2018年08月12日

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干上がったアラル海のいま 環境破壊、報いの現場を歩く(2018/08/12朝日新聞)
 中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンにまたがる塩湖「アラル海」。日本の東北地方とほぼ同じ広さの湖面積が、わずか半世紀で10分の1にまで干上がった。漁村は荒廃し、乾いた湖底から吹き寄せられた塩混じりの砂が町村を襲う。ソ連時代の無謀な水資源計画のつけを、人々は今も払い続けている。・・・アラル海の湖面積は1960年ごろは6万8千平方キロだったが、近年は10分の1に。干上がった原因は、ソ連が第2次大戦後に実施した大規模な灌漑(かんがい)政策だ。アラル海に注ぐ、2千キロ以上を流れるシルダリア川とアムダリア川の水を、流域の綿花と水稲の栽培拡大に使った。・・・クズルオルダ州のクリムベク・クシェルバエフ知事(63)は「アラル海の危機は、自然に対する人間の無責任さの実例だ。綿花や米を栽培する必要があったしても、環境と人々の健康に回復不能な損害を与えていいことにはならない」と話す。
https://digital.asahi.com/articles/ASL6X51R1L6XULBJ009.html?iref=comtop_8_06



花の都セーヌ川、汚水垂れ流し 五輪競泳会場へ浄化作戦(208/8/12朝日新聞)
 パリのセーヌ川で水質改善計画が進行中だ。1923年に市民の遊泳が禁止されてから、ほぼ1世紀。過去にも汚名をすすごうとしたことがあるが、挫折を味わった。2024年のパリ五輪の競泳会場に決まったことで、今度ばかりは後に引けないようだ。
 数々の名画やシャンソンの舞台になり、河岸がユネスコの世界文化遺産に登録されているセーヌ川。パリ市民や外国人観光客にとって憩いの場だ。
 ところが、河岸に下りてみると、水は緑色に濁っている。木くずやペットボトル、見分けのつかないゴミが水面を漂い、果ては自転車まで投げ捨てられている。
 7月下旬、河岸で日光浴をしていたモード・メスニーさん(40)に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。
 「いくら暑かろうと、今のセーヌ川で泳ごうとは思いませんよ。病気になるに決まっています」
 国の環境連帯移行省で、水質検査を担当するジュリ・ペルスレさんによると、全長約780キロのセーヌ川で一番汚れているのが、パリ付近だという。
 最大の原因は、汚水の垂れ流しだ。30万ほどある配管の約1割で、下水管が雨水管につながり、汚水がそのまま川に流れ込んでしまっている。ペルスレさんは「戦後直後に建てられた家に多い工事ミス」という。
 ・・・こんな具合で、セーヌ川には、基準値以上の大腸菌などのバクテリアが繁殖している。ペルスレさんの説明が分かりやすかった。
 「泳いで死ぬことはありません。でも、胃腸炎になる可能性はあります」
 パリ市はシラク市長(後の大統領)時代の1984年、「清潔なセーヌ川10カ年計画」を打ち上げた。当時の市の担当者は「10年後のセーヌ川は、ほぼ澄んだ状態で流れることになる」と断言。シラク氏も90年に、「3年後にきれいなセーヌ川で私が泳ぐ」と公言したが、実現しなかった。
 そんなセーヌ川が、2024年のパリ五輪では、トライアスロンや10キロのオープンウォーター(野外の競泳)の会場に決まった。パリのイダルゴ市長は、「泳げるセーヌ川」にすることを市民に約束。24年に向けた行動計画を練っている。
https://digital.asahi.com/articles/ASL7S4GNLL7SUHBI00Z.html?iref=comtop_list_int_n01



拘束より交流、精神科病院なくした国 隔離で差別対象に(2018/8/10朝日新聞)
 イタリアには精神科病院がない。40年前に全廃する法律が施行されたからだ。一人の精神科医が、強制入院から地域で支える仕組みに変えようと奔走した。その理念と実践は世界に先駆けた取り組みとして注目されている。
 1978年に施行された法律は「バザーリア法」と呼ばれる。閉鎖病棟での強制入院が当たり前だった精神医療現場を改革したフランコ・バザーリア(1924〜80)にちなむ。
 バザーリアは「危険な存在」として隔離されてきた患者と対等に向き合わない限り病気は治らないと考えた。病院を開放し、患者の自由意思による医療を導入。精神科病院長として赴任した北部トリエステで病院の廃止を宣言した。
 トリエステには患者の一時宿泊用施設が4カ所ある。その一つ、海岸に近い高級ホテルに隣接する施設は一軒家を改装したつくりで、個室が6部屋。施錠されておらず、外出時は看護師らスタッフが付き添う。・・・〈中略〉
 薬物の影響で症状が重かったり、暴れたりする緊急時はどう対応するのか。同法は、一般病院に割り当てた精神科病棟への入院を認める。だがベッド数は15床までに制限されている。
 ボローニャにある総合病院の精神科病棟では、入院は平均1週間ほど。同病院の精神科医マウリツィオ・ムスコリさんは「集中的に治療して緊急状態を過ぎれば、すぐ公立の療養施設などに移れる」と話す。
実質的長期入院なお
 精神科病院の全廃が進み、政府が「根絶」を宣言して約20年がたったが、取り組みには地域差がある。
 トリエステ地域を管轄する公立精神保健局のロベルト・メッツィーナ局長によると、バザーリアの理念を実践する精神科医は「全体から見るとまだ少数」。まず入院が必要、と考える医師は南部を中心に多い。民間の療養型施設には、実質的に患者を長期入院させるところもある。6月に政権についた右派「同盟」党首のサルビーニ副首相は、病院から地域サービスへの転換を「患者の家族を置き去りにする偽の改革だ」と批判している。

 一方、地域で精神医療を支える取り組みは他国の関心を呼び、研修や視察で専門家を派遣してきた国は米国、イラン、パレスチナなど40カ国・地域に上る。

 メッツィーナ氏自身、バザーリアから「抑圧された患者の権利を守らないと医療はできない」と学んだ。「隔離されることで患者は財産や市民権を失い、差別の対象になった。人としての権利を失わず、住んでいる場所で治療を受けられることが第一。バザーリアはそれを50年前から実践してきた」と話す。

日本の平均在院日数は270日
 日本でも入院患者を早期に退院させ地域につなぐ取り組みが始まっているが、厚生労働省の2016年の調査によると精神科病床の平均在院日数は270日に上る。

 日本の精神科医らが5月、ボローニャの精神科病棟を視察した。「必ず短期間で病院から出さないといけないのか」との質問に担当医は「退院後も療養施設や社会協同組合と情報を共有する。医療機関にいると患者が仕事に復帰しにくい。地域での生活を取り戻すのが重要だ」と答えた。

 視察に参加した精神科医の青木勉さんが院長補佐を務める総合病院「国保旭中央病院」(千葉県)では、05年に237床あった精神科の入院ベッド数が、現在は救急病棟のみの42床に減った。青木さんは「入院が収入の多くを占める病院が多いが、入院に頼らない精神医療サービスを進めたことが経営改善にもつながった」という。

 一方、医療スタッフの不足から、拘束せざるを得ないことがある。青木さんは「認知症の高齢者など、拘束をしないと安全が守れない場合もある」と話す。(トリエステ=河原田慎一)

     ◇

 〈バザーリア法〉 法律上は「第180法」と呼ばれる。憲法で保障された市民権に基づき、精神科の患者は自分の意思で医療を選ぶ権利があると規定。精神科病院の新設を禁止した。同年には実務を定めた別の法律も成立し、「治安維持」のための強制入院から、地域サービスによる医療に移行した。2000年に政府は、精神科病院の完全閉鎖を宣言。罪を犯した精神障害者らを収容する司法省の施設も15年に廃止、各地域の精神保健局が所管する一時居住施設に移行した。
https://digital.asahi.com/articles/ASL7M0BVKL7LUHBI02X.html?iref=comtop_list_api_t


posted by オダック at 19:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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