2020年02月09日

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(声)ジーパンとバイクの小三治さん(2020/2/8朝日新聞) 農業 杉浦一久(愛知県 83)
 落語家の柳家小三治さんが朝日賞を受賞し、その贈呈式があったと本紙(1月30日)で読んだ。
 もう20年以上も昔のことだ。
 私の住む町に「落語をきく会」というものがあった。知人に誘われて何度か足を運んだ。出演者は毎回替わり、主として東京の落語家がはるばる300キロも離れた田舎町へやってきたのである。
 会場は小さな寺の本堂。そのため、演者は本尊に尻を向けて座る仕儀になる。非礼この上ないが、客と入れ替わることもできず仕方がない。
 さて小三治さん。司会者が「師匠は革ジャンにジーパン姿、大型バイクで来られた」と紹介した。新幹線があるのに、だ。
 会がはねて宴席になった。知人に連れられて芸人と一緒の席に初めて座り、ジーパン姿の小三治という人を間近に見た。
 「この酒は飲んでいるとアゴが疲れるよ」と、軽妙な語り口で言った。地酒のラベルには「神杉」と書いてあり、「かみすぎ」と読む。当意即妙とはこのこと。懐かしく思い出した。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14358172.html?iref=mor_articlelink05



(声)新型肺炎に乗じ改憲論浮上とは(2020/2/8朝日新聞) 主婦 府川恵美子(神奈川県 68)
 新型コロナウイルスによる肺炎が拡大している折も折、改憲して「緊急事態条項」新設の声が自民党内から上がっているという。国民の間に広がる不安に乗じるような動きには、何とも驚いた。
 一方で、案の定という気もした。自民党は2012年憲法改正草案で緊急事態条項創設をうたい、18年に安倍晋三首相が主導した「改憲4項目」で大規模災害時には国民の権利を一時的に制限できるとしている。
 6年前、安倍首相は憲法について「国家権力を縛るものだという考え方がある。しかし、それは王権が絶対権力を持っていた時代の考え方であって……」だと衆院予算委員会で答弁し、驚愕(きょうがく)した。憲法は権力者を縛るものだ。政府が、主権者である国民の権利を制限する権限を持てるよう改憲すれば、立憲主義を真っ向から否定することになる。
 麻生太郎財務相も以前、ドイツのワイマール憲法が大統領の緊急命令乱発で形骸化し、ナチス独裁への道を開いた例を引いて「手口に学んだら」と発言。物議をかもした。
 新型肺炎を「改憲の実験台」としたいとする前に、数々の疑惑に対して真っ当に向き合ってほしい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14358164.html?iref=mor_articlelink04



(社説)チバニアン 地球史の遺産を後世へ(2020/2/8朝日新聞)
 ネアンデルタール人やマンモスのいた地質年代(77万4千〜12万9千年前)が、「チバニアン」と呼ばれることになった。ラテン語で「千葉時代」という意味だ。
 千葉県市原市にある地層が、この地質年代の始まりをはっきりと示している。研究者らでつくる国際地質科学連合(IUGS)が、そう認めた。
 46億年に及ぶ地球史に、日本の地名が刻まれるのは初めてとなる。自然科学で日本語が正式名称になるのは、理化学研究所のチームが発見した113番元素ニホニウムに続くものだ。
 地球の歴史は、気候変動や生物の大量絶滅などの特徴で区分されている。各年代の名前は、代表する地層の所在地名などにちなんで決められてきた。恐竜が栄えたジュラ紀や、三葉虫など多彩な生物が登場したカンブリア紀のように、欧州の地名に由来するものが多い。
 チバニアンを特徴づけているのは地磁気の逆転である。
 地球のN極とS極は過去に何度も入れ替わっており、直近は77万年ほど前になる。その痕跡が市原市の地層に残るとして、国立極地研究所や茨城大などのチームがIUGSに申請した。イタリアにも同じような地層があったが、市原市の方が学術的に意味があると判断された。
 そもそも地磁気の逆転は、京都帝国大の松山基範(もとのり)教授が世界に先駆けて提唱したものだ。1世紀近い年月をへて、ゆかりの地質年代に日本の地名が刻まれたことになる。幅広い分野の研究者が手を組み、地道にデータを積み上げた成果である。
 地元の協力と支援が後押ししたことも心に留めたい。行政は条例を定めたり、周辺の公有地化を進めたりした。地域の人たちも見学路を整え、ガイド役を買って出た。学界と地元が手を組んだたまものといえよう。
 地質学には、地球の歴史を探検するだいご味がある。チバニアンをきっかけに地質学に興味をもつ若者が増えれば、今後の教育や研究の底上げも期待できるのではないか。
 その意味で、化石標本や地質学の解説パネルなどを展示する仮設施設を、市原市が現地につくったのは意味がある。観光客や地質学ファンの知的好奇心を満たすよう、研究者と協力して展示を充実させてほしい。・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14358175.html?iref=mor_articlelink02



【社説】新型肺炎と改憲 不安に付け込む悪質さ(2020/2/8東京新聞)
 新型肺炎の感染拡大に伴い、自民党内で改憲による緊急事態条項の創設を求める意見が相次いでいる。停滞する改憲論議に弾みをつける狙いだろうが、国民の不安に乗じるのは悪質ではないのか。
 新型肺炎の感染拡大を受けて、緊急事態条項を創設する改憲論の口火を切ったのは、自民党の伊吹文明元衆院議長。一月三十日の二階派会合で「緊急事態の一つの例だ。憲法改正の大きな実験台と考えた方がいいかもしれない」と述べた。
 翌三十一日に開かれた同党の新型肺炎に関する対策本部でも出席者から「憲法改正への理解を国民に求めるべきだ」との声が出た。二月一日には下村博文党選対委員長が講演で「人権も大事だが、公共の福祉も大事だ。直接関係ないかもしれないが(国会での)議論のきっかけにすべきではないか」と述べた。
 その理屈はこうだ。現行憲法下では、人権への配慮から感染拡大を防ぐための強制措置に限界がある。だから憲法に緊急事態条項を設け、武力侵攻や大規模災害などの緊急事態には内閣に権限を集中させ、国民の権利を一時的に制限することも必要だ、と。
 二〇一二年に発表した自民党改憲草案は緊急事態の際、内閣に法律と同じ効力を持つ政令の制定権を認める条項を明記した。緊急事態条項創設は安倍晋三首相が実現を目指す改憲四項目の一つだ。
 ただ、政府は一月二十八日、新型肺炎を感染症法上の「指定感染症」とする政令を閣議決定し、前倒しで施行した。現行法でも空港や港の検疫で検査や診察を指示したり、感染者の強制入院や就業制限もできる。入管難民法に基づいて入国拒否も可能だ。
 政府の対応に不備があるとしたら、憲法の問題ではなく、法律の運用や政府の姿勢の問題だ。
 改憲しなければ、国民の命や暮らしが守れない切迫した状況でないにもかかわらず、国民の不安に乗じて改憲論議を強引に進めようというのは到底、看過できない。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020020802000175.html



辺野古軟弱地盤 防衛省「強度試験やってない」 国会や取材に虚偽説明(2020/2/8東京新聞)
 政府が「ない」としていたデータが存在していた。埋め立て予定海域の海底に広大な軟弱地盤を抱える沖縄・辺野古の米軍新基地建設工事で、防衛省が想定する地盤強度を大幅に下回るデータが明らかになった。これまで防衛省は本紙の取材や国会で、最深部の軟弱地盤について「強度試験はやっていない」と虚偽の説明を繰り返し、不都合なデータを伏せてきた。 
 「最初から地盤の強度試験はやっていない。海底の地中から採取した試料は土の性状を見るためのもの」
 軟弱地盤が海面から深さ九十メートルに達する埋め立て予定海域の「B27」地点。防衛省の担当者は昨年十月、本紙の取材に、海底の土の採取は認めながら、試験はしていないと断言した。
 埋め立て予定海域にはマヨネーズ状といわれる軟弱地盤が広がり、埋め立てると地盤沈下の恐れがあるため、防衛省は七万本以上の砂などの杭(くい)を海底に打ち込み、地盤を固める工事を検討している。
 ただ、海面下九十メートルの深さでの地盤改良工事は世界でも例がない。それでも防衛省はこれまで「七十メートルまで改良すれば、(基地の)施工は可能」としてきた。根拠としたのは、七十メートルより深い地盤は同じ粘土層でも「非常に固い」とする地盤データだ。しかし、このデータは「B27」地点の実測値ではなく、別地点のデータからの類推だった。
 防衛省が地盤改良の検討報告書を公表した昨年三月以降、国会では野党が「B27地点で地盤の強度試験もせずに大丈夫だと判断したのは、極めて不自然」などと追及した。
 これに対し、当時の岩屋毅防衛相らは「B27地点そのものは(強度試験を)やっていない」。B27地点のデータの存在に言及したことは一度もなかった。
 防衛省整備計画局は、これまでの国会答弁や取材への回答について「正確な説明ではなかったかもしれないが、うそをついたつもりはない」と抗弁する。B27地点の強度データは「業者の独断で行った使えないデータだった」と強調した。
 だが、国から地質調査を請け負ったことがある建設コンサルタントは証言する。「どんな試験をするか、事前に発注者の許可を取る。指示のない試験を受注業者が勝手に行うことは、指名停止につながる恐れもあり、常識ではあり得ない」
◆防衛省対応理解できぬ
<地盤工学に詳しい日本大学の鎌尾彰司准教授の話> 今回明らかになった強度試験は、簡易的な試験。ただ、建設できないリスクをはらんだデータである以上、検討すらしないという防衛省の対応は理解に苦しむ。巨額の税金を使うだけに、あらゆるリスクを想定し、より綿密に地盤調査をすることが望ましい。 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020020802000144.html



グレタさんに続け 学生ら気候危機訴える旅 スペインへ10日出発(2020/2/7東京新聞)
 桜美林大学(東京都町田市)と恵泉女学園大(多摩市)の学生10人が10日、世界遺産に登録されているスペイン北部のキリスト教の巡礼道を歩く旅に出る。約40日間、総距離850キロ。世界中から巡礼者が訪れるこの道で、出会った人たちに気候変動への危機感を訴える。各国に温暖化対策強化を求めるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)に刺激を受け、自らの意識とも向き合う旅だ。 
 「グレタさんのスピーチを聞いても実感が持てない。あと百年は大丈夫だと思っている」。五日に桜美林大で開かれた壮行会で、同大一年の勝山愛菜(あいな)さん(19)は率直な思いを明かし、「危機感を持ち帰りたい」と語った。恵泉大一年の松本千佳さん(19)は「環境問題に関心はあるが、自分が何をすればいいか分からない」と、答えを見つけることを旅の目標に掲げた。
 参加する一〜三年の男女十人は、両大で国際情勢論などを教える写真家桃井和馬(かずま)さん(57)の受講生。桃井さんは「世界を感じてほしい」と四年前から毎年、桜美林大生を引率して巡礼の道を歩いており、恵泉大生は今回が初挑戦となる。
 巡礼に際しては毎回、過去に参加した学生らが相談してテーマを設けている。今回は、桜美林大三年のダバンテス・ジャンウィルさん(22)の経験が一つの決め手になった。
 ダバンテスさんはグレタさんに感銘を受け、昨年十一月に東京・新宿で地球温暖化対策を求めるデモに参加。声を上げる若者らを見ていた大人たちや、活動を冷やかした友人らの無関心さに衝撃を受けた。自分たちにできることを考え、行動する機会にしようと、今回の巡礼のテーマを「気候危機」に決めた。
 学生たちは現地で「Climate Crisis(気候危機)」と印刷したそろいのTシャツを着て、手作りの旗を掲げる。フランス国境付近から毎日二十〜三十キロを歩き、キリスト教三大聖地の一つで目的地のサンティアゴ・デ・コンポステラを目指す。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/202002/CK2020020702000279.html



(声)イラン米報道に感じた不公平(2020/2/7朝日新聞) 翻訳業 モルテザ・バグダディ(山梨県 48)
 「イラン国営テレビの映像を翻訳して」。1カ月ほど前の夜、東京のテレビ局に呼ばれました。母国イランの司令官が米国に殺害され、政府は報復を宣言していました。
 テレビ局に向かう電車で、脂肪燃焼サプリの広告が目に入ります。
 日本は平和です。足りないのはスリル。それをマスコミは供給する。テレビ局で見せられた映像には、イラン高官の「反撃する」という言葉や、ミサイル発射シーンがありました。
 この「スリル満点報道」は不公平でした。たとえば「過激派組織イスラム国(IS)と戦った司令官の殺害は国際法違反」などの主張は、米国の主張と比べて十分伝えられません。
 日本人2人がイスラム国に殺された時も戦っていた司令官。なぜ、彼の功績を誰も報じないのでしょう。
 母国は信仰の名の下に、異質な者を排除する国です。だから私は、日本で初めて触れた報道の自由に深く感銘を受けました。でも最近、それは「米国を不利にしてはならぬ」という制限付きに見えます。
 メディアには、報道が米国偏重だと自覚して欲しい。そして、真の民主主義に基づく自由で公正な報道をしてもらいたい。そう願います。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14356754.html?iref=mor_articlelink03



【茨城】産廃最終処分場 候補地13カ所、公表せず 県、住民の反対運動恐れ(2020/2/7東京新聞)
 県が新たな産業廃棄物の最終処分場の候補地選定を進めている。十三カ所まで絞り込まれ、二〇二〇年度に最終候補地一カ所を決定する予定だ。ただ、県は反対運動を懸念し、どこが候補地かを明らかにせず、一カ所に絞った段階で初めて公表する方針。住民が知らぬまま候補地が決まるなど一連の進め方に、笠間市の最終処分場に反対を訴えた人から批判の声が出ている。 
 処分場整備のあり方を検討する県の外部有識者の委員会は昨年十二月、候補地を十三カ所に絞った。三月末までに開く最終会合で、さらにふるいにかけて数カ所に絞る。その中から、県は二〇年度内に最終候補地を決定するスケジュールを描いている。
 外部委は昨年十月の第四回会議で、法令上の規制区域を除くなどしながら四十六カ所を選定した。十二月の会合では、そこから透水性が高い場所をはじめ、埋蔵文化財の有無、近くに学校や病院があるなど十五項目のうち一項目でも当てはまる場所を外した。
 次回までに十三カ所すべてを現地調査。地形や地質の状況、近隣の居住地や、処分場から流す水のために利用する下水道の状況などから数カ所を提示する。
 外部委は非公開。県は会議後に、ホームページで議事要旨を公開するが、候補地につながる情報は公表しない。
・・・ 候補地を公表すれば、各地で反対の声が上がり、事業が進まなくなることを恐れているというわけだ。最終的に一カ所に絞られて公表された時に、住民が初めて知って反対を唱えても、そのまま最終処分場になる可能性が大きい。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/202002/CK2020020702000168.html



(声)別姓へのヤジ、ハラスメントだ(2020/2/6朝日新聞) 契約社員 吉川麻紀(大阪府 53)
 氏名は人を表す大切な要素。生まれた時と同じ氏名を約50年名乗ってきた。結婚後も旧姓で仕事を続けていたので、子どもの学校以外で夫の姓を名乗ることはほぼなかった。
 50歳を前にして失業。ハローワーク通いの末にようやく手にした採用通知を前に、「旧姓で働きたい」とはどうしても言えなかった。
 今は夫の姓を名乗り、夫の姓で呼ばれる日々。薄い膜を隔てて働いている、自分が自分でないような気がする。選択的夫婦別姓制度があればこんな鬱屈(うっくつ)を抱えなかったのに。
 先日も、ある団体の会員カードを作ろうと旧姓が併記された住民票を添付して、旧姓名で申請してみたところ「戸籍名でしか発行できない」と断られた。旧姓の私は本人と認められないのだと落胆していたら、「それなら、結婚しなくていい」という国会のヤジを報道で知った。代表質問で選択的夫婦別姓導入を野党が首相に求めたことに対するヤジだ。
 不快にさせたり、自身の尊厳を傷つけられたと感じさせたりする発言がハラスメントというのであれば、選択的夫婦別姓を求める人々への、国会議員によるハラスメントではないだろうか。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14355382.html?iref=mor_articlelink03



【社説】検事長の人事 政治介入という悪例だ(2020/2/5東京新聞)
 政府が定年間近の黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年間延長した。次期検事総長に充てる目算だとされる。検察庁法の定めにはなく、公正たるべき検察に政治の介入を許す悪例となるのを恐れる。
 「禁じ手の人事だ」「汚点になる」−検察OBや官僚らからも批判が噴出している。それほど前代未聞の出来事だ。
 検察庁法では定年を検事総長は六十五歳、検事長を含む検察官は六十三歳と定めている。黒川氏は今月七日に定年を迎えるはずだったが、半年間の延長を閣議決定した。異例の人事は国会でも取り上げられ、森雅子法相は「重大、かつ複雑な事件の捜査・公判に対応するため」と答弁した。
 だが、そんな単純には受け止められてはいない。現在、検事総長である稲田伸夫氏が慣例どおり、おおむね二年の任期で今年八月までに勇退すれば、黒川氏を後任に充てることが可能になるからだ。
 確かに国家公務員法では、公務に著しい支障が生じる場合に勤務の延長を認めているものの、検事長の勤務延長の前例はない。立憲民主党の枝野幸男代表は「検察官の定年は検察庁法で定められ、国家公務員法の規定を使うのは違法、脱法行為だ」と批判する。
 事件捜査の畑よりも法務官僚としてキャリアが長い黒川氏については、政権との距離が近すぎるとの評がある。それを枝野氏は問題視したのだ。
 もともと検事総長の後任には「政治色がない」とされる林真琴名古屋高検検事長が就任するとの見方が有力だった。ところが、今回の閣議決定で、後任が入れ替わってしまう見通しになった。
 つまりは官邸による人事のコントロールが検事総長にまで及ぶ危うさが露呈したわけだ。「この人事は法務省の中で決定した」と首相は国会で答弁したが、本当なのか。二〇一三年に「憲法の番人」たる内閣法制局長官に、集団的自衛権行使の容認派だった外交官を充てた異例の人事と重なる。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020020502000140.html



<金口木舌>置いてけぼりはいけない(2020/2/5琉球新報)
 小学校低学年のころ、同級生にO君という男の子がいた。「なかよし学級」と呼んでいた特別支援学級に席を置いていた。時々、同じ教室で授業を受け、給食の時間を過ごした。小太りで、はな垂れ小僧(こぞう)だった
▼時々いじめられることがあり、大粒の涙と鼻水を流して泣きじゃくった。 それでも、しばらくすると遊びの輪に加わり、仲間と一緒にはしゃいでいた。O君は人気者でもあった
▼同じく特別支援学級で学んでいたYちゃんという女の子もいた。笑顔がかわいかった。中学校卒業式の日、担任にすがりついて泣いていた姿が忘れられない
▼O君やYちゃんは今どうしているだろうか。いつの間にか視界から2人の姿が遠のいていった。いや、違う。遠のいたのは、こちらの方かもしれない。教室や運動場の片隅に2人を置いてけぼりにしたのではなかったか
障がいの有無を超え、共に学ぶインクルーシブ教育は目指すべき理想だ。「誰一人取り残さない」社会を掲げるSDGsは時代のキーワード。掛け声だけに終わらせてはならぬ。大事な人を置き去りにしてないか、身の回りを見渡そう
▼知的障がいのある仲村伊織さんの高校進学を巡って、県教育庁と保護者や支援者が12時間にわたって交渉した。双方とも学ぶ権利の重さを感じていよう。目指すべき理想ははっきりしている。今は産みの苦しみだと考えたい。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1068854.html



【社説】呼吸器事件再審 冤罪の闇に十分な光を(2020/2/4東京新聞)
 「呼吸器事件」の再審が、大津地裁で始まった。無理な捜査、虚偽自白、証拠開示の遅れ−を乗り越え、三月にも無罪判決の運び。半面、冤罪(えんざい)を生んだ経緯の検証は短期間の法廷では困難になった。
 三日の再審初公判で、元看護助手西山美香さん(40)は、きっぱりと無罪を主張。検察側は短時間の冒頭陳述で「新たな有罪立証はせず裁判所に適切な判断を求める」と早口に。西山さんへの被告人質問は「特にありません」で終わり、有罪立証は断念された。
 来週の第二回で結審し、三月の判決公判で無罪が言い渡されるのは確実だ。西山さんが待ち続けた「名誉回復」が近づいている。
 ただ、検察が求めた早期の結審・判決は「西山さんはなぜ冤罪に陥れられたか」を法廷でじっくりと検証できず、背景の追及ができなくなることも意味する。
 事件を振り返る。二〇〇三年五月、滋賀県の病院で男性患者が死亡。西山さんは「人工呼吸器のチューブを外した」と自白し、殺人容疑で逮捕された。公判で否認したが懲役十二年が確定し、服役した。患者の死因は低酸素状態(窒息)による急性心停止とされた。
 しかし、第二次再審請求審で大阪高裁は「事件ではなく、不整脈による自然死かも」「供述が目まぐるしく変遷する自白調書に信用性はない」と再審開始を決定。昨年三月、最高裁で確定した。
 その後、検察は迷走する。同四月、いったんは「再審での有罪主張」を表明した。だが「呼吸器を故意に外していない」との西山さんの自供書や、他殺でない可能性ありとの鑑定医の所見を載せた捜査報告書が滋賀県警から送られていなかったことが判明した。
 いずれも捜査側に不利な書類。受け取った検察側は十月、これらを弁護側に開示し、有罪立証を事実上あきらめる方針も伝えた。
 (1)軽い知的障害のある西山さんは刑事の取り調べに誘導されて殺人を自白してしまった可能性がある(2)患者の死因の不審点が見過ごされた(3)警察・検察側に不利な証拠が開示されなかった−。冤罪のたびに指摘される「刑事司法の闇」が今回も輪郭を表した。
 まずは、西山さんの無罪の見通しを喜びたい。しかし、三回で終わる再審公判では、刑事司法のよどみや曇りを十二分に解明できないだろう。弁護団は、国家賠償を求める民事訴訟を検討しているとも聞く。せめてそういった場で、冤罪が生まれる構造に光が当てられることを望みたい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2020020402000148.html



【東京】障害者も一般人として書く 作家の小手鞠(こでまり)さん、高円寺で講演(2020/2/4東京新聞)
 視覚や身体などに障害がある人が登場する物語を書いてきた作家の小手鞠(こでまり)るいさんが2日、杉並区の高円寺障害者交流館(高円寺南2)で講演した。参加者は障害のある人とない人が楽しく交ざり合える社会の在り方などを考えた。 
 小手鞠さんは、一九九三年に「おとぎ話」で「海燕」新人文学賞を受賞。その後、「欲しいのは、あなただけ」で島清恋愛文学賞、原作を手掛けた絵本「ルウとリンデン 旅とおるすばん」でボローニャ国際児童図書賞、「ある晴れた夏の朝」で小学館児童出版文化賞を受賞している。
 米国在住。声の出なくなった少女と視覚障害のある少年との交流を描いた「きみの声を聞かせて」や、体の不自由な子どもたちの太平洋戦争を描いた「あんずの木の下で」など、障害当事者の物語を多く書いてきた。
 講演では、視覚障害がある母について触れ、「口うるさかったから、障害に同情するより憎たらしい母だった。でも、勉強していて知識があり、立派な人」と紹介。そんな環境で育ったからこそ、小説などの障害者が恋愛対象でなかったり、感動的にしか語られていなかったりすることに「本当なのか、って思う。障害がある人がさらっと、一般の人として出てくるべきで、これは私が書かないと」と、感じてきたと話した。
 参加した視覚障害がある人から「障害のしんどさばかりが強調されがちだが、ご飯も食べるし、ビールも飲みたい。障害がない人と共感ができるものを探したい」といった意見があった。
 講演は、視覚障害に関することを自由に発信する集まり「馬場村塾」で企画された。新宿区高田馬場などで二〇一五年四月からほぼ毎月、開かれている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/202002/CK2020020402000128.html


posted by オダック at 20:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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