2019年11月04日

PICKUP NEWS

【問】憲法から定理を導け 【解】9条は改正不可 前広島市長・数学者 秋葉忠利さん「証明」(2019/11/4東京新聞)
 日本国憲法は3日、公布から73年を迎えた。前広島市長で数学者の秋葉忠利さん(77)は今夏に出版した著書で、数学の理論を立証する手法を使って日本国憲法から「定理」を導き出す独自の解読をした。定理の一つとして、戦争放棄を定めた9条などは「改正不可条項」に当たると訴えている。 
 著書のタイトルは「数学書として憲法を読む」(法政大学出版局)。安倍政権が九条に自衛隊を明記するなどの改憲に本腰を入れようとする中、「護憲・改憲の議論以前に、そもそも憲法はきちんと読まれているのか」との思いから、憲法を時の政府や法学者による解釈にとらわれず、文字通り数学的、論理的に読み解くことを試みた。
 まず(1)単語の意味を文字通りに解釈(素読律)(2)一つの単語、フレーズは同じ意味(一意律)(3)書かれていないこと、他の文献に依存しない(自己完結律)−など九つのルール(九大律)を設定。ルールに従い、憲法に書かれたことだけを議論の出発点となる「公理」と見立て、そこから論理的な結論となる「定理」を「証明」していった。
 導き出した定理のうちの一つは、憲法には一条や九条、一一条、一二条など、改正してはいけない条項があるということ。秋葉さんは、条項の中に「永久に」「国民の総意」「不断の」などの絶対的な表現と関連がある八つが「改正不可条項」に当たると指摘する。
 九六条には憲法改正の規定があるが、数学的には、絶対的表現(X)は時間的に全ての未来を縛る力があり、条文を変えると「永久に」といった単語の意味と矛盾が生じる。このため、Xの関連条項は九六条の対象外と解釈できるという。
 秋葉さんは「実際の社会は数学だけでは割り切れない。数学的に読み解いた結論が全てではないが、論理も大事だ。憲法の建設的な議論につながってほしい」と願っている。

<あきば・ただとし> 1942年11月3日、東京生まれ。東京大理学部数学科卒。米マサチューセッツ工科大(MIT)で博士号取得。ニューヨーク州立大などで数学を教える。広島修道大教授を経て、90年衆院選で初当選。99年、広島市長に初当選し、3期務める。現在、原水爆禁止広島県協議会代表委員。著書に「真珠と桜−『ヒロシマ』から見たアメリカの心」(朝日新聞社)など。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201911/CK2019110402000133.html



9条守り平和守ろう 国会前で集会(2019/11/4東京新聞)
 憲法公布から七十三年となった三日、安倍晋三首相が目指す改憲発議を阻止しようと、「憲法集会」が国会前で開かれた。「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」など三団体の共催で約一万人(主催者発表)が集まり、「みんなの力で政治を変えよう」などと声を上げた。 
 総がかり行動実行委共同代表の小田川義和さんは、米軍が日本政府の中止要請を聞かず沖縄・嘉手納基地でパラシュート訓練を強行したことに触れ、「占領期と同じだ。必要なのは日米地位協定の見直しで、改憲論議ではない」と指摘した。
 日韓関係の悪化を市民の連帯で乗り越えようと、韓国の市民団体も参加した。「東アジア平和市民会議」のイ・ブヨン代表は「憲法九条を守ることは東アジアや世界の平和を守ること。安倍政権の敵対的な朝鮮半島政策を変えなければならない」と訴えた。性暴力被害者へ寄り添う「フラワーデモ」を四月から行っている作家の北原みのりさんもマイクを握り「正義とは聞かれない声を聞くこと」と訴えた。 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110402000129.html



<税を追う>飲み残し薬、再利用で年3300億円 墨田の薬剤師ら活動(2019/11/4東京新聞)
 患者が服用を忘れたり残したりした「残薬」を再利用することで、新たに処方する薬の量を減らす「節薬バッグ運動」を東京都墨田区などの薬剤師会が取り組んだところ、患者一人当たり一回の処方で、平均二千二百〜六千二百五十六円の薬剤費を削減できたことが分かった。データを分析した九州大学大学院の島添隆雄准教授らの研究チームは、分析結果を全国に広げた場合、年間三千三百億円の薬剤費を削減できる可能性があると推計している。
 節薬バッグ運動に取り組んだのは墨田区と福岡市、福岡市近郊の医療圏の薬剤師会。運動は患者が自宅にある残薬を「節薬バッグ」に入れて対象の薬局に持っていき、再利用できるものがある場合、薬剤師が医師に連絡して処方箋を書き換え、新たに処方する薬の量を減らす取り組み。福岡市薬剤師会が二〇一二年、全国に先駆けて始め、各地の薬剤師会に広がっている。
 島添准教授によると、一人当たりの平均削減額は一回の処方で墨田区が六千二百五十六円、福岡市が二千五百七十円、福岡市近郊が二千二百円。
 墨田区には複数の大病院が立地し、遠方に住む患者の通院回数を減らすために薬を長めの日数で処方することが多いといい、その分だけ削減効果も大きかったとみられる。
 患者の窓口負担額は年齢や所得に応じて原則一〜三割で、残りは税と保険料で賄われている。自己負担割合が低い患者ほど残薬が多かった。薬の処方日数が長いほど残薬も多くなる傾向がみられた。
 削減額が最多だった墨田区薬剤師会の節薬バッグ運動には、加盟する百一薬局のうち三十五薬局が参加した。研究チームは、このうち二十八薬局へ二〇一七年十月〜今年一月に持ち込まれた残薬のデータを分析した。
 それによると、持ち込んだ患者は延べ四百九十五人で、平均年齢は六六・九歳。処方箋に書かれた薬の総量は計約二十万六千個だったが、糖尿病や高脂血症など生活習慣病の薬を中心に約五万六千個を削減できた。一人当たりの削減率は金額ベースで29%。高額薬剤を「例外」とみなして除外した場合でも、平均削減額は五千二百七十六円に上った。
 島添准教授は「残薬調整をした患者は月を追うごとに飲み残しが減っていた。薬剤師がチェックするため、患者の意識も高まるのだろう。そうした点でも意義のある取り組みだ」と話している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110402000132.html



<社説>米軍が事故公表せず 地位協定改定しかない(2019/11/4琉球新報)
 一つの事故をうやむやにしたために、事故の連鎖を生み、人命を失った。地域に損害を与え、市民を危険にさらしている。
 米海兵隊岩国基地所属部隊が2016年4月に、嘉手納基地沖の上空で戦闘機と空中給油機の接触事故を起こしながら公表せず、正式な調査も見送っていた。米軍の報告書で明らかになった。
 報告書は18年12月の高知県沖の墜落に状況が類似していると指摘するが、同様な事故はそれだけではない。
 16年12月に名護市安部で起きた米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落も夜間の空中給油中の事故だ。両事故とも嘉手納基地沖の事故がきちんと検証されていれば防げたのでないか。米軍の隠ぺい、怠慢の罪は重い。
 嘉手納基地沖の事故は第242(全天候)戦闘攻撃中隊のFA18戦闘攻撃機が、別部隊のKC130空中給油機と米軍嘉手納基地沖で接触し、給油ホースを引きちぎった。FA18の操縦士が月明かりのない暗闇で初めて空中給油を受けている最中に起きた。操縦士が機体の高度や体勢を把握できなくなる失調状態に陥ったという。米軍はこの事故を日本側に報告しなかったばかりか、本格的な調査もしなかった。
 同年12月には名護市安部でオスプレイ墜落事故が起きた。オスプレイは夜間、MC130空中給油機から給油口への接続を試みた際、オスプレイの右のプロペラが給油口に接触し損傷した。
 高知沖墜落事故も同じく夜間の空中給油訓練中に起き、1人が死亡、5人が行方不明という犠牲を生んだ。
 米軍はいずれの事故も原因は操縦士の人為ミスと結論付けているが、本当にそうだろうか。報告書は「(嘉手納基地沖で)調査していれば(高知沖は)防げた可能性がある」と内部批判しているが、当然だ。あまりにもずさんで、人の命を軽んじているとしか思えない。
 報告書はさらに恐ろしい問題を挙げている。相次ぐ事故の背景として、部隊内に「薬物乱用、アルコールの過剰摂取、不倫、指示違反といった職業倫理にもとる実例」があると指摘したのだ。このような規律意識の低い部隊が県民の頭上で日常的に訓練を繰り返しているのでは、事故は起こるべくして起こったと言わざるを得ない。
 国内で起こった事故でありながら、日本側が事故を把握できない日米地位協定が問題だ。米軍と地位協定を結ぶドイツやイタリアでは事故時の通報体制が整っているが、日本では米軍の裁量に任されている。
 日本政府は速やかに日米地位協定を改定し、自国内で起きた事故の通報体制を米側に義務付け、捜査にも関与できるようにするべきだ。規律の緩みきった米軍に再発防止はできない。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1019709.html


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2019年11月03日

PICKUP NEWS

【社説】憲法公布の日に ワイマールの悪夢から(2019/11/3東京新聞)
 今年はドイツのワイマール憲法誕生百年に当たります。民主的な憲法でしたが、ナチスに蹂躙(じゅうりん)されました。そんな人類史も忘れてはなりません。
 一九一九年は大正八年です。日本ではカイゼル髭(ひげ)が流行していました。政治家も軍人も…。カイゼルとはドイツ皇帝。確かに威厳ありげに見えます。髭の形が自転車のハンドルに似ているから「ハンドルバームスタッシュ」の異名もありますが…。
 その髭の主・ウィルヘルム二世は前年に起きたドイツ革命により特別列車でオランダに亡命していました。何両もの貨車には膨大な財産が満載でした。
◆完璧な基本権だった
 ドイツは帝政から共和制へと変わりました。新しい議会がワイマールという東部の都市で開かれ、「ワイマール憲法」が制定されました。生存権の条文があります。「経済生活の秩序は、すべての人に人たるに値する生存の保障をめざす、正義の諸原則に適合するものでなければならない」と。
 労働者の団結権なども保障されます。男女の普通選挙による議会政治も…。「ワイマル共和国」(中公新書)で元東京大学長の歴史学者林健太郎氏は「基本権はさすがにすぐれた憲法学者の作だけあって、最も完璧なもの」と記しました。基本的人権の保障が近代憲法の第一段階で、第二段階の社会権を装備した先進的憲法でした。
 でも、この共和国は難題に直面します。第一次大戦後のベルサイユ条約で領土の一部を失ったうえ、多額の賠償金を負っていました。空前のハイパーインフレが襲いました。物価水準は大戦前に比べ二万五千倍を超え、マルク紙幣は額面でなくて、重さで量られるありさまです。さらなる災難は世界大恐慌でした。六、七百万人ともいわれる失業者が巷(ちまた)にあふれました。
◆独は「戦う民主主義」で
 ここでチョビ髭の男が登場します。そう、ヒトラーです。「ベルサイユ条約の束縛からドイツを解放する」と訴えて…。三〇年の選挙で右翼・ナチ党の得票率は18・3%だったのに、三二年には37・3%と倍増します。その翌年に高齢の大統領がヒトラーを首相に任命しています。「強いドイツを取り戻す」ためでした。
 直後に国会議事堂が放火される事件が起きます。政権を握ったヒトラーはこれを機に、言論の自由や集会・結社の自由など憲法に定めたはずの基本権を停止する大統領令を発布します。いわゆる国家緊急事態宣言です。
 皮肉にも正式名は「人民と国家防衛のための緊急令」です。憲法にあった緊急事態条項を巧みに利用したのです。決して選挙で過半数を得たわけではないのに、憲法停止という強権を手にしました。有名な全権委任法をつくったのも同じ年。違憲の法律も可能になるもので、ワイマール憲法は完全に息の根が止まりました。
 チョビ髭の男から独裁者たる「総統」へ。その権力掌握がいかに早業だったかがわかります。林氏はこう書いています。「ドイツ国民は(中略)官僚の支配に馴(な)れており、みずからが国家を形づくるという意識と慣行に欠けていた」と。「敗戦(第一次大戦)によって突然、民主主義と政党政治という新しい実践を課せられたとき、彼らはそれをいかに駆使するかに迷った」とも。
 民主主義を重荷に感じると「上からの強力な支配に救いを求める人々が増えた」という指摘は今日にも通じるものがあります。
 この反省から第二次大戦後、当時の西ドイツは「戦う民主主義」の道を歩みます。憲法秩序に反する団体の禁止などを基本法に書き込んだのです。「自由の敵には自由を与えない」精神です。現在も同じです。
 日本国憲法は「戦う民主主義」の考えを採りませんが、近代憲法の第三段階である「平和的生存権」を採用しています。公布から七十三年たち自由と民主主義は根付いたかに思われます。でも、錯覚なのかもしれません。
 貧富の格差とともに貧困層が増大し、若者が夢を持てない。老後の生活も不安だ−そんな閉塞(へいそく)感の時代には、強力な指導者の待望論に結びつきかねない怖さが潜みます。政治家も付け込みます。
◆民衆の不満は「愛国」で
 敵をつくり、自らの民族の優位性を唱えます。危機感をあおり、愛国を呼び掛けます。民衆の不満を束ねるには古来、敵をつくる方が便利で簡単なのでしょう。
 現在、改憲テーマとして俎上(そじょう)にあるのは、戦争放棄の九条ばかりでなく、緊急事態条項の新設も含まれています。独裁者はチョビ髭の男とは限りません。ワイマールの悪夢を繰り返さぬ賢明さと冷静さが必要です。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019110302000138.html



住民怒り「ぞっとする」 飛行停止求める声 岩国米軍機 違反横行(2019/11/3東京新聞)
 「ぞっとする」「あるまじき行為」。米海兵隊岩国基地所属の戦闘機部隊で、手放し操縦など悪質な規則違反が横行していた実態が明らかになった。地元の山口県岩国市民は憤りをあらわにし、米軍機の飛行停止を求める声も。昨年十二月に米軍機の墜落事故があった高知県の自治体担当者も安全性への懸念を示した。
 岩国基地は在日米軍再編に伴い、米軍厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機約六十機の移駐が昨年完了。極東最大級の航空基地になった。基地の監視活動を続ける元岩国市議の田村順玄(じゅんげん)さん(74)は「危険極まりない行為だ。事故につながる恐れがあり、すぐに飛行を停止すべきだ」と憤る。
 機能強化に反対してきた市民団体の顧問久米慶典(けいすけ)さん(63)は「パイロットがここまで堕落していたのは衝撃で、ぞっとする。どう再教育するか、国や市は徹底的に確認すべきだ」と訴えた。
 会社経営の男性(52)は「米軍人との交流行事を通じて市民との良い関係が築かれつつあっただけに残念だ」と話した。
 高知県では昨年十二月、室戸市沖に米軍機が墜落した。市の防災担当者は「常識の範囲としてあり得ない。人に危害を加えうる、あるまじき行為だ」と批判。県危機管理・防災課の江渕誠課長は「安全確保の徹底に努めてほしい」と話した。
◆沖縄「他に複数あるのでは」
 米軍基地が集中する沖縄では二日、「許しがたい」「他にも表に出ていない規則違反が複数あるのでは」と憤りの声が上がり、日本政府に対応を求めた。
 「米軍は事故に慣れてしまっている」。沖縄平和市民連絡会の城間勝事務局長(74)は、緊張感を欠いた米兵の訓練の実態を知り、あきれたように語った。沖縄では米軍機の部品落下などのトラブルが多発しており、「米国に物を言えない日本政府のあり方が問われている」と述べた。
 沖縄平和運動センターの大城悟事務局長(56)も「怒り心頭だ。日本政府は遺憾と言うだけでなく、飛行を停止させるなど、行動で示すべきだ」と語気を強めた。
◆日本政府も驚きと憤り
 日本政府や与野党では二日、米海兵隊岩国基地所属の戦闘機部隊で規則違反が横行していた実態に、驚きと憤りが広がった。野党幹部は国会論戦で追及する意向を示した。防衛省幹部は「初めて聞いた。米軍は『部隊単位の話』とするかもしれないが、うやむやではいけない」と強調した。
 航空自衛隊の関係者は「睡眠導入剤の成分が出たという部分が、とりわけ恐ろしい」と指摘。自民党の中谷元・元防衛相は共同通信の取材に「規律やモラルの維持に対する米側の認識が極めて甘い。さらに詳細に軍に調査、報告を求めるべきだ」と語り、事故防止に最善を尽くすべきだとした。
 立憲民主党の福山哲郎幹事長は「由々しき問題だ。米軍に猛省を求める。日本政府には米国への毅然(きぜん)とした態度を求めたい。国会で追及したい」と取材に述べた。
 国民民主党の玉木雄一郎代表は神奈川県海老名市で記者団に「米軍には日米地位協定で特別な地位が認められているのに、こういった状況では国民の納得が得られない」と指摘。地位協定の見直しに早急に取り組む必要性があるとした。
 日米関係に詳しい政府関係者は「米軍はすぐに事実を認めない可能性がある」と予防線を張った。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019110302000128.html



【社説】相次ぐ閣僚辞任 政権のおごりが招いた(2019/11/1東京新聞)
 河井克行法相が、妻の選挙運動を巡る公選法違反疑惑などに関する週刊誌報道を受けて辞任した。菅原一秀前経済産業相に続く二週連続の閣僚辞任は、長期政権のおごりや緩み、歪(ひず)みの表れである。
 またも閣僚に関連した公職選挙法違反疑惑である。七月の参院選で初当選した河井案里参院議員の選挙運動で、運動員に日当として法定上限の一万五千円を超える三万円を支払っていたと、週刊文春が報道した。河井氏自身も、事務所が有権者にジャガイモなどの贈答品を配った疑惑があるという。事実なら、いずれも公選法違反に当たる可能性がある。
 それ自体は見過ごせない選挙違反であり、捜査当局が徹底的に捜査すべき事案だ。河井氏が菅義偉官房長官や安倍晋三首相と近しい関係だからといって、捜査の手を緩める忖度(そんたく)があってはならない。
 とはいえ、なぜ案里氏の議員辞職ではなく、河井氏の閣僚辞任なのか。夫婦とはいえ別人格だ。妻の選挙運動を、河井氏が実質的に取り仕切り、河井氏自身の責任が免れないということなのか。いずれにしても説明が足りない。
 案里氏が当選した参院広島選挙区(改選数二)には、自民党から現職だった溝手顕正元参院議員会長も立候補して落選した。二議席独占を名目に新人の案里氏を擁立した背景には、安倍首相に批判的だった溝手氏をけん制する狙いがあった、とも指摘される。
 政権に批判的な言動を抑え込もうとして無理な選挙運動を強いたのなら、背景にある政権中枢の強引さを指摘せざるを得ない。
 自民党が政権復帰した二〇一二年の第二次安倍内閣発足以降、辞任した閣僚は河井氏で十人目。今年九月に発足した第四次安倍再改造内閣では、公設秘書が地元の支援者の通夜で香典を渡すなど公選法違反の疑いで、菅原氏が二十五日に辞任したばかりである。
 河井氏も菅原氏も、国会で自らが出席する委員会の開催当日朝に辞任した。野党から追及の機会を奪うのが狙いではないのか。辞任で説明責任が免除されるわけではない。
 首相は法相辞任を受けて「任命したのは私だ。責任を痛感している」と陳謝したが、自身の任命責任については、相変わらず「国民の信頼を回復し、行政を前に進めることで責任を果たしたい」と述べるだけだ。
 責任があると言いながら、責任を具体的には取ろうとしない。そうした「無責任体質」にこそ、長期政権の驕慢(きょうまん)さが表れている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019110102000164.html



(声)「普通」はない、皆個性ある人間(2019/11/1朝日新聞) 会社員 中西史樹(神奈川県 50)
 「人と違っても大丈夫な社会に」(10月24日)で、息子が発達障害のグレーゾーンという母親の気持ちを読んだ。「日本人は『協調』を求めすぎるのでは」と訴える言葉にぐっと来た。
 日本には出る杭は打たれる、ということわざがあり、みんな同じ制服や髪形をし、前にならえの教育を受けてきた。人と違うことをすると異端児とみなされ、変わっていると受け止められてしまう。そして協調性がある人こそができる人、と思われてきた。
 海外生活の経験がある私は、深い違和感を覚える。暮らしたことがあるニュージーランドでは、幼児のころから、日本ではネガティブに捉えられる性格でも、それは個性とポジティブに理解される。そう教育されてゆく。協調性のある人が特に評価され、協調性がないとできない人間とされる日本はおかしいなと思ってきた。
 普通なんてありえないし、誰もが個性を持った人間だ。子どもにはぜひ自信を持って生きることを教えてほしいと願っている。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14239675.html?ref=pcviewpage



(声)閣僚辞任次々、きちんと説明を(2019/11/1朝日新聞) 無職 大窪正宏(神奈川県 74)
 公設秘書が地元有権者に香典を渡したなどと、公職選挙法が禁じる寄付行為をめぐる疑惑が報じられた菅原一秀氏が経済産業相を辞任した。さらに河井克行氏も7月の参院選で妻の陣営が、公選法の上限を超える報酬を運動員に支払った疑惑をめぐり法相を辞任した。両氏は国民に説明して明らかにする責任がある。
 就任わずか1カ月半あまりでの相次ぐ辞任劇だ。第2次安倍政権の発足以降、閣僚辞任は計10人に上る。「任命責任は私にある」と安倍晋三首相はいうが、疑惑をうやむやに終わらせず、説明責任を果たすよう指導するべきだ。初入閣を後押しした菅義偉官房長官にも責任がある。
 閣僚を辞任したからといって、決して幕引きにしてはならない。安倍政権では疑惑を追及されると役職を辞任して、ほとぼりが冷めると役職に就くケースが見られる。金銭授受疑惑で経済再生相を辞任した甘利明氏は、説明責任をいまだ果たさぬまま、9月から自民党税制調査会長の重責を担っている。
 政治とカネの問題を繰り返す安倍政権には、自浄作用がない。再発防止に本腰を入れないと、国民の信頼は失墜していくばかりだ。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14239671.html?ref=pcviewpage



(社説)閣僚連続辞任 長期政権の緩み極まる(2019/11/1朝日新聞)
 内閣改造から2カ月もたたないうちに、重要閣僚が相次いで辞任に追い込まれた。「安定と挑戦」を掲げた人事の失敗は明らかだ。安倍首相は、政権全体への信頼を揺るがす事態であると重く受け止めねばならない。
 先週の菅原一秀経済産業相に続き、今度は河井克行法相が辞表を提出した。きのう発売の週刊文春が、妻で自民党参院議員の案里(あんり)氏の陣営の選挙違反疑惑を報じたためだ。
 案里氏は7月の参院選広島選挙区で初当選した。文春によると、その際、選挙カーでマイクを握る運動員に対し、法定上限の倍にあたる3万円の日当を支払いながら、領収書を二つにわけて経理処理をするというごまかしをしていたという。
 事実なら、公職選挙法が禁じる運動員買収にあたり、候補者本人が承知していなくても、連座制の対象となる人物の有罪が確定すれば、当選が無効になる。議員の身分にかかわる、ゆるがせにできない疑惑である。
 ところが、案里氏は事務所の運営はスタッフに任せていたとして、「事実関係の把握に努めたうえで、説明責任を果たしたい」とのコメントを発表して終わり。夫の克行氏も記者団に「私も妻もあずかり知らない。法令にのっとった活動を行っていると信じている」などと短く語るだけだった。
 きのうは参院法務委員会で克行氏への質疑が予定されていた。報道直後のスピード辞任は、国会での追及を逃れるためではなかったか。同様に衆院経済産業委員会を前に辞任した菅原氏は、その後1週間たつが、いまだに公の場で疑問に答えていない。
 甚だしい説明責任の軽視は、首相自身にもいえる。閣僚辞任という重大な場面にもかかわらず、その説明は会見ではなく、記者団との「立ち話」。「責任を痛感」「国民に心からおわび」というが、2012年の政権復帰以降、疑惑や失言などによる閣僚の辞任は10人目である。これだけ繰り返されると、首相の反省がどこまで本気か疑わしいと言わざるを得ない。
 克行氏をめぐっては、秘書への暴行やパワハラ、セクハラの疑いが週刊誌で報じられ、閣僚としての資質を危ぶむ声があった。にもかかわらず、首相は法務・検察をつかさどる法相につけた。選挙区内での贈答疑惑を指摘されていた菅原氏の起用と併せ、長期政権のおごりと緩みが極まった感がある。
 首相が本当に任命責任を感じているというのなら、まずは野党が要求する予算委員会の集中審議に応じるべきだ。自ら説明の先頭に立つことなしに、信頼回復への歩みは始まらない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14239683.html?iref=comtop_shasetsu_02


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2019年11月02日

PICKUP NEWS

(社説)日本原電支援 東電はまず説明せよ(2019/10/31朝日新聞)
 東京電力が、日本原子力発電への資金支援を正式に決めた。日本原電が再稼働を目ざす東海第二原発(茨城県)の安全対策工事費を自前で用意できないため、将来買い取る電気の代金を前払いする形で、資金を拠出する。
 「低廉で安定的かつCO2の少ない電気を届けるための電源として期待できる」のが支援の理由だという。しかし記者会見では、2200億円超になるとみられる支援規模は具体的に示さなかった。「低廉」と言いながら、電気の買い取り価格なども明かさなかった。同業者や専門家なら類推しうるだろう概要ですら、「他社との競争で不利になる」と口を閉ざした。
 東電は福島第一原発の事故後、被害者への賠償や廃炉をすすめるため、実質国有化された。国民負担で生かされながら他社を助けようというのに、具体的な内容も、支援が妥当かどうか判断する根拠も説明しない。これでは国民の理解を得られるはずがない。
 今回の資金拠出は「支援ではなく協力」であり、日本原電と「ウィンウィン」だと位置づけた。しかしそもそも、東海第二の再稼働には反対の声が根強く、地元の同意を得られる見通しは立っていない。「見切り発車」での支援決定だ。
 東電は国とともにまとめた再建計画で、原発を使って収益をあげ、「福島への責任」を果たすとしている。自社の柏崎刈羽原発(新潟県)を早期に動かせそうにないことも「見切り発車」につながったのだろうが、首をかしげざるをえない。東海第二が稼働できなければ、収益どころか損失が膨らむだけだ。
 東日本大震災の後、原発専業の日本原電の2基は止まったままだ。それでも受電契約を結ぶ電力大手は、これまでに計1兆円の「基本料金」を払い、再稼働に向けた支援でも各社が加わる枠組みが判明している。
 日本原電には電力各社が出資しており、破綻(はたん)すれば損失が及ぶ。それを避けるためにも支え続けているのだろうが、その場しのぎには限界がある。
・・・ 国策で進めながら再稼働が難しい原発をどうするのか、原発専業で先行きの見えない日本原電のあり方をどう考えるのか。業界まかせにせず、政府も主体的に取り組み、説明責任を果たさねばならない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14238198.html?iref=comtop_shasetsu_02



筆洗「身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」(2019/10/31東京新聞)
 小咄(こばなし)に「耳かきの松竹梅」というのがある。耳かきを商売とする男に、客が尋ねる。「松というのはどんなんだい」「耳かきの先が金でできていますな」「竹は?」「象牙で」「梅は?」「クギの頭で…」▼「身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」。それは経済的に余裕のない受験生と親に向かって「クギの頭でおやんなさい」と言っているのと同じだろう。大学入学共通テストで使われる英語民間試験をめぐる萩生田光一文科相の発言である▼試験は一回二万円を超えるものもあるというから結構な額である。三年時に二回受験して、大学受験の合否判定に使われるが、事前の腕試しもできる。経済的に恵まれた受験生は練習受験ができるなど、家計の事情で有利不利が生まれやすい制度である▼で、どう解決するのかと思えば「身の丈で」。金がなければ、本番の二回だけで頑張れでは経済格差もしかたないと認めてしまっている。話は最も公平であるべき教育、受験である▼試験は都市部に集中し、離れた場所に住む受験生は交通、宿泊費など負担はかさむ。田舎の母子家庭で育った身としては聞いているだけでくやしくなる▼試験は英語の「聞く・話す・読む・書く」を測るそうだが、この大臣は日本語で受験すべきだろう。恵まれぬ者の声を聞き、思いやりある言葉を話し書き、人の心を読む技能。測るまでもなかろう。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019103102000136.html



トリエンナーレ補助金不交付 文化庁の歴史 踏みにじる行為(2019/10/31東京新聞)
◆元文化庁文化部長・寺脇氏に聞く
 愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」への補助金不交付を決めた文化庁への批判が広がり続けている。文化庁文化部長を務めた文部科学省OBの寺脇研京都造形芸術大客員教授が本紙のインタビューに応じ、「これまでの文化庁の努力を自ら踏みにじる行為だ」と述べた。 
 −宮田亮平文化庁長官は十五日の参院予算委員会で「私は(不交付を)決裁していない」と述べた。
 文化庁職員も今回の件で補助金を取りやめれば、どれほど大きな反響を呼ぶか当然分かっているはず。長官に隠れてやるのは考えられない。だから、宮田長官も「知らなかった」とは言わなかったのだろう。
 元東京芸術大学長で金工作家の宮田長官は不交付にいつでもストップをかけられるのに、ほっかむりをした。長官に民間の芸術家を登用するのは政治に唯々諾々と従うのではなく、文化や芸術の表現の自由を守るため。自分の最大の存在価値を放棄し、政治にひれ伏している。
 −二〇〇二年八月から三年七カ月、文化庁文化部長を務めた。
 その年の一月に文化庁長官になったのが心理学者の故・河合隼雄さん。「しょせん国が作った組織で、政府のプロパガンダに芸術を使おうとしてる」と文化庁に対して批判的だったリベラル派の文化人らと河合さんは次々に会い、理解や協力を呼び掛けていった。日本ペンクラブ会長だった故井上ひさしさんなども「河合さんが言うならば」と、理解を示すようになった。
 翌〇三年度に文化庁予算は初めて一千億円を突破。地域文化の振興も図られた。今回の補助金不交付は、こうした文化庁が長年積み上げてきた歴史や歩みを踏みにじる行為だ。
 −文化庁は〇八年、靖国神社を題材にしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」に所管法人が助成金を出したことを自民党議員に問題視され、事前試写会を開くよう配給協力・宣伝会社に求めたことが批判された。
 確かに批判は免れないが、このときは最後まで助成金不交付の要求には応じなかった。企画展が脅迫で展示中止に追い込まれたことが問題の本質なのに、あいちトリエンナーレ全体への補助金取りやめは脅迫自体を肯定することになりかねない。文化や芸術を振興させるべき文化庁が、こんなことで補助金をやめるなんてあってはならない。
 韓国の釜山国際映画祭では一四年、朴槿恵(パククネ)政権下で起きた客船の沈没事故を描く映画『ダイビング・ベル セウォル号の真実』の上映に、与党セヌリ党系の釜山市長が「政権批判だ」と抗議し、翌年から映画祭への補助金が大幅削減された。いま安倍政権は朴政権と同じようなことをしているのではないか。政治の暴走をいさめるべき官僚が忖度(そんたく)で発言できず、文化や芸術がゆがめられる状況が生まれている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019103102000125.html



私たちの心配 国は聞いて 英語民間試験に高校生反発 (2019/10/31東京新聞)
 文部科学省が二〇二〇年度から大学入学共通テストに英語民間検定試験を導入しようとしていることへ、批判が止まらない。制度への疑問や困難な状況を抱えた高校生たちがインターネット上などで中止や延期を訴えてきた。萩生田光一文部科学相は三十日の国会答弁で、延期に含みを持たせつつも、予定通り実施すると繰り返した。受験を控えた高校生らは、落胆と反発を強めている。 
 「私たちを実験台にしてほしくない」
 東京都内の通信制高校に通う二年の女子生徒(16)は、今月初旬に野党が国会内で開いた文科省ヒアリングに参加し、訴えた。
 中学一年の夏、化学物質過敏症を発症。洗濯物の柔軟剤や印刷のインクなどのにおいで意識がもうろうとなり、倒れてしまう。学校にほとんどいられなくなり、高一の夏、自宅で学べる通信制高校へ転校した。
 やりたいこと、学びたいことはたくさんある。体調を整え「普通の人と同じように大学へ通いたい」と希望を持ち勉強を頑張ってきた。
 ところが、大学入試制度の変更で民間の英語検定試験の受験が必要に。「もし試験会場が誰かの香水や問題用紙のインクのにおいで充満していたら…」
 文科省は、民間検定試験での障害や病気の人への配慮の具体的な中身は、各試験団体に任せている。「どこまで対応できるのか」と不安は尽きない。
 香川県の公立高校三年の女子生徒(18)は、萩生田文科相の「身の丈」発言に憤る。
 地方に暮らし、もともと都市部より不利だと感じてきた。「予備校が少ない。あっても、離島や山間部の子はフェリーや電車の最終が早くて通えない」。その格差が、国の施策で民間検定試験が導入され「拡大する」と強く懸念する。
 試験会場は圧倒的に都市部が多く、四国について現段階で触れていない団体もある。だが、文科省は、離島の受験生以外、会場までの交通費の補助は設定していない。
 三年生なので来年冬の入試は従来型だが、浪人すれば新しい入試に臨まねばならない。「『絶対浪人できない』と、安全圏へ進路変更しようか迷っている友達もいる」
 萩生田文科相は今月四日の記者会見で「(民間検定試験を)受ける必要のない人は受けないで結構です」とも発言した。女子生徒は「受験方法で受ける大学を決めるのですか? やりたい勉強ができ、教わりたい教授がいる大学を志望しているのに」と問い掛ける。
 立ち止まる様子を見せない文科省を見て、学んだことがある。「国って、信用しきってはいけないんだなと分かりました。ちゃんと見ていかないといけない」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019103102000120.html



【社説】緒方貞子さん 現場主義を全うした(2019/10/30東京新聞)
 国連難民高等弁務官として東奔西走し、戦火におびえる難民らに手を差し伸べてきた。自国第一主義が幅を利かす今こそ、「現場主義」を活動の基本とする緒方貞子さんの志に学びたい。
 緒方さんが亡くなった。九十二歳だった。
 「難民保護は抽象的な概念ではない。食料や毛布を与え、家を補修するなど、現場で最も効果的な具体策で対応することが重要」。ジュネーブの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)本部で一九九七年、緒方さんは本紙の取材に、こう強調していた。
 内戦が激しかったアフリカ中央部のコンゴ(旧ザイール)、ボスニア・ヘルツェゴビナなど、訪れた現場は四十カ国以上に上る。
 重要なのは、どの紛争当事者にも肩入れすることなく交渉し、各勢力の信頼を得ることだという。難民の移送や保護をスムーズに進めることができるよう、協力してもらうためだ。現場主義ならではの工夫が光る。
 国連難民高等弁務官を約十年間務めた後、独立行政法人・国際協力機構(JICA)理事長に就任。国家間だけでは解決できない飢餓、難民の発生、感染症などの脅威から人々を守る「人間の安全保障」の理念を掲げた。
 海外の態勢を手厚くし権限を拡大、青年海外協力隊を重視するなど、ここでも現場主義を貫いた。
 難民の苦難は今も絶えることはない。内戦が続くシリアでは、五百万人以上もの難民と六百万人以上もの国内避難民が家を失った。ミャンマーでは、迫害された少数民族ロヒンギャ七十万人以上が難民となった。
 しかし、トランプ米大統領は米国第一主義を唱え、難民への寛容政策を唱えたメルケル独首相は非難の砲火を浴び、欧州連合(EU)各国も難民受け入れに及び腰だ。日本の若者の海外への関心も低くなっているという。
 「自分さえよければ」では、いずれ行き詰まるだろう。緒方さんのように世界の現場に足を運び、支援のための知恵を絞りたい。
 国際社会で活躍する女性のさきがけでもある。自らも女性運動家の故市川房枝さんの勧めで国連の仕事を始めた。
 大学や国連での仕事を経て、難民支援の道に入ったのは六十歳を過ぎてからだった。夫や子どもと離れての単身赴任も長かったが、家族の絆には気を配ってきたという。先駆者の勇気と行動力にも学びたい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019103002000177.html



「苦境の人々の命つないだ」「150センチの巨人」 緒方貞子さん死去(2019/10/30東京新聞)
 日本人初の国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんの死去を受け、国連機関や関係者から二十九日、功績を称賛する声が相次いだ。
 「仕事上の恩師」と仰ぐ国連軍縮担当上級代表の中満泉(なかみついずみ)事務次長は「お年を召されたとは感じていたが、元気だったので、亡くなるとは想像もしていなかった」と戸惑いがち。緒方さんが上智大教授だった際の教え子の星野俊也国連次席大使(元大阪大副学長)は「苦境にある人々の命をつなぎ、その一人一人の人格を尊び、共にあろうととことん尽力した」としのんだ。
 アフガニスタンのカルザイ前大統領は、旧タリバン政権崩壊後の同国復興に携わった緒方さんを「日本人の気高さや善良さ、寛大さを代表する素晴らしい人物だった。アフガン人は彼女の愛情を覚えている」と述べて功績をたたえた。
 フィリピン南部ミンダナオ島のイスラム最大勢力、モロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド・エブラヒム議長も緒方さんへの謝意を示す声明を出した。同島では政府軍とイスラム武装勢力による紛争が長年続いたが、MILFは政府と二〇一四年に包括和平に合意した。声明によると、緒方さんは一一年、エブラヒム氏を日本に招き、当時のアキノ大統領との極秘会談につなげ、これが和平につながった。
 イラク国内のクルド避難民支援でも大きな役割を果たした緒方さんに対して、同国北部アルビルの国連組織で働く男性は「彼女は国際協力機構(JICA)のプロジェクトでイラクの農業の支援もしてくれた。悲しい知らせだ」と話した。
 緒方さんの死去を海外メディアも速報。英BBC放送は素晴らしい交渉力や反対派に立ち向かう能力をたたえて国連の同僚らから「五フィート(約百五十センチ)の巨人」と呼ばれていたと紹介した。ロイター通信も、緒方さんが「ヘルメットと防弾チョッキを身に着け現場に向かう高等弁務官として知られていた」と強調した。 
◆UNHCR 偉大な人道主義者
 UNHCRのグランディ難民高等弁務官は「非常に深い悲しみとともに、逝去を悼む。著名な学者であり、偉大な国際人、人道主義者のリーダーだった。悲しみと追憶は絶えないが、われわれにとって発想の源泉であり続ける」とのコメントを発表した。 (パリ・竹田佳彦)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201910/CK2019103002000167.html



<金口木舌>芸術の父(2019/10/30琉球新報)
 芸術分野における「パトロン」の語意を辞書風に説明すれば「芸術家、芸術上の主義・活動に経済的、精神的な保護を与える人や機関」となる。語源をたどればラテン語の「父」に行き着く
▼古代エジプトやギリシャの時代、中世、近代に至るまで、君主や教会の庇護(ひご)の下で芸術家の創作活動が花開いた。ルネサンス期の芸術家を支えた貴族や聖職者も歴史に名を残した・・・
▼文化庁は芸術活動を守り育てるべき父親の役割を果たしているだろうか。国際芸術祭「愛知トリエンナーレ」への補助金全額不交付という決定に批判が上がっている。日本の文化行政の質が厳しく問われる事態となった
▼問題となった企画展「表現の不自由展・その後」は刺激的な内容を含んでいたが、それも含めて創作活動だと考えたい。一度決まった補助金が簡単に打ち切られれば創作活動は萎縮する。事実上の検閲である
▼出演者の1人が刑事罰に問われ有罪判決が出たことを理由に、文部科学省の所管団体が助成金の交付内定を取り消した件も同じだ。言論や表現の自由を軽視する横暴な父親の振る舞いは見過ごせぬ。息が苦しくなるばかりだ。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1016787.html



核「子ども 老人 女性 無差別に殺す」 サーローさん 都内で講演(2019/10/28東京新聞)
 二〇一七年のノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めて演説したカナダ在住のサーロー節子さん(87)が、東京都内で講演し、核兵器は「子どもも老人も女性も、武装していない人たちも無差別に殺す」として、改めて廃絶を訴えた。
 講演会は絵本の専門店「クレヨンハウス」(東京)が主催。サーローさんは十三歳の時に広島市で被爆した体験を証言した。建物の下敷きとなり「光へ向かって、はって出ろ」という声に突き動かされて脱出したが、親族九人が犠牲になった。「姉と四歳のおいは焼けただれた肉という形で命を失った。あんなことが二度と人間に起きてはいけない」と力を込めた。
 「核兵器がどういうことを人間にもたらすか、自分の目で見た。なかったことにはできない」と強調。一七年にノーベル平和賞を受賞した非政府組織「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が国連での採択に尽力した核兵器禁止条約に、米国の「核の傘」に依存する日本政府は参加しておらず、サーローさんは「裏切られた、見捨てられたという思いでいっぱいだ」と批判した。サーローさんは二十二日、天皇陛下が即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」にも参列した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201910/CK2019102802000151.html



(声)「貧困」、それは心の余裕失うこと(2019/10/28朝日新聞) 主婦 上野美紀子(千葉県 42)
 自ら主婦を選んだ立場からオピニオン面記事に対して投稿した「『貧困専業主婦』記事に悔しさ」(17日)に、感銘を受けました。私は今春、21年間働いた保育士をやめました。
 残業や家に持ち帰る仕事もしばしば。仕事をしていない時も仕事のことを考えている時間が長く、「我が子との時間」が十分とれません。心が潰されそうになり、退職しました。
 専業主婦となり、収入は減りました。でも、我が子とゆっくり向き合えるようになりました。体調を崩した子どもの傍らにいられる。そんなことに幸せを感じています。
 勤め人の頃は、子どもが熱を出してもまず「仕事を休めるかな」と思ってしまいました。すんなり「大丈夫? つらいね」と気遣えません。これって異常じゃないかと思います。
 共働きで高収入でも、子と十分向き合う心の余裕がなければ、それは一種の「貧しい」子育てでは?
 収入面が注目されすぎる今日このごろ。その多寡は大人の自己満足にも思えます。子の心の成長を感じ、悩みや望み、そして「聞いて欲しい」という欲求に向き合う。それがどれくらい実行できているか、から考える社会であるべきです。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14233570.html?ref=pcviewpage



沖縄の核 検証必要 ゴルバチョフ元ソ連大統領インタビュー(2019/10/28琉球新報)
 東西冷戦終結の立役者で、ノーベル平和賞を受賞した元ソ連大統領のミハイル・ゴルバチョフ氏(88)はこのほど、ロシアのモスクワで琉球新報の単独インタビューに応じた。沖縄が日本に復帰した1972年以降、89年に終結する冷戦時代から現在に至るまで、米国の核兵器が沖縄に存在するとの情報を把握しているかとの質問に対し、明言を避けつつも、レーガン元米大統領の「信用せよ、されど検証せよ」という言葉を引用し、検証の必要性を提言した。復帰後の非核化に疑念を示唆した形だ。
 沖縄の核兵器は復帰時に米国が撤去したとされるが、米国は、沖縄返還交渉の過程で非核三原則を保証する書簡を出す条件として「核の確認や沖縄の貯蔵施設への査察をしないこと」を提示し、日本政府はこれを受諾している。沖縄の非核化は客観的に検証されていない。
 また、ゴルバチョフ氏は87年にレーガン氏と調印した中距離核戦力(INF)廃棄条約が8月2日に破棄されたことで、米国が沖縄など日本に中距離ミサイルを配備する可能性にも触れ「沖縄県民の皆さんと同じ気持ち」と述べ、強い懸念を示した。配備に対抗する意味でも核の持ち込みを検証できる態勢づくりを提起したとみられる。「(沖縄の)皆さんの平和のための闘い、軍事基地への対抗は尊敬すべきものだ」とも述べた。
 同条約破棄後、ゴルバチョフ氏が日本のメディアのインタビューに答えたのは初めて。
 ゴルバチョフ氏は条約破棄により「危険で破壊的な傾向が顕在化している」と危機感を示した。米国が条約から離脱した背景には「兵器分野におけるいかなる制限から脱してでも、絶対的な軍事的優位性を得ようとする狙いがある」と指摘した。トランプ大統領の核軍備拡張方針について「自分の意思を世界に押し付けている。しかし、これは幻想的で実現不可能な願望だ。現代世界では一国の覇権は不可能だ」と批判した。
 条約破棄は、世界の戦略的バランスの不安定化、新しい軍備拡大競争、世界政治の、より大きな混乱と予測不可能な状況を生み出すとし「各国の安全性が損なわれるだろう。このような自然発生的に生まれた全ての連鎖は、制御不能な過程をたどるだろう」と予測した。
 その上で「安全保障問題の解決の鍵は兵器ではなく、政治にある」と強調。「今は極めて重要な時期だ。過剰な感情とプロパガンダ(政治宣伝)を消し去る必要がある」と述べ、主要各国の指導者に対し「今日の現状に異を唱えよう」と訴えた。一般市民にも、より安定した世界秩序の実現に向けて力を合わせ行動することを呼び掛けた。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1015602.html


posted by オダック at 09:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする