2019年10月27日

PICKUP NEWS

イラクでデモ再燃、63人死亡 治安部隊が実弾使い応酬(2019/10/27朝日新聞)
 イラクの首都バグダッドや同国南部で150人以上の死者を出した反政府デモが再燃し、25日から63人が死亡、2500人以上が負傷した。地元メディアなどが伝えた。治安部隊は実弾を使って応酬しており、さらなる混乱が懸念される。
 デモはイスラム教シーア派の宗教行事などのため一度は沈静化していたが、25日から再燃。南部では政党や政府の建物に火が放たれるなど、市民の政治への不満が爆発している。
・・・ デモが始まったのは今月1日。政府の汚職や不十分な公共サービス、失業問題に怒った市民がSNSで呼びかけた。一部が暴徒化し、治安部隊は催涙ガスや放水に加え、実弾を使って応酬。1週間ほどの間に死者数は治安部隊を含め157人にのぼった。
・・・ 一時は国土の3分の1を支配した過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討完了を2017年12月に宣言したイラクだが、復興は思うように進んでいない。石油資源が豊富で、石油輸出国機構(OPEC)第2位の生産国でありながら、国民への富の分配は不十分だ。根強く残る政府の汚職に対する不満があり、若者の失業率も高いことから、昨夏もバスラなどで大規模なデモが起きている。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBW2JMDMBWUHBI008.html?iref=comtop_list_int_n01



韓国映画「福岡」上映できず 日韓関係悪化、集客に影響(2019/10/27朝日新聞)
 韓国で活動するチャン・リュル監督が福岡ロケで撮影し、ベルリン国際映画祭やアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された映画「福岡」が、日韓関係悪化の影響を受け、両国で劇場公開の見通しが立たないままになっている。日韓の長年の文化交流が実を結んだ作品で、関係者が上映の機会を探っている。
 「映画を撮ったのは、福岡の街になじみ、もっと知りたいと思ったからです」
 9月15日、福岡国際映画祭での「福岡」上映後のシンポジウムで、チャン監督は聴衆にそう語った。
・・・ 長年の交流から、福岡での新作撮影の構想が固まると、映画祭スタッフだった西谷郁さんが日本側のプロデューサーに就任。福岡フィルムコミッションなどの協力もあり、18年春の福岡市でのロケが実現した。
 今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに選ばれた「パラサイト」(ポン・ジュノ監督)の主要キャストだったパク・ソダムさんら、韓国の有名俳優が出演。韓国で古書店を営む男性が福岡を訪れ、かつて1人の女性をめぐり争った旧友と再会するという物語が完成した。
・・・ 「福岡」は今年2月、ベルリン国際映画祭で世界初上映。チケット完売で追加上映もされ、好評だった。
 だが、日韓関係の悪化により、韓国で9月に予定されていた劇場公開は集客が見込めず延期。韓国側のプロデューサー、オ・セヒョンさんは「来年春には公開したいが、見通しが立たない」と話す。
 日本でも、上映館が決まらない状態が続く。福岡国際映画祭と同時開催の商談会などで売り込んだが、興味を示す配給会社はあっても契約には至らなかった。元々娯楽作ではない韓国映画であり、上映規模が広がるかどうか不透明なため、まず韓国で劇場公開されて話題になるかどうか様子を見ているようだ。
 福岡への思い入れの背景には、同郷の詩人、尹東柱(ユンドンジュ)の存在がある。日本が朝鮮半島を植民地支配した時代にハングルで詩を書き、同志社大在学中に治安維持法違反の疑いで逮捕。1945年2月、福岡刑務所で獄死した。今では韓国の国民的詩人とも言われる。
 チャン監督は劇中で、尹の代表作「自画像」を引用した。「尹は政治的な詩は書かなかった。美しい心をうたった一人の詩人が、ただ時代状況のために死なねばならなかったのです」
 表現の自由が保障されず、時に罪に問われたのは当時の日本人も同じ。「尹が生きた暗い時代を乗り越えて、私たちの今があります。そこに希望を見たい」
・・・ スクリーンを見つめる観客は、ひととき登場人物の身になって、その喜怒哀楽に共感する。共感によって、自分とは立場の異なる人びとの存在を実感させてくれるのが映画でもある。
 「自分だけが世界の中心ではないと認められたら、相手の立場を思いやり通じ合える。映画がそのきっかけになると信じています」
https://digital.asahi.com/articles/ASMBB5WF0MBBTIPE027.html?iref=comtop_list_int_n02



(声)自衛隊、世界中の人の心に明記(2019/10/27朝日新聞) 主婦 平屋敷恒子(三重県 80)
 今年のノーベル化学賞に名古屋の大学の先生が選ばれ、とてもうれしい。平和賞の候補に、真剣な表情で環境問題を訴えた少女が選ばれたこともうれしいニュースだ。
 しかし、次回のノーベル平和賞はぜひ日本の自衛隊にもらって頂きたい。発足して半世紀以上たつが、自衛隊は一度も戦争をしていない。被災した現場で、住民のため、自らを顧みず救助活動しておられる隊員の姿が報道されるたびに、テレビの前で私はお辞儀をしている。
 憲法に明記されなくても、日本の自衛隊は、世界中の人々の心の中に明記されているだろう。
 これからも永遠に戦争をしない自衛隊でいてほしい。それを世界中の軍隊が見習えば、世界平和が実現するわけである。「そんな夢のような話」などとは言わせない。日本は75年近く平和が続いている。
 夕焼け空の下散歩していて、中部空港へ向かう旅客機を見ると、ついB29を思い出してしまって落ち着かない。あぜ道の草を見ると、食べられる草と食べられない草を無意識に目で選別している。
 こんな思いを、孫たちには決してさせたくないのである。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14233524.html?ref=pcviewpage



(社説)ハンセン病問題 取り組みは道半ばだ(2019/10/27朝日新聞)
 ハンセン病の元患者に対する隔離政策で、家族も差別や偏見にさらされてきた。そう指摘して国の責任を認めた6月の熊本地裁判決を受け、元患者の家族に補償金を支給するための法案の骨子がまとまった。
 親子と配偶者は1人あたり180万円で、きょうだいのほか元患者と同居していたおいやめい、孫らが130万円。裁判で請求を退けられた人や裁判に加わらなかった人にも支払う。金額、対象とも判決が命じた賠償より拡充した。超党派の議員立法でいまの臨時国会に法案を出し、成立を目指す。
・・・ 1996年まで約90年間も続けた隔離政策について、国が01年に元患者への謝罪と補償に踏み切ってから18年。ようやく家族にも償うことになったが、差別と偏見をなくす取り組みはなお道半ばである。
・・・ これまでシンポジウムを開いたり学校で冊子を配布したりしてきたが、元患者と家族らは不十分だとしている。どんな試みが有効か、国会での法案審議に合わせて議論するべきだ。
 今月初めには、裁判の原告側と元患者、厚生労働、文部科学、法務の各省で作る協議の場が立ち上がった。様々な世代、分野の有識者の意見も聞きながら話し合いを重ねてほしい。元患者を隔離してきた各地の療養所は、資料館を整えながら地域との交流を進め、施設の保存・活用策を模索している所もある。人権について考える場としていくための具体策なども検討課題になるだろう。
 熊本地裁判決は、家族が直面してきた就学や就労の拒否、村八分、結婚差別などを「人生被害」と指摘した。原告団長の林力さん(95)は元患者の多くが既に亡くなっていることに触れつつ、「(補償金の)180万円であがないましたと合点するものは誰もいない」と述べた。
 かつて病気の父親と向き合えず、その存在を伏せてきた。偏見に苦しみ抜いた林さんの言葉をかみしめたい。元患者と家族の心の傷を癒やし、その関係を取り戻せるよう、社会全体での取り組みを止めてはならない。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14233528.html?iref=comtop_shasetsu_01



夕張山中に大量の「枯れ葉剤」 国有林に埋まる猛毒の謎(2019/10/27朝日新聞)
 猛毒の化合物ダイオキシンを含む除草剤(枯れ葉剤)が全国の国有林に埋まっているのをご存じだろうか。1970年代、政府の手によって埋設された。何のために製造され、埋められたのか。ベトナム戦争との関係を指摘する声もある。
雑草が生い茂る山中のくぼ地に……
 北海道夕張市南部の山中に、大量の除草剤が埋設されている――。
 こんな情報を北九州市立大国際環境工学部の職員、原田和明さん(60)から受け取った。記者は9月27日午後、原田さんの調査に同行し、国有林に入った。林野庁北海道森林管理局の許可を得て、ふだんは立ち入り禁止の未舗装道路を車で進んでいった。
 10分もたたないうちに雑草が生い茂ったくぼ地に出た。もともとは石炭の露天掘りをしていた場所で、鉄杭が刺さっているのが見えた。杭は有刺鉄線で囲まれ、立ち入り禁止の看板が2本。空知森林管理署の名で「この区域に2・4・5・T剤が埋めてありますので立入を禁止します」とある。
・・・ 245T剤とは、除草剤の一種だ。国は1960年代後半、木材として使う針葉樹の成長を阻む下草を枯らすため、全国の国有林に245T剤を散布した。
 だがその後、この除草剤には猛毒のダイオキシンが含まれていることがわかった。海外で人体への有害性が報告されると、国は71年に使用を中止した。
「ずっとこのまま保管する」
 大量の有毒な除草剤を、当時考えられる最も安全な管理方法として国有林に埋めた――。これが政府の公式な説明だ。当時は無害化する技術がなく、林野庁長官は71年11月、大量の土と混ぜたうえセメントで固めて地中に埋めるよう、全国の営林署に通達を出した。
・・・ 北海道には夕張を含め、6市町村の国有林に245T剤が埋められている。全国の森林の約2割にあたる554万ヘクタールの森林が広がる北海道。そのうち304万ヘクタールが国有林だ。豊かな自然を象徴する国有林に、有害物質が今も埋まっていることの違和感を覚えながら、現場を後にした。
ベトナム戦争用だった?
 日本政府が大量の245T剤を保有していた理由については、別の見方もある。
・・・ ベトナム戦争が泥沼化していた69年7月、衆院外務委員会で、枯れ葉剤の原料である245T剤が取り上げられた。米軍が枯れ葉剤を熱帯雨林に散布している事実をふまえ、「国会の爆弾男」と呼ばれた楢崎弥之助氏(当時社会党、故人)が「日本の農薬工場で大量の245T剤を製造しているのではないか」と追及した。政府側は答弁をはぐらかし、認めなかった。・・・
全国46カ所にいまも保管
 林野庁は朝日新聞の取材に「245T剤とベトナム戦争の関連は承知していない」と答えた。
 245T剤の国有林埋設問題は、昨年12月の衆院農林水産委員会でも取り上げられた。田村貴昭氏(共産党)の質問に対し、林野庁の牧元幸司長官(当時)は、現在も北海道から九州まで全国46カ所の国有林などに、乳剤1445・5リットル、粒剤2万4686キログラムが埋設されていると答えた。
 いまは、245T剤を処理する際にダイオキシンを発生させることなく無害化する技術がある。・・・
・・・ 夕張市内に住む男性(67)は「こんなものが夕張の山中に今も埋まっているとは。大雨や地震などをきっかけに、地滑りなどが起きたりして、漏れ出さないか不安だ」と話す。
 原田さんは言う。
 「年に2回の目視で安全に保管されているという国の説明は説得力を欠く。地震や水害による土砂崩れもどこで起きるかわからない。国は問題を先送りせず、早急に予算をつけて処理する責任がある」
 〈枯れ葉剤〉 米国の化学薬品会社が開発した、猛毒のダイオキシンを含む除草剤。その一種で、24D(ジクロロフェノキシ酢酸)と245T(トリクロロフェノキシ酢酸)との混合物は「エージェント・オレンジ」と呼ばれ、親米の南ベトナム独裁政権打倒をめざし共産主義の北ベトナムがゲリラ戦を支援し米軍などと戦ったベトナム戦争後期(1960〜75年)、密林にひそむ敵の掃討を目的に、化学兵器として使用された。
 ベトナム政府によると61〜71年に米軍が300万ヘクタールの土地に7千数百万リットルを散布。現地にいたベトナム人や米兵ががんなどの病気になり、子や孫に先天性障害児が生まれた。ダイオキシンが遺伝子に作用したとみられる。ベトナム人の両親のもと、下半身がつながった結合双生児として産まれた兄グエン・ベトちゃんと弟グエン・ドクちゃんの兄弟の姿が紹介されると、日本でもその危険性が広く認識されるようになった。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBR6THKMBRIIPE01Z.html?iref=comtop_8_01



<金口木舌>冷蔵庫から食品ロス削減を(2019/10/27琉球新報)
 特売で買ったキャベツが傷んでしまった。節約を意識して1個を格安で購入したが、使い切れず、結局は無駄な出費になった
▼まだ食べられるのに廃棄される日本の食品ロスは、2016年度の推計で年間約643万トン。そのうち約45%は家庭での食べ残しや廃棄という。国民1人当たりでは、1日茶わん1杯ほどのご飯の量に相当する
▼食べ物が無駄に捨てられる「食品ロス」を減らすための食品ロス削減推進法が1日から施行された。今月は食品ロス削減月間、30日は食品ロス削減の日だ
▼全国でもいち早く食品ロス削減事業に取り組む長野県松本市は「残さず食べよう!30・10(さんまるいちまる)運動」を実施している。宴会や会合で乾杯後の30分間とお開き前の10分間は料理を楽しむよう飲食店などで周知・啓発を図る
▼松本市では、家庭での食べ残しを減らそうと毎月30日が「冷蔵庫クリーンアップデー」だ。賞味期限や消費期限の近い物、野菜や肉など傷みやすい食材を使い切ることを呼び掛ける。毎月10日は、食べられるのに捨てていた野菜の茎や皮などを活用して子どもと料理をする「もったいないクッキングデー」という
▼月に1度、冷蔵庫を空にするのもいい。買い物の前に冷蔵庫をチェックし必要な物だけを購入するように心掛ければ食品ロスは減る。家計と地球環境に優しい冷蔵庫が理想だ。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1015084.html



<社説>経産相辞任 逃げずに説明責任果たせ(2019/10/27琉球新報)
 また「政治とカネ」の問題が噴出した。

 選挙区の有権者に秘書が香典を渡していた問題で、菅原一秀経済産業相が辞任した。就任わずか1カ月半での事実上の更迭だ。菅原氏は過去に地元の有権者にメロンやカニを贈ったとする公職選挙法違反の疑惑で国会で追及されていた。
 安倍政権での「政治とカネ」による辞任は第2次政権以降、5人目だ。安倍晋三首相は「任命責任は私にあり、国民に深くおわびする」と述べたが、こうも繰り返されては、口先だけにしか聞こえない。
・・・ 安倍政権下ではこれまでにも、選挙区の有権者を観劇会に招くなどした小渕優子経産相、うちわを配った松島みどり法相、補助金支給が決まった企業からの献金問題で西川公也農相、建設会社からの金銭授受で甘利明経済再生担当相がいずれも辞任に追い込まれた。
 これほど繰り返されながら、政治とカネの問題がやまないのはなぜか。
・・・ 菅原氏の場合、元秘書が証言したメロンやカニの贈呈は3年の公訴時効を過ぎている可能性がある。公選法は金品提供の例外として、議員本人が出席して私費で香典を出すことは認めているが、秘書が出すのは寄付行為に当たる。菅原氏は自身が通夜に出席する予定だったが公務の都合で秘書が行ったと説明する。
・・・ 安倍政権では、疑惑を追及されると役職を辞めて検証を免れ、その後復権するケースも繰り返される。甘利氏は説明責任を果たさないまま、先月から自民党税制調査会長の重責を担う。だから政治とカネの問題が繰り返されるのだ。安倍政権には自浄作用がない。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1015083.html



鳩山氏、辺野古は阻止 新党へ準備会(2019/10/27琉球新報)
 【東京】25日に東京で開かれた新党「共和党」の第1回結党準備会に参加した鳩山由紀夫元首相は、沖縄の辺野古新基地建設について「米軍基地を縮小・撤退させていく方向は独立国である以上当然、求められる。(他国の軍隊の存在は)異常な事態というべきだ」と持論を述べ、阻止する意向を強調した。
 日米地位協定の改定も念頭に「地位協定や日米合同委員会は今すぐできることではない。国民の意識を変えていくために、日米でどういう密約があったかということも国民にもっと知らせていくことから始めないと無理だと考えている」と話した。
 「共和党」結成に向けては2030年度までに、30人の党員確保を目指す。衆院解散総選挙に向けて新党結成に向けた取り組みを進める考え。・・・
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1015194.html



辺野古阻止 北海道でも 小樽の市民団体 県民投票結果に触発(2019/10/26琉球新報)
 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設阻止を目指す北海道小樽市の市民グループ「ゼロ番地で沖縄について考える会」呼び掛け人の平山秀朋さん(51)=同市=が22日に来県し、25日までの間、辺野古などに足を運んだ。遠く離れた北海道で活動する理由について「沖縄の状況が良くなったと実感できれば自分の地元の問題解決にもつながる」と思いを語った。今後は道庁所在地の札幌市での同様の活動に協力するという。
 平山さんが会を立ち上げたのは3月末。県民投票で投票者数の7割以上が辺野古埋め立てに反対の意思を示したニュースに接して触発された。
 「辺野古が唯一の解決策」という日米両政府の主張を瓦解(がかい)させるため、普天間飛行場の県外・国外移転を国民的議論に発展させようと活動する「新しい提案」実行委員会に共鳴し、小樽市議会に普天間飛行場の運用停止などを政府に求める意見書の採択を働き掛けた。
 結局、意見書は否決されたが、改めて意見書採択を求める声が上がっているという。さらに札幌市でも同様の動きがあり、平山さんも協力する考えだ。
 平山さんは22〜25日の間、辺野古や東村高江を訪問し「やんばるの森、辺野古の海を実際に見た。自然を冒とくしては駄目だ」と思いを新たにし、全国どこでも民主主義が徹底されることを願った。意見交換した「新しい提案」実行委員会の安里長従代表は「本質を突いている」と平山さんの自由や民主主義についての考え方に共鳴を示した。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1014968.html



(声)ベビーカーが乗れないなんて(2019/10/26朝日新聞) 主婦 松坂麗子(宮城県 30)
 私には2歳の娘がいます。お買い物中にずっと歩くことはまだ出来ないので、ベビーカーを使っています。その中で理不尽だなあと思うことがよくあります。商業施設や公共施設、駅などで、エレベーターに乗る際の優先順位の問題です。
 エレベーターを利用する際の優先者はお年寄りの方、ベビーカー、身体障害者の方と書かれていることが多いと思います。それなのに、若い方や健常者の方々が乗っていて、優先の対象であるはずの自分たちが乗れず、次に来るエレベーターを待つということが度々あります。
 私は、子供がベビーカーを卒業したら、必ずエスカレーターを使おうと改めて思いました。また、優先者の対象を再確認してもらうためにアナウンスを流してもよいのでは。皆さんはどう思われますか。ご意見をお伺いしたいです。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14232036.html?ref=pcviewpage



(声)秋の気配にふっと思い出すこと(2019/10/26朝日新聞) 無職 糸柳章司(三重県 81)
 つくつくぼうしが鳴き出し、秋の気配を感じるころになると、ふっと思い出す光景がある。
 矢作川の水音がして少し先には鉄橋が見える。列車が長い尾を引いて走り去ってゆく。傍らの東海道には車がせわしなく行き交う。夕闇が迫る中、私たち一家は4人、道路わきの空き地で冷たいごはんを黙々と口に運んだ。
 前日、名古屋の都心部は激しい空襲に見舞われ、近所にも大きな被害が出た。このままでは危ないと、急きょ、母方の実家のある渥美半島を目指した。2台のリヤカーに積めるだけの家財道具を載せ、ここまでたどり着いた。食事を終えて出発するころには辺りは真っ暗で、前途が案じられた。
 とっくにあの世に旅立った両親を思い出すのは、なぜか、こんな光景の中である。なんとも暗い時代の物寂しく、わびしい「晩餐(ばんさん)」だが、懐かしい。同時に、あの時の両親の思いに胸が痛む。
 延べ63回に及んだという名古屋空襲。あの晩餐は、いったいいつの記憶なのだろう。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14232031.html?ref=pcviewpage



(声)社会保障費の使い方は適切か(2019/10/26朝日新聞) 主婦 坂田範子(茨城県 65)
 終末期を自宅で過ごすため、がんで闘病していた夫は最後の1カ月、近所のクリニックの訪問医療を受けた。本人の意思を尊重してほしいと伝え、今後の治療は万全と思われた。
 しかし、いざ往診初日を迎えると、全く症状が出ていないのに、「いずれ使うし、保険もききますから」と、大きな手提げ袋いっぱいの薬が届いた。それも配達料金が必要な遠方の提携薬局から。その後も鎮痛剤や栄養補助飲料が乱雑に処方され、ジェネリック薬への変更を求めると「扱っていない」と言われた。
 訪問介護の回数減を願い出ても「保険がききますから」。医師、看護師、ヘルパーと連日だれかが来訪し、本人の不快感と薬だけが増えていった。患者本位ではなく、医師本位。残された命にどれだけ多くの薬を処方するかを旨としているのではないか。不信感ばかりが募った。
 夫が急変した時、医師は休みだった。慌てて救急車をお願いし、大病院へ搬送され、死亡が確認された。山のような薬は全て捨てることになった。国の歳出の3分の1を占める社会保障費。医療費や介護費は適切に使われているのだろうか。医師のモラルはどこへ行ったのか。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14232029.html?ref=pcviewpage



(社説)辺野古判決 「脱法行為」許した司法(2019/10/26朝日新聞)
 法の趣旨を踏みにじる政府の行いを、法を守らせるべき裁判所が追認する。とうてい納得できない判決だ。
 沖縄・辺野古の埋め立て工事をめぐり県と国が争っている訴訟で、福岡高裁那覇支部は県側敗訴の判決を言い渡した。
 昨夏、海底に軟弱地盤が広がっていることが発覚したのを受けて、県が埋め立て承認を撤回したのが発端だった。防衛当局は直ちに、埋め立て法を所管する国土交通相に対し県の措置の取り消しを求め、望みどおりの裁決を得て工事を強行した。
 このとき使われたのが、行政の誤った処分などから国民の権利・利益を守るために定められている行政不服審査法だった。まさに「奇策」というべきで、多くの行政法の研究者らから批判や疑問の声があがった。
・・・ 判決は「首相からの具体的な指示などがなされたことをうかがわせる証拠はない」とも述べている。現実を見ず、県側に事実上不可能な立証を求めて、政府の不実を不問に付した判決。そういうほかない。
 今回の政府の手法が認められれば、この先、外交・防衛やエネルギー政策などの国策に関して国と地方が対立した際に、同じことが繰り返される恐れがある。決して沖縄だけの問題ではない。だからこそ玉城デニー知事は法廷で、「国と地方のあり方が正面から問われる」と訴えた。しかし裁判所がこの声に向き合うことはなかった。・・・
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14232027.html?iref=comtop_shasetsu_02



<金口木舌>災害時だからこそ助け合いを(2019/10/26琉球新報)
 東日本に大規模な洪水や土砂災害を引き起こした台風19号の影響で、25日までに死亡が確認されたのは87人。60歳以上が7割を超えている。自宅で死亡した人も高齢者が目立ち、浸水した1階から見つかる事例が多かった
▼避難所まで介助してくれる人も一時的に受け入れる親戚もいなかったのかと想像すると胸が締め付けられる。自力での移動が難しい人は被害を受けやすい
▼糸満市で取材した避難訓練を思い出した。大規模地震・津波を想定し、住民が住宅街から県営団地まで避難した。高齢者の車いすを押してみたが歩道の段差に車輪を奪われ、うまく前へ進めない
▼団地に到着後、男性4人が車いすを持ち上げ4階まで階段を上る。汗だくになり息が上がっていた。災害に襲われたら高齢者や障がい者の避難はどうなるのか。考えると冷や汗が出た
▼市町村には高齢者らの避難を手助けする人の氏名や避難先を明記する「個別計画」の策定が求められる。防災は行政だけの役割ではない。地域の助け合いが要になる場合もある
▼車いすを利用する弁護士の東俊裕さんは「災害は年中行事」と警鐘を鳴らす。障がい者と健常者が学校で一緒に学ぶ環境があれば、移動が困難な人を前提にした発想が身に付くようになると説く。体が不自由になる可能性は誰にでもある。大切なのは自分事として考える習慣なのだろう。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1014526.html



辺野古・大浦湾「希望の海」 米NGO認定、国内初 「持続可能な観光と教育の場に」(2019/10/26琉球新報)
 【東京】日本自然保護協会は25日、科学者らでつくる非政府組織(NGO)が世界的にも重要な海域を認定する「ホープスポット」(希望の海)に、辺野古・大浦湾一帯の44.5平方キロメートルが選ばれたと発表した。国内では初。海域の生物多様性や希少なサンゴの存在に加え、辺野古の米軍新基地建設に抵抗して環境を守ろうという市民や環境団体の取り組みが認められた形だ。同日、環境省で会見した自然保護団体の関係者らは「海域を持続可能な観光と教育の場にしたい」とし、保護に向けた取り組みが進むことに期待を込めた。
 「ホープスポット」はアメリカを拠点とするNGO「ミッション・ブルー」が認定するもので現在、世界で110カ所以上が認められているという。海洋学者で米海洋大気局の主任科学者も務めたシルビア・アール氏が、海洋保護の世界的な意識を高めようと2009年に立ち上げた。
 アール氏は辺野古・大浦湾一帯の重要性を強調した上で「海の多様な生態系はわれわれの生存の基礎・基盤・支えになる」と強調。新基地建設工事について「かけがえのない自然を大事に思う皆さんが疑問の声を上げる機会だ」とのメッセージを寄せた。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1014713.html


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2019年10月26日

PICKUP NEWS

在任45日、辞任会見わずか4分 菅原氏疑惑語らず退場(2019/10/25朝日新聞)
 大臣就任から45日、菅原一秀経済産業相が、選挙区(衆院東京9区)内での寄付問題で辞任した。関西電力の金品受け取り問題で見せた舌鋒(ぜっぽう)はどこへやら、自らの疑惑には説明責任を放棄したまま退場。元秘書は「全て秘書のせいにしている」と猛烈に批判した。
菅原一秀経産相が辞表提出 寄付・香典めぐる疑惑指摘
 「ただいま安倍総理に辞表を提出してきました」
・・・ 秘書が今月17日の支援者の通夜に香典2万円を持参したという疑惑の核心については、記者の質問を受けて簡単に説明した。本来は自分が17日に出席する予定だったが、台風19号の閣僚会合が急に入って行けなかった▽秘書が17日に持参したことを確認せず、自分も翌18日の葬儀に香典を持参した▽後日、遺族から一つ返却されてダブリを把握した――という内容だった。
 受け付けた質問は4問。経産省の広報係が「ありがとうございました!」と叫ぶと、会見はわずか約4分で強制終了となった。
 「菅原氏はすごく細かく指示する人。秘書が勝手に通夜に行くなんてあり得ない」
 菅原氏の秘書を十数年前に務めた人物は、菅原氏の説明を強く疑った。
 元秘書によると、冠婚葬祭や会合といった選挙区内の日々のスケジュールは菅原氏本人が目を通し、「この葬儀に行って」などと秘書に指示を出していた。今月17日の通夜は、有権者へのメロンやカニの配布問題が再び持ち上がった渦中。元秘書は「指示もなく秘書が行くなんて、余計に考えられない」と話した。・・・
関電を厳しく批判、自らの疑惑は…
 菅原氏の45日の在任期間中には、関西電力の役員らが高浜原発のある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題が明らかになった。
 「極めて言語道断。事実関係を徹底解明し、経産省として厳正に処する」
 問題が発覚した9月27日、菅原氏は語気を強めた。その後も、「徹底してうみを出し切る(ように関電に伝えた)」、「9月27日に報道が出るまで経産省に全く報告がなく、極めて憤りを持っている」と関電を厳しく批判した。
 一方、10月上旬に贈答品疑惑が報じられると、「確認するように事務所に話をしている」、「一つずつ調査している」などと語るのみ。香典疑惑についても24日、「明日、国会で話します」としていたが、予定されていた衆院経産委員会の場に立つこともなく辞任した。
 市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」の発起人の1人、宮下正一さん(71)=福井県坂井市=は「自分のことは顧みずに非難だけする大臣だったということだ」と指摘する。香典の一つは返してもらったという菅原氏の説明については「関電の幹部が『もらったお金は返したからいい』と言うのと同じで、間違いだ」と語った。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBT56YZMBTUTIL02G.html?iref=comtop_8_03



【社説】辺野古で県敗訴 地方自治の理念歪める(2019/10/25東京新聞)
 沖縄県が辺野古新基地建設阻止のため国を相手に起こした訴訟で、県が敗訴した。法治の規範であるべき国が、法の恣意(しい)的運用で地方自治を封じ込める−。そんな手法を認めた判決は納得し難い。
 福岡高裁那覇支部が二十三日、判決を言い渡した裁判は「国の関与取り消し訴訟」と呼ばれる。
 新基地建設を巡り、県は昨年八月、埋め立て承認を撤回。防衛省沖縄防衛局は行政不服審査法(行審法)に基づき、埋め立てを所管する国土交通相に審査請求し国交相は四月、撤回を無効にする裁決をした。これを根拠に防衛局は埋め立て工事を進めている。
 県の主張は主に(1)行審法は国民(私人)の権利救済を目的としており防衛局は審査請求できない(2)防衛局と同じ内閣の一員である国交相が申し立てを審査するのは公正さを欠く−の二点。国の手続きの是非のみを争点に違法な請求に基づく裁決を取り消せと訴えた。
 高裁判決は、国の言い分を全面的に認め、県の請求を却下した。
・・・ 防衛局が私人とはどう考えてもおかしい。海上保安庁が立ち入りを規制する海域で基地を建設するのは、国の専権事項である防衛のため。行審法はこうした「固有の資格」を持つ国の機関は審査請求ができないと定めている。国交相の裁決も「選手とアンパイアが同じ立場」という玉城デニー知事の主張の方に利がある。
 翁長前県政時代からの県と国との訴訟は八件に上るが、国の裁決に関して判決が出たのは初めて。
 多くの行政法学者が「法治国家に悖(もと)る」と批判した強引な法の運用で自治体の決定を覆すことが許されるなら、憲法がうたう地方自治の理念は大きく歪(ゆが)む。三権分立の観点からも司法の中立的判断が期待されたが、県の主張は退けられた。県は上告する方針だ。・・・
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019102502000143.html



太古の火星に塩湖存在 生命に好適、土壌分析(2019/10/25東京新聞)
 35億年前の火星に塩湖があったとする研究結果を、金沢大の福士圭介准教授(環境化学)らのチームが25日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。水はほぼ中性、塩分は地球の海の3割程度でミネラルも豊富。生命の痕跡は確認されていないが、誕生や生存に向いた“ほどよい”環境だったという。
 火星の表面に液体の水があったことは確実とされているが、水質が分かったのは初。チームは「生命の存在可能性を議論するには、水に何が含まれていたかも明らかにする必要がある」と話す。
 場所は赤道付近にあるゲールクレーター。NASAの火星探査車が得た土壌の組成データを分析した。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019102501002258.html



辺野古の海が「重要海域に」 米環境NGO認定、日本初(2019/10/25東京新聞)
 米環境NGOが選ぶ世界で最も重要な海域「ホープスポット」に、沖縄県名護市の辺野古周辺海域が認定されたと、日本自然保護協会が25日、発表した。日本の海域が選ばれたのは初めて。米軍普天間飛行場の移設に伴う開発で希少な生態系が失われるとして工事の見直しを呼び掛けている。
 選ばれたのは、辺野古の大浦湾を中心に東西に広がる44・5平方キロの海域。ジュゴンなど絶滅危惧種262種を含む5千種以上の生物が生息する多様性に富んだ場所で、最近はナマコやカイメンなど多くの新種が確認されている。
 ホープスポットには、09年から110カ所以上が登録されている。
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019102501002199.html



(声)教師の鑑だった小学校の恩師(2019/10/25朝日新聞) 主婦 小林祥子(千葉県 77)
 教員間暴力の報道を見て、レベルの低さにがくぜんとした。同時に私が小学1、2年時の担任だった小林つや先生を思い出した。敗戦から3年後、クラスに生活保護を受けている子が2人いた。彼女たちは教科書、学用品などを支給されていた。1人は父親病死後、母親が働きながら子6人を育てていた。長女だった彼女は家事全般を任され、中学になると子守に出され、通学できなくなった。
 数十年後、クラス会で再会した彼女が、小林先生の思い出を打ち明けた。先生はノートの最初に「ふまれてもふまれても強く生きていけ」という内容の短歌を必ず書いてくれた。年齢とともに意味を理解し、この言葉を胸に「負けるものか」と看護師として頑張って働き続けた、という。
 担任当時、小林先生は確か20代後半くらいだったはずだ。産後、赤ちゃんを義母が学校につれてきて、昼休みに宿直室で授乳させている姿を、私たちは無邪気に眺めていた。慈愛に満ちた、まさに教師の鑑(かがみ)だった。



(声)恩赦より再審制度の改革を(2019/10/25朝日新聞) 無職 高村広昭(神奈川県 77)
 政府は天皇の即位の礼に合わせ、約55万人に恩赦を実施した。対象を決め一律に救済する恩赦について法務省は「合理性が無く、実施すべきではない」との見解であったが、官邸側が強行したという。
 恩赦の対象となる約55万人の8割が交通事件で罰金刑を受けた人だが、その中には酒気帯び運転や無免許での運転も含まれる。また、過去の公職選挙法違反者も対象となっている。「天皇の国事行為を政治利用している」という批判があるが、私もその考えに同意する。
 政府がより優先的に解決すべきなのは、冤罪(えんざい)被害者の救済を一刻も早くすることだ。弁護士の方々の努力により、足利事件、布川事件などで、再審無罪の判決が出されているが、我が国では再審は「開かずの扉」と言われるほど、そのハードルが高く、冤罪被害者の救済が遅々として進んでいない。
 検察官の不服申し立てを認めているためで、再審が長期化する大きな要因だ。フランスやドイツなどは、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止している。日本も、この制度を参考にして、再審制度の改善を早急にすべきである。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14230660.html?ref=pcviewpage



<金口木舌>忖度しない裁判官(2019/10/25琉球新報)
 人工知能(AI)の活用がさまざまな分野で広がっている。中国・杭州市で道路状況をAIで分析して渋滞を減らす取り組みがあり、行政手続きの電子化が進むエストニアでも農業関連の交付金に関する手続きなどに活用されている
▼米国や中国では裁判所や弁護士の業務にもAIが取り入れられ「AI裁判官」の是非も議論されている。判断の正確さを疑問視する声や倫理的な観点からの批判もあるが「偏見や思い込みを排除し、人間より客観的な判断ができる」と期待する識者の意見もある
福岡高裁那覇支部の裁判官がAIなら、どんな判断をしただろうか。県が敗訴した、米軍普天間飛行場の移設を巡る「関与取り消し訴訟」だ。国民の権利救済を目的とする行政不服審査法を国が利用し、県による埋め立て承認撤回に不服を申し立てた。撤回を取り消す裁決も国が行った
▼「自作自演」ともいえる手続きを裁判所は追認した。前田定孝三重大准教授は「一般県民の感覚と全く乖離(かいり)している」と指摘する
▼9月の第3次嘉手納爆音訴訟の判決も、騒音被害に対する損害賠償を認めながら飛行差し止めは退けた。司法の独立に疑問符が付く判決が続く
▼裁判でのAI利用にはさまざまな課題が指摘される。機械的に判例を踏襲するだけかもしれない。だが少なくとも、人間のように「忖度(そんたく)」することはないだろう。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1013847.html



<社説>映画助成金取り消し 文化芸術振興に逆行する(2019/10/25琉球新報)
 文部科学省が所管する独立行政法人「日本芸術文化振興会」が、公開中の映画「宮本から君へ」に対する助成金の交付内定を取り消していたことが分かった。出演者のピエール瀧さんが麻薬取締法違反容疑で逮捕され、有罪判決が確定したことが理由だ。

 「国が薬物を容認しているかのような誤ったメッセージを与える恐れがあると判断した」と振興会は説明する。本当にそうなのか。
 映画が撮影されたのは、瀧さんが逮捕される前だ。常識的に判断するなら、作品に助成金を支出したからといって、国が薬物を容認していると受け取られることなど、およそ考えられない。
・・・ 当局の眼鏡にかなう作品だけしか公的助成の対象にしないつもりなのか。恣意(しい)的な運用がまかり通れば、文化・芸術の衰退を招く。
 助成金の交付は3月に内定していた。瀧さんが逮捕された後、製作会社は助成金を辞退するか出演場面を編集し直すことを振興会側から求められたという。
 検閲を想起させる不当な介入だ。製作会社はこれを拒み、抗議した。当然の反応だ。有罪確定後の7月に「公益性の観点から適当ではない」とする不交付決定通知が届いた。
 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付を決めた文化庁の対応は「事実上の検閲」と批判を浴びている。振興会の決定も軌を一にする動きと見ていい。どちらも、表現の自由を揺るがす行為だ。
 今回さらに問題なのは、取り消し後の9月、振興会が要綱を改正し、「公益性」の観点から交付を取り消せるようにしたことだ。
 「公益性」の明確な定義はないという。具体例として「出演者らによる犯罪などの重大な違法行為を想定した」と振興会側は説明する。「公益性」という基準なら、いくらでも拡大解釈の余地がある。
 今回は出演者の違法行為を理由にしたが、その他、さまざまな理屈を付けて助成金の交付が取り消される恐れがある。そうした事態を避けるため、表現者の側が萎縮し、内容を自己規制するようになれば、凡庸な作品しか生まれなくなる。
 振興会が目的とする文化芸術の振興・普及どころではない。正反対の作用をもたらすだろう。
 「公益性」を振りかざすことで、事実上の検閲へとエスカレートしかねない。
 戦前・戦中は検閲で不適当とされた表現物の発表が禁止された。国民は国家が許容する範囲の情報しか得られないように仕向けられた。
 国民が見ていいもの、読んでいいものを国が決める社会に逆戻りすることだけは絶対にあってはならない。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1013846.html



【社説】西山さん無罪へ 一日も早く名誉回復を(2019/10/24東京新聞)
 滋賀県の呼吸器事件で再審開始が確定した西山美香さん(39)の弁護団は、検察側から「新たな有罪立証をしない」との書面が届いたと発表。西山さんの無罪が確実になった。早期の名誉回復を求める。
 滋賀県の病院で二〇〇三年、植物状態の男性患者=当時(72)=が死亡した。
 当直の看護助手だった西山さんは「人工呼吸器のチューブを外した」と自白。殺人容疑で逮捕され懲役十二年が確定、一七年まで服役した。
 西山さんは公判で否認に転じ、服役中の一〇年に再審を請求。棄却が四回続いた後の一七年暮れ、大阪高裁は「自然死の可能性あり」と再審開始を決定、今年三月に最高裁も支持し再審開始が確定した。
 「再審開始なら無罪判決」が、刑事司法の流れ。近年は検察側が有罪主張をしないケースが多いが、今回、検察は四月の三者協議で争う姿勢を示した。しかしその後一転、「新たな有罪立証せず」に転換した。その理由を「取り調べられた証拠に基づき、裁判所に適切な判断を求めることとした」とするが、積極的な有罪立証に白旗を揚げたも同然である。
 そもそも、無理が多い捜査だった。軽い知的障害があり、捜査員に迎合しがちな西山さんに「チューブを外した」と自白させた。その自白が周囲の状況と矛盾してくると「アラーム音を消すための特殊機能(知る人が極めて少ない)を使ってチューブを外し、後でつなぎ直した」と新たな自白をさせつじつま合わせを重ねていった。
 この結果、起訴前の鑑定書は「チューブは外れていた」と書いていたのに、確定判決は「つなぎ直した(接続していた)」と表現が変わった。再審開始決定までの七つの裁判所の判断は、この矛盾に言及しなかった。
 捜査の側は、逮捕した容疑者を有罪にするため、密室の取調室で追い込む。自白に矛盾があっても、メンツを守るために新たな自白を迫る。裁判所は、捜査の内容を信用し、矛盾を見逃す、もしくは無視する−。
 これまでの冤罪(えんざい)事件で繰り返されてきた捜査や司法のおごりではないか。今回、新規の立証をあきらめた検察の判断は当然の措置だが、遅きに失したと言うほかない。
 来春までには西山さんの無罪判決が出ると予想される。西山さんは二十代前半で逮捕され、青春時代の十数年間を監獄で過ごさねばならなかった。一日も早く真っ白にしてあげたい。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019102402000194.html



(声)日韓市民、歴史の共有が大切(2019/10/24朝日新聞) 無職 内岡貞雄(福岡県 72)
 今年6月、国境の島・対馬(長崎県)を訪れた。北端の千俵蒔山に「異国の見える丘展望台」がある。晴れた日にはプサンの山々がはっきり見えるそうだが、この日は見えなかった。下の海岸にある「供養塔」に行ってみた。
 石碑は2007年5月に建立。説明書きに「戦火で犠牲になった老若男女の遺体が(略)打ち寄せた。その数は数百に及ぶものであった」と記されていた。
 本紙の社説余滴(13日)によると、1948年、韓国の済州島(チェジュド)で官憲に民衆が虐殺された「4・3事件」があり、同じころ対馬に漂着した済州島民の水死体を日本人が埋葬したという。
 私と同行した在日コリアンの友人は「優しい心をもった人たちがたくさんいたことがうれしい」と涙ぐんだ。このような歴史を共有することで、日韓市民が良好な関係を築いていけるのだと思う。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14229231.html?ref=pcviewpage



(声)踏襲した即位礼、議論を深めて(2019/10/24朝日新聞) 福祉施設職員 鈴木晴也(神奈川県 42)
 「即位礼を前に考える『象徴天皇』」(21日)で、絶対に変えてはならないものと変えてもいいものについて、勇気を出して議論する必要があると書かれていた。私も賛成だ。「即位礼正殿の儀」で高御座(たかみくら)に上がった新天皇陛下に向かって、万歳三唱する安倍晋三首相の様子を見て、戦前の天皇と国民の関係を想起した。
 天皇陛下の本望ではなかったかもしれないとも思う。上皇さまは天皇のとき、太平洋戦争の激戦地へ慰霊に訪れたり、災害を受けた土地を訪ねて何度となく国民らを励ましたりしてきた。その際には、いつも目の高さを合わせて、国民に寄り添っていた。新天皇も各地への訪問では、和やかな表情で人々と目を合わせている。
 現憲法では、国民主権や象徴天皇が定められている。高御座の下から万歳三唱を受け、天皇はどう思っていたのだろうか。平成の代替わりの時は、ほぼ戦前にならった形で儀式が行われた。今回は、国民から「同じ高さ」で祝う姿勢を示す機会だったのではないか。代替わりの儀式について、議論が深まることを望んでいる。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14229225.html?ref=pcviewpage



(声)自衛隊の中東派遣、根拠に疑問(2019/10/24朝日新聞) 無職 荒川和成(千葉県 67)
 政府は、中東・ホルムズ海峡周辺などに情報収集を目的に自衛隊を派遣する検討に入った。防衛省設置法に基づく「調査・研究」をその根拠にするという。
 「調査・研究」は常に争い事の名目になる。明治維新後の1875年、日本が朝鮮に開国を迫り、武力衝突した江華島事件もそうだ。発端は日本軍艦が測量や航路研究を名目に示威行動したこと。この事件を口実とし、日本は日朝修好条規という不平等条約を結ばせた。
 ホルムズ海峡周辺は危険な地域である。実力部隊の自衛隊を派遣することは、戦闘の可能性がありうる。南スーダンへの派遣も、政府は治安の安定した地域に限ると説明していた。しかし、実際には自衛隊員が危険にさらされており、日報隠蔽(いんぺい)問題が発生。防衛相が辞任した。
 また、今回の根拠とする防衛省設置法に基づく「調査・研究」は国会承認が不要で、防衛相の判断で実施できる。あまりにも法体系を無視しており、法治国家を否定することにならないか。決して認められるものではない。日本がすべきことは外交で米国とイランとの間に入り、米国に政策見直しを求めることである。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14229223.html?ref=pcviewpage


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2019年10月23日

PICKUP NEWS

【社説】離島に弾薬庫 強引な姿勢が目に余る(2019/10/23東京新聞)
 防衛省の強引な姿勢が目に余る。沖縄県宮古島市で地元の反対を押し切り、陸上自衛隊の弾薬庫建設を始めた。住民説明会も形だけだった。住民の信頼を失ったまま、円滑な防衛行政ができるのか。
 弾薬庫の建設地は宮古島の東南部、海岸に近い保良(ぼら)地区。防衛省沖縄防衛局は三日に地元の集会施設で説明会を開いたが、十人ほどが参加しただけだった。入り口の張り紙には「建設工事について」とあるだけ。「弾薬庫」などの文字がなく施設前まで来た約百人は抗議して入室を拒否した。
 物騒な言葉を隠せばやり過ごせると思ったのか。その不信感を解こうともせず、防衛局は四日後に着工した。建設現場で座り込みをするお年寄りらを警察官が無理やり排除する場面がここでも繰り返されている。やりきれない。
 建設地に隣接する保良、七又(ななまた)地区計二百二十世帯は八割以上の同意で弾薬庫建設反対を決定した。
 攻撃目標となることのほか、事故への不安が大きい。建設地と集落までは最短で約二百メートルしか離れていない。弾薬庫には地対艦、地対空ミサイルなどが保管予定だ。
 防衛局は火薬類取締法などに基づいて安全策を講じるとするが、防衛能力が推測されるとして保管弾薬量を明かさない。住民の生命を軽視してはいまいか。
 保良には旧日本軍も弾薬庫を置き、手榴(しゅりゅう)弾運搬中の事故で幼い子二人が亡くなる悲劇があった。そんな記憶が残る土地への対応はより誠実であるべきだろう。
 沖縄県の謝花喜一郎副知事も防衛省に工事停止と住民への十分な説明を求めている。何ら対応をしていない市は県と連携すべきだ。
 南西諸島の防衛力強化に向け宮古島の中央部にはことし三月、陸自の駐屯地が開設され三百八十人の警備部隊が配置された。防衛局への市民の不信はこのときから始まっている。「小銃などの保管庫」と説明された施設に迫撃砲弾や中距離ミサイルが保管されていたことが判明。当時の岩屋毅防衛相が国会で謝罪し、弾薬を島外に撤去する事態となった。駐屯地には本年度内にミサイル部隊も置かれる予定で、防衛局は早期の弾薬庫整備に迫られている。
 沖縄では本島の辺野古や石垣島でも災害問題を過小評価したり、負担増への反対意見を無視した基地工事が続く。本土でも地上配備型迎撃システム配備候補地でのずさんな住民対応が記憶に新しい。
 地域住民の理解なくして、防衛行政は成り立たない。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019102302000134.html



(声)少女像、見て聴いて思い新たに(2019/10/23 契約社員 平野有紀(愛知県 40)
 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」会期中の9日、慰安婦を表現した少女像の作者キム・ソギョンさん、キム・ウンソンさん夫妻の講演を聴いてきた。
 夫妻によると、少女像は元慰安婦の鎮魂や世界の平和のために作ったのだそうだ。「少女」の足元からのびる影は、年老いてもなお癒えぬ元慰安婦の姿を表現しているという。隣に置かれた椅子には、そこに座って像と触れ合ってほしいとの願いを込めたのだという。
 夫妻は、どんな批判も非難も受けるという強い気持ちを語っていた。私は、その決意をすごいと思った。
 今のこの時代、誰でも匿名で自分の思いを発信でき、誰かを批判したり攻撃したりできてしまう。今回のことは、私たち日本人がこれまで表立って考えたり対話したりしてこなかった事象に対して、様々な立場の人たちの不満や疑問などが噴出し、起こるべくして起こったものではないだろうか。
 私は「表現の不自由展」の中止が決まった8月3日、この少女像を見た。椅子にも座り、写真も撮ってもらった。これからも、不自由展のような活動を応援していきたい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14228220.html?ref=pcviewpage



(社説)即位の礼 前例踏襲が残した課題(2019/10/23朝日新聞) 天皇陛下が即位を内外に宣言する「即位礼正殿(せいでん)の儀」が、きのう皇居で行われた。
 陛下のおことばは、憲法にのっとり、国民統合の象徴としての務めを果たすと誓うもので、昭和から平成になった際に上皇さまが述べたものとほぼ重なる内容だった。同じく国際社会の友好と平和に言及した点も、国外から多くの参列者を迎えて催された儀式であることに照らして適切といえよう。
 他方で、今回の代替わりにあたっての政府の事の進め方には大きな疑問がある。開かれた議論を避け、異論には耳をふさいで、多くを「前例踏襲」で押し通そうという姿勢だ。
 正殿の儀をめぐっても、天孫降臨神話に由来する高御座(たかみくら)に陛下が立ち、国民の代表である三権の長を見おろす形をとることや、いわゆる三種の神器のうち剣と璽(じ)(勾玉〈まがたま〉)が脇に置かれることに、以前から「国民主権や政教分離原則にそぐわない」との指摘があった。
 だが政府は「前回検討済み」として、見直しを拒んだ。前回の式典のあり方に対し、大阪高裁から疑義が表明された経緯などには目を向けず、天皇の権威を高めるために明治になって作られた形式にこだわった。
 平成流と呼ばれた上皇ご夫妻の活動を通じて、「国民に寄り添う皇室」像が支持を集めていることも踏まえ、いまの時代にふさわしい形を探ってしかるべきではなかったか。
 恩赦も実施された。要件を絞って対象者は前回の約5分の1(55万人)になったものの、司法の判断を行政が一方的に覆す措置に反対論も根強かった。まして皇室の慶弔と結びつけば、支配者が慈悲を施すかのような色彩を帯びる。犯罪被害者を守り、その思いを大事にしようという社会の要請にも反する。それでも先例が優先された。
 来月に予定されている大嘗祭(だいじょうさい)の執り行い方も同様だ。
 秋篠宮さまが昨秋の会見で、「宗教色が強い儀式を国費で賄うことが適当か」と疑問を投げかけた。公費を充てることの困難さは昭和天皇も感じていたとみられ、皇室の私的活動費である内廷費を節約して積み立ててはどうかと側近に話していたという。だがこの問題についても政府は「すでに閣議了解している」というだけで、真摯(しんし)に向きあうことはなかった。
 どれも国の基本である憲法にかかわる話だ。誠実さを著しく欠く対応と言わざるを得ない。
 上皇さまが退位の意向を示唆するメッセージを発したのは3年前だ。議論の時間は十分あったのに政治は怠慢・不作為を決めこんだ。華やかな式典の陰で多くの課題が積み残された。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14228225.html?iref=comtop_shasetsu_02



<社説>即位礼で恩赦実施 時代に即し見直すべきだ(2019/10/23琉球新報)
 政府は22日、政令恩赦「復権令」を公布、即日施行した。行政が、裁判で確定した刑罰の内容を変更させたり、消滅させたりする恩赦は、行政権の司法権への介入、越権ともいえ、権力分立の確立された時代にそぐわない。今後は見直しが必要だ。

 恩赦は、古くは皇室や国家の慶弔時に天皇の恩恵的行為として実施された。明治憲法下では天皇の大権事項だった。
 罪を許す絶対権力者のありがたみが強調され、統治の仕組みとして機能したとされる。現代の国民主権、民主主義の観点から考えてもふさわしくないのは明らかだ。
 政府は「即位礼という慶事をきっかけとして国民が心を新たにする機会に、罪を犯した人の改善更生の意欲を高めさせる」と説明する。
 恩赦によって罪を犯した人の更生意欲が高まる効果は否定しない。個別の事情で恩赦をするか否かを決める個別恩赦は年間数十件認められている。これをきっかけに励みになったとする当事者の声があるのも事実だ。
 恩赦法では、こうした個別恩赦、それに政令恩赦の二つを規定している。
 問題なのは、対象となる罪や刑の種類を決め、一律に実施される政令恩赦だ。罪を犯した人の反省や更生の程度など個々の事情が考慮されることはなく、被害者の声も聞かれることがない。
 今回の政令恩赦は刑事事件で罰金刑となり、2016年10月21日までに納付を済ませた人が対象だ。約55万人に上ると見込まれる。自動的に制限されていた資格が手続きの必要もなく回復した。
 約8割が交通事故関係だ。公職選挙法の違反者約430人も含まれており、公民権が回復した。
 医師法や調理師法などは罰金以上の刑を受けた場合は免許を与えないことがあるなどと規定する。復権により、こうした制限が解かれ、再取得が可能となった。
 今回の復権には罰金刑がある暴行・傷害、窃盗のほか、痴漢や盗撮など性犯罪も含まれる。被害者団体からは「性犯罪者は認知行動療法など専門のプログラムを受けなければ更生は難しい」との指摘がある。一律の政令恩赦の効果には否定的な意見も多い。
 まして偶然に「即位礼正殿の儀」の時期に重なり恩恵を受ける者と、そうでない者との不公平感は拭いようもない。
 今回の政令恩赦では有罪判決や起訴がなかったことになる大赦、刑を軽くする減刑は実施されていない。政府は被害者側に配慮し過去に比べて規模を縮小したとする。1993年以来、26年ぶりの恩赦だが、現代において「大権」を振りかざす意義はあるのか。
 更生意欲を高めるならば、むしろ中央更生保護審査会が個別の事情を審査する個別恩赦の一つである常時恩赦を手厚くすれば済む話だ。これを超えて実施する意義は見いだせない。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1012674.html



(社説)広がる飢餓 身近な食品を考えよう(2019/10/22朝日新聞) 地球に暮らす9人に1人に当たる8億2千万人以上が飢えに苦しむ。5歳未満の子ども1億5千万人近くが栄養不足による発育阻害に直面している。
 国連がこの夏に発表した報告書の数字だ。一時は新興国での改善などで飢餓人口は減り続けてきた。ところが2015年に増加に転じ、その後改善の兆しを見せていない。
・・・ 世界ではすべての人々が十分に食べられるだけの食料は生産されているといわれている。なのに食べ物が不足する人が数多くいるのは、食料が偏って分配されたうえ無駄にされ、必要な人の口に届かないからだ。
 国連食糧農業機関によると、食料の3分の1にあたる13億トンが毎年捨てられている。このうち4分の1が有効に使われれば、飢餓人口のすべてが救われるとの試算もある。
 日本でも年に643万トンが、まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」となっている。飢餓に苦しむ人々に向けた国連の食料援助の1・7倍にあたる。
 食料の約6割を海外から輸入する日本が、食べ物を無駄にし続けるのは理不尽すぎる。国と自治体、事業者、消費者に取り組みを求める「食品ロス削減推進法」が今月、施行された。
・・・ 足元の日本にも貧困問題がある。貧困世帯に暮らす17歳未満の人口は280万人。7人に1人に上る。成長に必要な栄養が得られない子どもたちがいる。品質に問題がないのに廃棄される食品を集め、貧困世帯に提供する「フードバンク」の活動も知られてきた。
 10月16日が「世界食料デー」であることから、今月は各地で様々なイベントがある。会場に足を運べば、何ができるか手がかりがつかめるだろう。
 「飢餓をゼロに」。これは日本を含む国際社会が2030年までに実現を目指す「持続可能な開発目標」(SDGs)の柱だ。その実現が危ぶまれているのは憂慮すべき事態である。
 日本は「SDGsの力強い担い手」を自任する。これまでもアジアやアフリカなどでコメづくりを支援してきた。今後ともその取り組みを強め、飢餓問題の解決に貢献していきたい。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14226672.html?iref=comtop_shasetsu_02



【社説】海自中東派遣へ 必要性、根拠に乏しい(2019/10/22東京新聞)
 政府が中東情勢の悪化を踏まえ、自衛隊派遣の検討に入った。米国主導の有志連合ではなく、独自の活動だというが、派遣の必要性や根拠に乏しい。調査・研究という「便法」を乱用すべきでない。
 米国とイランとの対立により、中東情勢が緊迫の度を高めていることは否めない。原油輸入の八割以上をこの地域に依存する日本にとって、中東の緊張緩和と情勢安定化は死活問題ではある。
 とはいえ、日本関連のタンカーへの攻撃が頻発しているわけではなく、自衛隊艦船による警護を必要とする状況でもない。自衛隊を派遣する切迫した必要性がどこにあるのだろうか。
 安倍晋三首相の指示を受け、菅義偉官房長官は記者会見で現在、ソマリア沖アデン湾で海賊対処活動をしている海上自衛隊の護衛艦や哨戒機の活用に加え、護衛艦の派遣も別途検討すると表明した。
 トランプ米政権が参加を求める有志連合とは一線を画す日本独自の活動として、護衛艦などを年内にも派遣する見通しだ。
 自衛隊を中東派遣することで米政権の顔を立てる一方、活動範囲からホルムズ海峡やペルシャ湾を除外し、友好国であるイランへの刺激を避ける苦肉の策ではある。
 実力部隊である自衛隊の海外派遣は「国家意思」の表明だ。対話による緊張緩和を探ってきた日本外交の方針転換と受け取られるかもしれない。周辺国を刺激し、派遣部隊が偶発的な衝突に巻き込まれる危険性はないのか。
 自衛隊による有事の活動や海外への派遣は、国権の最高機関であり、国民の代表である国会の承認を原則必要とする。国民の意思によって自衛隊を運用する「文民統制」である。
 しかし、今回の中東派遣は、国会の承認を必要としない防衛省設置法の「調査・研究」が根拠だという。自衛隊の海外派遣という重大事を国会の判断を経ないで決定する「便法」でもある。
・・・ 中東各国と築いてきた信頼関係を生かすことこそ、平和国家としての道だ。良好な関係を犠牲にしてまで、自衛隊派遣をはやるようなことがあってはならない。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019102202000168.html



<社説>天皇即位の儀式 権威高める手法に警戒を(2019/10/22琉球新報)
 天皇陛下が国内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」がきょう行われる。陛下と上皇さまから「費用は極力簡素に」との意向が示されたため政府は費用削減に取り組んだ。しかし費用総額は平成の代替わり時の前回と比べて3割増の163億円に上る見通しだ。

 政府が前もってこの日を「国民の祝日」とし、国事行為として巨額の公費を投じて全国的な祝賀ムードを演出することの意味を冷静に考える必要がある。
 この儀式で天皇陛下は天孫降臨神話に由来する玉座に立ち「お言葉」を述べる。首相ら三権の長は仰ぎ見る形で万歳を三唱する。新憲法下で初めて行われた前回、国民主権や政教分離の原則に反しており憲法違反―との指摘があった。しかし今回、十分な憲法論議がないまま前例を踏襲することとなった。
 前回は、明治後半期に制定し戦後廃止された登(とう)極(きょく)令(れい)を基に催された。皇室典範では皇位継承時に「即位の礼を行う」とだけ規定されているためだ。
 来月行われる大嘗祭(だいじょうさい)とともに即位儀式は、室町時代から江戸時代途中までの220年余りは、京都の混迷や天皇家の財政難のため滞った。しかし明治に入り、天皇を元首とする国家づくりのために国の一大イベントとなり、大規模化した。それを政府は前回同様、今回も踏襲することを早々と打ち出した。
 大戦前の即位儀式は、天皇の権威を内外にアピールし、国民の崇拝意識を高め国威を発揚する狙いがあった。
 沖縄は天皇の権威の犠牲になる歴史を歩んだ。琉球併合に至る過程で、明治政府は、中国皇帝が琉球国王を任命する冊封をまねて天皇も任命権があるかのように振る舞い、天皇の命令に従わない琉球を「処分」した。沖縄戦では皇民化教育の下で動員された多くの住民が犠牲になった。戦後は米国による軍事占領を望む「天皇メッセージ」が米側に伝えられ、米国統治下に置かれた。
 こうした歴史を考慮してか、上皇さまは沖縄への思いが深いといわれる。
 一方で、天皇個々の思いや行動とは別に、権威を高めることにより国民統合の仕組みとして機能する象徴天皇制の在り方を考える必要がある。権威の高まりは時の権力者に利用される危うい面もある。
 豊見山和行琉球大教授は「象徴天皇制が持っている仕組みや機能が、一面では政治的問題や軍事基地の矛盾を見えなくしてはいないか」と本紙の識者座談会で述べた。沖縄の民意を無視して新基地建設を進める政府の圧政を埋め合わせているとの見方は説得力がある。
 即位儀式が持つ政治的意味を、主権者である国民の目線と、天皇制から犠牲を強いられてきた沖縄の目線の、両方で冷静に捉える必要がある。象徴と言いながら過度に権威を高める手法は警戒すべきだ。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1012326.html



posted by オダック at 20:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする