発表で二十七万人が参加し、ブランデンブルク門を起点に中心部を行進。参加者は「今すぐ行動を」「地球の代わりはない」などと書かれた手作りのプラカードなどを手に温暖化対策の強化や再生可能エネルギーの利用を訴えた。
 学校のクラスメートと参加したヨナス・フォーゲルさん(17)は「世界のリーダーはサミットで具体策を示してほしい」と期待。デモには親子連れも多く、娘を連れていたアンナ・フックスさん(30)は「子どもたちの未来のために、みんなが温暖化について真剣に考える必要がある」と訴えた。
 二十五万人が参加したニューヨークでは、保護者の同意を条件に学校を休むことを容認。中学生のエヤマリー・フランクリスさん(13)は「自分の未来や子孫に貢献したいと思い参加した。人々はまず環境問題を認識すべきだ」と話した。
 ニューヨークの国連本部では二十一日、若者気候サミットが開かれ、トゥンベリさんは二十日のストライキに「特に若者の団結、勢いを示すことができた」と手応えを語った。
 トゥンベリさんも参加する二十三日のサミットには、温暖化自体に懐疑的なトランプ米大統領は出席しない見通し。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201909/CK2019092202000124.html



17歳「故郷奪われるのは絶対嫌」ダム建設進める知事に(2019/9/20朝日新聞)
 長崎県と佐世保市が川棚町で建設を進める石木ダムを巡り、水没予定地の川原(こうばる)地区に住む13世帯の地権者らが19日、県庁で中村法道知事と面会した。居住地の明け渡し期限が11月18日に迫る中、ふるさとに住み続ける決意を知事に伝え、強制収用に踏み切らないよう求めた。

 面会に臨んだ住民は4歳〜90代までの約50人。「知事、どれだけ弱い者いじめをするのですか?」。川原地区に4世代で住む自営業松本好央さん(44)が口火を切った。長女の晏奈(はるな)さん(17)は「ふるさとが奪われるのは絶対嫌です」と思いをしたためた手紙を読み上げ、知事に手渡した。

 1975年に建設が決まった石木ダムは水没予定地の用地買収が進まず、県収用委員会は5月の裁決で、川原地区を含む約12万平方メートルの明け渡しを命じた。地権者の土地所有権は9月20日午前0時に国へ移り、11月18日までに居住地から立ち退かなければ、県は行政代執行による強制収用が可能になる。実際にこの手続きに踏み切るかどうかは知事の判断だ。

 知事が立ち退きを拒む地権者と会うのは5年ぶりだったが、ダムの必要性を積極的に訴えることはせず、約2時間半の間、聞き役に回った。今後も面会の場を求める声には「機会を頂ければありがたい」と応じた。

 ただ、面会後に取材に応じた知事は「事業全体を進めていく必要があると改めて感じた」と強調。代執行については「しかるべきタイミングで、決断をしなければならない」と述べた。
https://digital.asahi.com/articles/ASM9M346GM9MTOLB001.html?iref=comtop_list_pol_n02



(声)会話のないレジ、やはり寂しい(2019/9/20朝日新聞) 無職 山下久美(大分県 60)
 いつも利用しているカジュアルブランドの店舗がセルフレジになっていた。周りに声をかけられそうな店員さんもおらず、戸惑いつつ説明書きを見ながら恐る恐るやってみた。

 カゴに入ったまま値段は自動で読み取られ、入金し、自分で服をたたみ袋に入れて店を出た。この間誰とも口を利かない。店員さんの丁寧な対応に「ありがとう」と会釈するいつもの行動もない。「お金払ったよなあ」「袋の中がぐちゃぐちゃになってる」。ぼんやり思ってしまった。

 たくさんの知恵と技術が感じられるセルフレジを否定はしない。私もスーパーやコンビニで少しずつ挑戦している。しかし店員さんに感謝の気持ちを伝えないまま店を出る物足りなさ。人の温かさが薄れていくようで寂しい。「レジに温(ぬく)もり求める人もいる」(7月19日)を読んで、その通りだと深くうなずいた。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14185599.html?ref=pcviewpage



(声)農家の被害、見捨てられるのか(2019/9/20朝日新聞) 農業 糟屋和美(千葉県 73)
 台風15号通過の翌朝、信号のつかない国道を軽トラで慎重に畑へ向かった。10年前、脱サラした息子と隣町の休耕田を借り、野菜づくりを始めた畑だ。愕然(がくぜん)とした。収穫間近の秋ナスもピーマンもネギも茶色く枯れている。オクラ畑は強風になぎ倒された。お隣の農家のビニールハウスは鉄骨が曲がり、キュウリやトマトが枯れている。持ち主の老人は「昨年の台風の借金がまだある。もう続けられねえ」とうめいた。

 息子と毎日のように畑に通い、片付けをした。その間、国も県も自治体の役人もだれ一人訪ねてこなかった。唯一の情報源は新聞だったが、内閣改造の記事ばかり。必要な情報はどこからも入らなかった。

 台風が通過して6日目。やっと千葉県知事と農林水産相が被災地に視察に来たそうだ。なぜこんなに遅いのか。やはり弱い立場の者が見捨てられるのかと怒りが湧く。彼らの目で被害の状況をよく見、聞いてほしい。千葉県の農業、水産に携わる者の声を。これからの多難な復旧を。

 台風一過の翌日、倒れかけたオクラが一斉にうす黄色の花を咲かせた。「負けるな」という自然の励ましに涙が出そうになった。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14185592.html?ref=pcviewpage



(社説)原発事故判決 釈然としない無罪判断(2019/9/20朝日新聞)
 腑(ふ)に落ちない判決だ。2011年の福島第一原発事故をめぐり、東京電力の旧経営陣3人が強制起訴された裁判で、東京地裁は全員に無罪を言い渡した。
 判決は、事故を防ぐにはあらかじめ原発の運転を停止するしかなかったという前提に立ち、そうしなければならないだけの確かさをもって、津波の襲来を予測できたかを検討した。
 そして、国の機関が02年に公表した「三陸から房総沖のどこでも巨大地震が起こり得る」との見解(長期評価)を、根拠を欠き、信頼性に疑問があると指摘。原発は社会生活や経済活動を支える重要なインフラであり、旧経営陣に運転を止める義務はなかったと結論づけた。
 事故の被災者が国や東電に損害賠償を求めた訴訟では、この長期評価に基づき、「津波は予測できた」との判断が積み重ねられてきた。非常用電源を高台に移転させるなど、簡易な対策を講じていれば事故を防げたとした判決も複数ある。
 民事裁判に比べて刑事裁判では厳格な立証が求められるとはいえ、あまりの乖離(かいり)に驚く。未曽有の大災害を引き起こしながら、しかるべき立場にあった者が誰一人として責任を問われない。人々が納得できるだけの説明が尽くされたか、大いに疑問が残る裁判となった。
 一方で、公開の法廷で審理が行われた意義は大きい。政府や国会などの調査では言及されなかった重要な事実が、いくつも明らかになったからだ。
 例えば、東電内部では長期評価を踏まえて防潮堤建設などの検討が進み、最高経営幹部が出席する会議でも津波対策が話題になった。だが勝俣恒久元会長は公判で、「関心を持たなかった」と述べた。他の2人の被告も「記憶にない」を繰り返し、権限を互いに押しつけ合って、自らの無罪を主張した。
 原発の運転がこのような組織と人物に委ねられ、監督すべき政府もそれで良しとしてきた。その帰結があの事故だった。
 過去の話、あるいは東電特有の体質として片付けられるものではない。
 最近、火山噴火やテロへの備えなど、原発の安全性をめぐって新たな課題が次々と浮上している。だが電力各社は、手当てするには膨大な時間と金がかかるとして、対策の先延ばしを認めるよう原子力規制委員会に働きかけている。福島事故からいったい何を学んだのだろう。
 確率は低くても、起こり得る危機に対する鋭敏さをどう培うか。規制はいかにあるべきか。災害列島というべき日本で、原発に未来はあるのか――。裁判が突きつけた重い課題に、社会全体で向き合わねばならない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14185588.html?iref=comtop_shasetsu_01



あるべき安全思想、欠く判決 ノンフィクション作家・元政府事故調、柳田邦男さん 東電強制起訴判決(2019/9/20朝日新聞)
 ノンフィクション作家で、政府の福島原発事故調査・検証委員会で委員長代理を務めた柳田邦男さん(83)が判決を法廷で傍聴し、裁判の意味するものについて寄稿した。
 安全論の逆説的格言に、「法規の枠組みだけで仕事をしていると事故が起こる」というのがある。東京電力経営首脳の刑事責任を問う裁判の判決を傍聴していて、この格言はやはり正しいと思った。
 東電が福島原発事故を防ぎ得たか、経営判断の一つの分かれ目になったのは、事故発生3年前の2008年6月、安全担当部門から、経営陣の中で安全対策の責任を担っていた当時原子力・立地本部副本部長の武藤栄被告に「最大津波15・7メートル」という予測値が提示された時だ。武藤被告はこの予測値には信頼性がないと判断し、継続研究を命じた。
 経営陣に原発事業者に欠かせない鋭いリスク感覚があれば、完全な対策は緊急には無理にしても、せめて減災のために、全電源喪失を防ぐ策としての予備電源設備の高台への移設、配電センターや重要建屋の水密化など、元々あるべきだった安全対策の工事を命じることはできたはずだ。
 だが、判決は研究の努力を延々と紹介する一方で、経営陣の対処の是非については「責任を負う立場にあったからといって、発生した事故について、当然に刑事責任を負うことにはならない」と断じて結んでいる。
・・・ 事故後間もなく、崩壊した巨大な原子力建屋のすぐそばに立ち見上げた時、全身が震えた恐怖感。高濃度汚染地帯の「死の町」の情景。長期避難を強いられた被害者たちの苦難。避難のストレスによる災害関連死の数々。8年余りにわたり見つめてきた原発事故の凄絶(せいぜつ)さは、ただ事(ごと)ではない。
 問われるべきは、これだけの深刻な被害を生じさせながら、責任の所在があいまいにされてしまう原発事業の不可解な巨大さではないか。これが一般的な凶悪事件であるなら、被害者の心情に寄り添った論述が縷々(るる)記されるのが通例だ。裁判官は歴史的な巨大な複合災害である事故現場や「死の町」や避難者たちの生活の現場に立ち、そこで考えようとしなかったのか。・・・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14185750.html?iref=comtop_list_gold_n05


posted by オダック at 17:21| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする